第2284回 ベスト16の決まったフランスカップ (2) 注目の対決を制したパリサンジェルマンとリヨン

 7年前の東日本大震災、一昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■パリサンジェルマンの監督経験もあるギャンガンのアントワン・コンブアレ監督

 前回の本連載ではフランスカップベスト16決定戦の中で1部勢の出場する試合を中心に紹介したが、今回は1部勢同士の戦いの中でチャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグに出場するチームの試合を紹介しよう。
 パリサンジェルマンはギャンガンとパルク・デ・プランスで対戦する。盤石に見えたパリサンジェルマンであるが、直前の1月21日に行われたリーグ戦ではリヨンに1-2と敗れ、今季リーグ戦で2敗目を喫している。さらに得点源のネイマールとキリアン・ムバッペを負傷で欠くという布陣でギャンガンと戦う。一方のギャンガンは11月末から無配を続けてきたが、直前に行われたリーグ戦でリヨンとアミアンに連敗している。ギャンガンの監督はアントワン・コンブアレ、いまだに伝説となっている1992-93シーズンのUEFAカップ準々決勝のレアル・マドリッドとの第2戦で決勝点をあげたパリサンジェルマンの伝説ともいう選手であり、奇しくもパリサンジェルマンでも監督を経験している。

■主力を負傷で欠き、直前のリヨン戦で敗れたパリサンジェルマン

 ネイマールとムバッペを欠くパリサンジェルマンの攻撃陣は中央にエディンソン・カバーニ、右にアンヘル・ディマリア、左にハビエル・パストーレとワールドクラスの選手が並ぶ。なじみのない選手と言っても守備的MFのジョバニ・ロセルソ、左サイドDFのユーリ・ベルチチェくらいである。
 試合は終始パリサンジェルマンが優位な立場で進める。21分にはアドリアン・ラビオがCKのチャンスに相手のクリアボールを拾ってシュートし、先制する。さらにその5分後にはギャンガンの選手のオウンゴールでパリサンジェルマンはリードを2点に広げる。ギャンガンは前半にはPKで1点を返すにとどまった。
 後半に入ってもパリサンジェルマンの攻勢は続き、64分には波状攻撃から最後はパストーレがゴールを決める。控えに甘んじている選手が負傷した主力に代わって活躍できるところがパリサンジェルマンの強さである。ギャンガンも75分に1点差に詰め寄る。相手のベンチにはコンブアレが控えていることから、ファンは何が起こるかわからないと心配をしたが、試合終了直前の89分、マクスウェルが得点を決めて4-2と突き放す。パリサンジェルマンはまた1部勢を破り、16強入りしたのである。

■リーグ戦2位のリヨンを迎えた4位のモナコ

 そしてベスト16決定戦で最も注目を集めたカードはモナコ-リヨン戦である。昨季リーグ覇者、今季も4位を走るモナコではあるが、チャンピオンズリーグのグループリーグでは惨敗、国内タイトルに専念せざるを得なくなった。一方のリヨンはリーグ2位であり、ヨーロッパリーグでは決勝トーナメントに進出している。
 モナコは年が明けてからはリーグ順位を2位から4位にダウンしているが、リーグカップでは準々決勝を勝ち抜いており、国内タイトルへの意欲は強い。

■終了間際の同点のチャンスを逃したモナコ

 しかし、試合は立ち上がりからアウエーのリヨンのペースとなる。しかしながら先制点はモナコ、今季スペインのセビリアから加入したモンテネグロ代表のステバン・ヨベティッチがペナルティスポット付近からのヘディングで先制点を決める。これに対し優勢に試合を進めるリヨンは22分にベルトラン・トラオレが同点ゴール、26分にはモナコのジブリル・シディベのオウンゴールで一気に逆転する。リヨンは後半に入ってもその後試合は均衡状態となり、折り返すが、後半に入って55分、リヨンはマリアノ・ディアスがゴールを決めて2点差とする。モナコも72分のロニー・ロペスのゴールで1点差に詰め寄る。そしてアディショナルタイムの93分、モナコはビッグチャンスをつかみ、ラシド・ゲザルのクロスを前方に上がっていたストッパーのカミル・グリックがヘディングでシュート、このシュートはポストに当たり、同点ゴールならず、12月6日以来の黒星となったモナコはフランスカップから姿を消し、リヨンが勝ち残ったのである。
 なお、1月25日に行われた1部勢同士の戦いはストラスブールがリールを下し、ベスト16の内訳は1部8チーム、2部4チーム、Nから3チーム、N2から1チームとなったのである。(この項、終わり)

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