第2450回 フランスカップベスト16決定戦(2) ストラスブールを退けたパリサンジェルマン

 8年前の東日本大震災、3年前の平成28年熊本地震、昨年の平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■ミニダービーマッチとなったアンドレジュー・ブテオン-リヨン・ドゥシェール戦

 ナントからカーディフ(ウェールズ)に移籍するエミリアーノ・サラの搭乗した飛行機が事故となり、アンタントSSG-ナント戦が延期となったが、それ以外のベスト16決定戦は1月22日から24日にかけて行われた。
 普段は取り上げられることの少ない下部リーグのチームが話題となるが、今年のベスト16決定戦はチームだけではなくカードが話題になったものがある。それがアンドレジュー・ブテオン-リヨン・ドゥシェール戦である。アンドレジュー・ブテオンは4部に相当するN2のチームであるが、本連載第2444回で紹介した通り、サンテチエンヌの隣町にあり、ベスト32決定戦ではマルセイユを破っている。一方の3部に相当するナショナルリーグのリヨン・ドゥシェールもまたリヨンの隣町である。すなわち、サンテチエンヌとリヨンのミニダービーマッチと言える。本家のサンテチエンヌとリヨンはこの試合の2日前の20日に行われ、リヨンが2-1で勝利し、サンテチエンヌを抜いて3位に順位をあげている。アンドレジューのスタジアムに5000人の観衆を集めて行われた試合、アンドレジューが先制したが、リヨン・ドゥシェールが2-1と逆転勝ちし、兄貴分と同じ結果となった。
 また、昨年の準優勝チームのN2のレゼルビエもベスト32決定戦を勝ち抜いた。ベスト16決定戦ではナショナルリーグのビルフランシュに敗れ、昨年の旋風の再現はここで止まった。

■2部首位のメッスが1部19位のモナコを破る

 ベスト16決定戦での下部チームの活躍であるが、今季2部に降格したメッスが1部でリーグ19位と降格圏内にあるモナコを2-1と破った。メッスはこの時点で2部で首位、3位以下とは大な差が開いており、来季の1部復活が濃厚であり、モナコが2部に降格すれば入れ替わりとなるであろう。両チームの勢いを反映する結果となった。
 それ以外の1部勢は下部リーグのチームに勝利し、リーグ最下位のギャンガンが2部のナンシーに延長戦で勝利したくらいで、それ以外は危なげなく勝利した。なお、試合を延期したナントは2月2日にアンタントSSGと対戦し、サラの事故後初めての勝利を飾っている。

■国内カップ戦の連勝の止まったパリサンジェルマン、ストラスブールを退ける

 注目すべきは1部勢同士の対戦である。14チームがこのラウンドに進んでいるが、半数以上の8チームは1部勢との対戦となり、トゥールーズ-スタッド・ド・ランス、パリサンジェルマン-ストラスブール、サンテチエンヌ-ディジョン、アミアン-リヨンというカードが組まれた。
 この中で最も注目を集めたのはリーグ首位のパリサンジェルマンとリーグ5位のストラスブールの対戦である。カップ戦のスペシャリストと言われるパリサンジェルマンは2014年1月にフランスカップでモンペリエに敗れたのを最後に、フランスカップとリーグカップでは負けなしである。フランスカップは4連覇中である。しかし、1月9日に行われたリーグカップの準々決勝でパリサンジェルマンはギャンガンに敗れた。一方のストラスブールはリーグカップでも準々決勝、そしてこの試合の後にある準決勝でも勝利し、カップ戦での強さを見せている。カップ戦のスペシャリストのパリサンジェルマンが精神的ショックを受けているのではないかとストラスブールの勝利を予想する声も存在した。しかし、試合はパリサンジェルマンが前後半に1点ずつ入れて2-0と勝利する。ところが62分にネイマールは負傷退場する。昨年も2月に負傷し、チャンピオンズリーグの決勝トーナメントに出場できず、今年も歴史は繰り返した。

■ベスト16のうち9チームが1部勢

 これ以外にサンテチエンヌはディジョン相手に3-6とホームで敗れる。サンテチエンヌがホームで6失点するのは実に66年ぶりのことである。昌子源が加入したトゥールーズは延長後半に勝ち越し点を与えたが、延長終了間際のPKで同点に追いつき、PK戦で勝ち抜いた。リヨンはアミアンに2-0と勝利し、1部勢はベスト16の過半数の9チームを占めたのである。(この項、終わり)

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