第2640回 フランスカップ準決勝(3) キリアン・ムバッペのハットトリックでパリサンジェルマンが決勝進出

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、昨年の台風15号、19号などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■今季のリーグ戦ではパリサンジェルマンが連勝

 リヨンとパリサンジェルマンの準決勝は3月4日、両チームはすでにリーグ戦では対戦を終えている。前半戦はリヨンでの対戦、9月22日に行われた試合ではパリサンジェルマンがネイマールのゴールで1-0と勝利している。この試合はアウエーのパリサンジェルマンが一方的に試合を支配し、リヨンは枠内にシュートを1本も放つことができなかった。
 後半戦は2月9日にパリでの試合となった。すでにこの時点でリーグカップの決勝でパリサンジェルマンと対戦することが決まっており、リーグカップ決勝の前哨戦ともいえるが、またパリサンジェルマンが勝利する。パリサンジェルマンがムバッペなどのゴールにより2点をリードして後半を迎え、後半の立ち上がりにオウンゴールで3点をリードする。リヨンも2点をあげて追い上げたが、最後はエディンソン・カバーニがダメ押し点を奪ったパリサンジェルマンが勝利する。

■1週間後のボルシア・ドルトムント戦を意識した布陣のパリサンジェルマン

 リーグ戦で連敗しているリヨンはこのフランスカップ準決勝、リーグカップ決勝で連勝したい。さらにチャンピオンズリーグでもパリサンジェルマンよりいい成績を残したい。この時点では決勝トーナメント1回戦の第1戦を終えたところであり、リヨンはホームで勝利、パリサンジェルマンはアウエーで敗れている。
 1週間後にチャンピオンズリーグでのボルシア・ドルトムント(ドイツ)との第2戦を控えているパリサンジェルマンはキリアン・ムバッペ、エディンソン・カバーニ、ネイマールというMCNがそろって先発し、ボルシア・ドルトムント戦を意識した布陣である。

■リヨン先制の直後にパリサンジェルマンが追いつく

 先手を取ったのは地元リヨンであった。11分には右サイドのカール・トコ・エカンビからのパスをマルタン・テリエが右足でゴールネットを許す。今季3回目の対戦にして初めてリヨンがリードする。しかし、グルーパマ競技場の歓喜は3分間しか続かなかった。14分にパリサンジェルマンは右からのCK、パブロ・サラビアの蹴ったボールをレイバン・クルザワがヘディングでファーポストに、そこを右足で蹴りこんだのがムバッペであった。パリサンジェルマンが優勢に試合を進めたものの、1-1のタイスコアでハーフタイムを迎えた。

■スーパーゴールを決めたキリアン・ムバッペ、ハットトリック

 後半に入って61分、リヨンのフェルナンド・マルサウがこの試合2回目の警告で退場となる。ここからはパリサンジェルマンが一気にギアをあげ、力を見せつけた。64分にリヨンのマルセロがカバーニとのペナルティエリア内で競り合いの際にハンド、PKがパリサンジェルマンに与えらる。これをネイマールがGKのアントニー・ロペスの逆を突いてネットを揺らす。パリサンジェルマンが逆転する。
 そしてここからがムバッペの真骨頂であった。70分には自陣で相手ボールを奪ったムバッペは、センターサークル付近でブルーノ・ギマラエスを抜き、相手陣内に入ってからマルセロとジェイソン・デナイヤーエの間を抜き、ドリブルで前進する。さらにペナルティエリア内にボールを持ち込み、最後はGKのアンソニー・ロペスと1対1になり、右足で得点を決める。スピードに乗ったムバッペのドリブルにリヨンのファンは沈黙する。2点差となったパリサンジェルマンであるが、その後も得点を重ねる。82分にはパリサンジェルマンが立て続けにリヨンのゴールを襲う。アントニー・ロペスも2回はセーブしたが、3回目のシュートは止めることができなかった。4点目を決めたのはサラビアであった。そしてアディショナルタイムの92分、左サイドのネイマールからのクロスに対しムバッペが左足で決めて、ハットトリックを達成、パリサンジェルマンが5-1と大勝して昨年に続き、決勝進出を決めた。
 この日ハットトリックのムバッペは今季30ゴールを決め、さらにリヨン戦では2018年10月の4得点に続く大量得点で、2月のリーグ戦に続いてこの日も得点をあげ、リヨン戦に強いところを見せたのである。(続く)

このページのTOPへ