第2828回 フランスカップフィナーレ(6) スタッド・ド・フランスでの初優勝を目指すモナコ

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■リーグ2位のパリサンジェルマンと3位のモナコが対戦

 新型コロナウイルスの感染拡大によって大きな影響を受けた今季のフランスカップ、 ファイナリストはパリサンジェルマンとモナコ、リーグ2位と3位という上位勢同士の対戦となった。両チームともここまで4試合戦い、その中でPK戦による勝利が1試合ずつあるが、パリサンジェルマンはベスト8決定戦でリーグ首位のリールを退け、モナコも準決勝でリーグ4位のリヨンに勝利しており、決してこの決勝進出がドローに恵まれたものではないことを物語っている。

■過去6年間で5回優勝のパリサンジェルマン、30年ぶりの優勝を目指すモナコ

 パリサンジェルマンはこれまでのフランスカップでは13回優勝を果たしているが、そのうち5回は2015年以降、すなわち過去6年間のうち5回優勝している。もちろんリーグ戦でも栄冠を重ねているが、伝統的にカップ戦に強いチームである。
 一方のモナコであるが、これまでにフランスカップの優勝は5回であり、意外と少ない。また最後の優勝は1991年のことである。後に日本の名古屋グランパスエイトで活躍することになったジェラール・パッシが終了間際にヘディングシュートを決めてマルセイユに勝利したのを最後に30年間、フランスカップを獲得していない。モナコがパルク・デ・プランスでフランソワ・ミッテラン大統領からフランスカップを授与されたときに、パリサンジェルマンはまだ2回しかこの栄冠を獲得していなかった。スタッド・ド・フランスに決勝の舞台を移してから、モナコが決勝に進出したのも2010年の1回だけ、その時もパリサンジェルマンに敗れている。
 近年の両チームのカップ戦での対戦をご存じの読者の方も少なくないであろう。2017年と2018年のリーグカップの決勝で対戦し、いずれもパリサンジェルマンが勝利している。

■今季のリーグ戦ではモナコが2回とも勝利

 他方、今シーズンのリーグ戦での対戦であるが、モナコでは昨年11月20日に対戦し、パリサンジェルマンは前半にキリアン・ムバッペが2点をあげて2-0とリードしたが、モナコが後半に入って逆襲、ケビン・フォランドが2点をあげて追いつき、最後は84分にセスク・ファブレガスが決勝点をあげて勝利する。そして後半戦は2月21日のパリでの対戦、この試合もモナコは前半にソフィアン・ディオップ、後半はギジェルモ・マリパンがゴールを決めて2-0と勝利している。今季の国内リーグ戦でパリサンジェルマンが1試合も勝てなかった相手はリール(1分1敗)とこのモナコ(2敗)だけであるが、上位陣との直接対決の成績の悪さ(このほかにリヨンとは1勝1敗)が、結果的にリーグ優勝を果たせなかった理由であろう。

■後半戦トップのモナコ、チャンピオンズリーグで準決勝敗退したパリサンジェルマン

 そして重要なのがこの試合の行われたタイミングである。今年はシーズン後に1年延期となった欧州選手権が開催されるため、5月の下旬を迎えるまでに国内の日程を終わらせなくてはならない。したがってリーグ戦の最終節は5月23日に行われ、フランスカップの決勝はその翌週末ではなく、週の半ばの5月19日に行われた。リーグ戦の第37節と最終節である第38節の中間である。この時点でリーグ戦は首位はリールで勝ち点80、得失点差+40、2位がパリサンジェルマンで勝ち点79、得失点差+56,3位にモナコで勝ち点77、得失点差+34である。数字の上ではモナコまで優勝の可能性がある。パリサンジェルマンもモナコも直前の第37節では勝利して最終節での逆転優勝を虎視眈々と狙う。
 そしてモナコに関してはパリサンジェルマンとの直接対決で連勝しているだけではなく、後半戦の成績は14勝2分2敗でトップである。パリサンジェルマンはリーグ戦では13勝1分4敗、チャンピオンズリーグでは2勝1分3敗という成績である。またパリサンジェルマンはチャンピオンズリーグではマンチェスター・シティ(イングランド)にいいところなく連敗し、リーグ戦優勝もリールの結果次第という点も気にかかる。
 モナコのスタッド・ド・フランスでの初のフランスカップ獲得はなるだろうか。(続く)

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