第3009回 フランスカップ準々決勝(2) モナコ、ナントの1部勢とナショナル2部のベルサイユがベスト4入り

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■モナコ、閑散としたスタジアムで優位に試合を進める

 前回の本連載ではフランスカップの準々決勝で最も注目を集めたニース-マルセイユ戦を紹介したが、今回はそれ以外の試合を取り上げよう。
 1部から出場した残りの2チームは2部勢との対戦となった。モナコはアミアン、ナントはバスティアをそれぞれ本拠地に迎えた。モナコの試合は2月8日、準々決勝の初戦となったが、ルイ二世競技場の観衆はわずか2000人、リーグ6位で欧州カップ出場を狙う位置にありながら相変わらず寂しいスタンドである。対するアミアンは2部で現在14位であるが、直近の4試合では負けがない。
 試合は立ち上がりの5分にモナコのオーレリアン・チャウメニがCKをボレーで決めて先制する。その後もモナコが優勢に試合を進めるが、アミアンも25分にチャドラック・アコロがロングパスを受けてシュート、ゴールインするが、オフサイドの判定でノーゴールとなる。前半のモナコは攻め続けたが1点どまりで折り返した。

■プロデビューとなったモナコのマグネス・アクリウシュが活躍

 後半に入ってモナコは序盤の54分にケビン・フォランドが追加点をあげ、モナコが2-0と勝利して準決勝進出一番乗りを果たす。このフォランドのゴールは左ウイングのマグネス・アクリウシュからのパスがアシストとなった。アクリウシュはモナコの下部組織育ちの19歳、この試合がプロとしてのデビュー戦であり、上出来と言える内容であった。新戦力とともにモナコは31年ぶりの優勝を目指すのである。

■開始早々にPKで先制したナント、守勢一方となるがバスティアを下す

 もう1つの1部勢のナントは2部で17位のバスティアと対戦する。バスティアが準々決勝に進出するのは決勝でに敗れた2002年以来20年ぶりのことである。その前にさかのぼるとフリアニの悲劇のあった30年前のこととなる。ナントでのアウエーゲームであったが、熱くなったファンが器物を損傷するなどのトラブルを起こしている。
 ナントの本拠地ボージョワール競技場には2万5000人近いファンが集まった。すでにキックオフの前には準決勝の組み合わせが発表され、勝者は準決勝でモナコと対戦することが決まっている。
 バスティアのキックオフで始まった試合だが、開始早々ナントは攻め込み、東京オリンピックでも活躍したランダル・コロムアニがペナルティエリア内で倒される、開始44秒でナントにPKが与えられた。これをルドビック・ブラが決めてナントが先制する。時計の針はまだ3分を指そうとするところであった。ナントが調子の波に乗るかと思われたが、そうではなかった。9分にはバスティアがナントのゴール前に迫り、ナントのGKのレミ・デカンがブロックして逃げる。27分にはバスティアの主将のクリストフ・バンサンのシュートがポストをたたき、ナントは失点を免れる。バスティアがボール支配率で優位に進め、前半だけで枠内シュート6本を放ったが、ナントの1点リードで折り返す。
 後半もバスティアが積極的に試合を進める。しかし、次のゴールも劣勢のナントが決めた。71分にブラのクロスをバスティアのGKがクリアしたが、そのボールがちょうどコロムアニに渡り、コロムアニの左足のシュートでナントが2-0と勝利した。

■ナショナル2部勢対決はPK戦でベルサイユ

 ニース-マルセイユ戦と並んで注目を集めたのが4部に相当するナショナル2部のベルジュラックとベルサイユの戦いである。ナショナル2部は16チームずつ4つのグループで争われているが、ベルサイユがグループA、ベルジュラックはグループDでそれぞれ首位を独走している。そしてベルサイユは2部で首位のトゥールーズ、ベルジュラックは1部のメッスとサンテチエンヌを退けて準々決勝までたどり着いた。
 ベルジュラックに近いペリグーに舞台を移して行われた試合は前半の14分にベルサイユが先制した。ベルサイユは79分に退場者を1人出して数的不利となったが、時計の針は進み、このまま勝利かと思われた90分にベルジュラックが追いついた。延長戦はなく、そのままPK戦に突入する。先蹴のベルジュラックは4人目がポストにあてて失敗、5人全員が成功させたベルサイユが準決勝に進出したのである。(この項、終わり)

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