第59回 2001-02フランス・サッカー・フィナーレ(4) オセール、久々にチャンピオンズリーグに出場

■来季の欧州カップへの出場権への道

 大統領選挙の決選投票前夜となるリーグ最終節の5月4日は国民全体の関心を集めるような対戦が相次いだ。優勝争いについては前回の連載でリヨンとランスが直接対決したことを紹介したとおりであるが、それ以外にも翌年の欧州カップ出場権、2部リーグへの降格、得点王争いをめぐる戦いは興味尽きない。
 最初に来季のフランスからの欧州カップへの出場権について確認しておこう。まず、チャンピオンズリーグについてはフランスから3チームが出場することになり、リーグの上位3チームが出場権を獲得する。次にUEFAカップもフランスから3チームが出場権を確保し、リーグの4位のチームとフランスカップおよびリーグカップの勝者に出場権が与えられる。そしてUEFAカップの予選にあたるインタートトカップについてもフランスから3チームが出場し、リーグ5位から7位の3チームがチャレンジする。フランスカップ、リーグカップの勝者がリーグ戦でUEFAカップあるいはインタートトカップの出場権を得る成績を残した場合はリーグで下位の順位のチームが繰り上げてUEFAカップあるいはインタートトカップに出場することになる。

■オセールとパリサンジェルマンに絞られたチャンピオンズリーグ3番目の切符

 まず、チャンピオンズリーグの出場権をめぐる争いについて紹介しよう。残り2節となった第33節の段階でランス(勝ち点61)とリヨン(勝ち点60)はすでにチャンピオンズリーグの出場権を確保していたが、これを追う3位のオセール(勝ち点58)、4位のパリサンジェルマン(勝ち点55)、5位のリール(勝ち点52)が3番目の椅子を争う展開となった。オセールは優勝のチャンスがあったが、第33節でオセールよりも上位のランスとリヨンが勝ち、オセール自身がアウエーでモナコと引き分けたため優勝のチャンスがなくなったことは前々回の本連載で紹介したとおりである。第33節で4位のパリサンジェルマンはメッスに2-0と勝ち、勝ち点を58に伸ばし、最終戦を迎える段階で勝ち点59のオセールとの勝ち点の差は1となった。引き分けに終わった5位のリールは勝ち点55にとどまり脱落し、この結果、チャンピオンズリーグの3番目のチケットはオセールとパリサンジェルマンの最終戦の結果に委ねられることになった。

■両チーム敗退も輝くジブリル・シセの2ゴール

 チャンピオンズリーグ出場権をかけてオセールはホームでレンヌを迎え、パリサンジェルマンはリールに遠征する。レンヌはすでに1部残留を決め、リールも来季のインタートトカップ出場を確定しており、最終節の勝敗がクラブの来季に影響するわけではない。しかし、サッカーの世界はわからない。この両チームが来シーズンのチャンピオンズリーグ出場がかかった上位チームを破ってしまったのである。
 激しく試合が動いたのはオセールでの試合である。まず開始早々にレンヌが立て続けに2得点する。オセールが負けてパリサンジェルマンが引き分けた場合、両チームは勝ち点で並ぶが、得失点差でパリサンジェルマンが上位になる。そこを救ったのが期待されながらフランス代表入りを今まで逃していたジブリル・シセである。シセはリーグ終了後のフランス代表のティーニュ合宿に参加することが決まり、気分よくリーグ最終戦を迎える。また、リーグの得点王争いでも2位でトップのボルドーのパウレタを1点差で追っている。そのシセが27分と59分に連続ゴール、今シーズンの得点を22点に伸ばし、ボルドーのパウレタを抜いて得点王争いのトップに立つとともに、チームは同点に追いつく。ここで歓喜するアベ・デシャン競技場。しかし63分にレンヌのフィリップ・デレイに勝ち越し点を奪われ、沈黙が流れる。しかし、スコアの動かなかったリールの試合でも豪州代表として昨夏訪日したリールのマイル・ステリョブスキーが71分に決勝点をあげ、オセールの歓声が復活する。結局両チームとも勝ち点を伸ばすことができず、3位オセール、4位パリサンジェルマンと順位は動かなかった。オセールはリーグ優勝した翌年の1996-97シーズン以来6年ぶりにチャンピオンズリーグに出場することになり、パリサンジェルマンはUEFAカップ出場にとどまったのである。(続く)

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