第201回 2002-03フランスリーグ・フィナーレ(4) フランスカップに託すオセールとパリサンジェルマン

■必ずしもうれしくはないインタートトカップ出場

 これまでの連載でフランスリーグの優勝の行方、欧州チャンピオンズリーグならびにUEFAカップへの出場権争いについて紹介してきた。これらに続くのがUEFAカップの予選に相当するインタートトカップへの出場権争いであるが、これは各チームにとって必ずしも「うれしい出場権」ではない。インタートトカップは60チーム以上が参加しながら、UEFAカップ出場権を得ることができるのはわずか3チーム。しかもホームアンドアウエーのノックアウト方式のトーナメントであり、6月に始まってようやく出場権を獲得できるのは8月末になる。今年の場合、フランスからは3チームが出場し、上位2チームは3回戦から、下位1チームは2回戦からの参戦となる。3回戦から出場した場合でもホームアンドアウエー方式で3回相手を倒さなければ、UEFAカップに出場することはできない。
 つまり、この大会に参加するチームは休養を十分に取ることができず、さらに新チームの始動を他のチームよりも早い時期に行わなくてはならない。また欧州チャンピオンズリーグなどとは異なりテレビの放映権収入なども期待できるような大会ではない。

■リーグ戦で調子を崩すインタートトカップ出場チーム

 したがって、もしこの大会で勝ち抜き、UEFAカップの出場権を獲得しても、肝心の来季のリーグ戦では調子を狂わせることになりかねない。例えば、昨季のインタートトで決勝まで残りながらシュツットガルトに敗れたリールはリーグ戦では下位に低迷し、結局14位に終わっている。また準決勝で敗れたトロワは今季のリーグ戦では最下位に終わっている。そして、個人レベルでも、インタートトカップで大活躍し、UEFAカップ出場の立役者となったフラムの稲本潤一は秋からのリーグ戦では決して満足のいく成績を残していない。
 このようにインタートトカップはリーグの中上位のチームに必ずしも好ましいと思われておらず、かつてマルセイユがこの大会への出場を回避するために最終戦のメンバーを落として大敗したことがある。

■リーグの最終成績は6位オセール、7位ガンガン、8位ランス

 最終節を迎える段階で、インタートトカップ出場の可能性があったのは、ボルドー、ソショー、オセール、ガンガン、ニース、パリサンジェルマン、ランス、ナントの8チーム。この中の上位のボルドーとソショーはUEFAカップ出場を見事に獲得する。それ以下のチームはオセール、ガンガン、ランス、ナントが勝ち、ニース、パリサンジェルマンが敗れる。リーグで6位から8位までのチームがインタートトカップ出場権を得ることになり、6位オセール、7位ガンガン、8位ランスとなったのである。
 ところが、来季の欧州カップの出場権はこれで決まったわけではない。5月31日に今季国内最終ゲームとなるフランスカップの決勝が控えている。フランスカップ栄光のファイナリストはオセールとパリサンジェルマン。この勝者にはUEFAカップの出場権が与えられる。もちろんフランスカップそのものも尊厳に値するタイトルであるが、リーグ戦での不本意な成績のために来季の欧州チャンピオンズリーグやUEFAカップの出場権を獲得できなかった両チームにとって是非とも制覇したいタイトルである。

■欧州カップの常連が争うフランスカップ決勝

 過去20シーズンのうち12シーズン欧州カップに出場してきたオセールであるが、前回の本連載で紹介したとおり、あと一歩のところでUEFAカップ出場権を逃している。同じ欧州の戦いといってもUEFAカップとインタートトカップ出場ではTGVと各駅停車くらいの差が存在する。
 一方、過去20シーズンのうち14シーズン欧州カップに出場しているパリサンジェルマンもリーグの最終成績は11位であり、下から数えた方が早い成績は1987-88シーズン以来15年ぶりのことである。昨年秋には首位に立ったこともあり、マルセイユをはじめ上位チームに滅法強かったが、これだけの不本意な成績をそのまま受け入れてシーズンを終えることはできない。
 最後の90分の争いはリーグ戦で今ひとつの成績だった欧州カップの常連チームの激突となるのである。(この項、終わり)

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