第323回 パリサンジェルマン、ライバルを倒し、2位に浮上

■2週間ぶりの第33節は上位陣同士の対戦が目白押し

 本連載ではこのところ欧州カップで活躍するフランス勢の活躍を取り上げることが多かったが、フランス国内のサッカーシーンも大詰めを迎えている。国内3大タイトルのうち、リーグカップについては前回の本連載でお伝えしたとおりソショーが栄冠を勝ち取った。フランスカップは5月29日に行われる決勝がシーズン最後の試合となるが、4月28日に行われた準決勝を勝ち抜いたパリサンジェルマンとシャトールーが最後のタイトルを争う。
 このように当面フランスのサッカーファンの国内における関心はリーグ戦に集中する。リーグ戦は4月10日に第32節が行われ、第33節はその2週間後の24日に行われた。2週間のインターバルがあったのはこの間に欧州カップの準決勝とリーグカップの決勝があったからである。
 第33節の組み合わせは、首位のリヨン(勝ち点66)は12位のレンヌとの対戦であったが、2位のモナコ(勝ち点65)は7位のナント(勝ち点47)と、3位のパリサンジェルマン(勝ち点63)は6位のマルセイユと、そして4位のソショー(勝ち点57)は5位のオセール(勝ち点54)と、というように上位陣の直接対決が目白押しであった。

■モナコはホームでナントに敗れ、首位奪還に失敗

 モナコはリーグカップでタイトルを逃したナントをホームに迎える。モナコは他のチームより早い17時15分キックオフということから、リヨンの試合前にリヨンを勝ち点で上回り、プレッシャーを与えたいところである。モナコはチャンピオンズリーグ準決勝でチェルシーを下して国内外のタイトルを狙いたい。ナントはUEFAカップ出場をリーグカップで逃したことからリーグ上位という資格でUEFAカップに再挑戦である。両チームとも意欲満々の状態であったが、モナコはナントよりも休養が3日足りなかった。モナコは得点できず、逆にナントは終盤にマラマ・バイルアが決勝点を挙げて、4日前にチェルシーを破って歓喜したスタンドを沈黙に追いやる。モナコは首位奪還に失敗したのである。

■リヨンは着実に勝ち点を重ね、オセールとソショーが入れ替わる

 モナコが敗れた時点で首位をキープしたリヨン、4月7日に欧州の舞台から去り、残された目標は国内リーグの3連覇だけである。ホームのジェルラン競技場にはこの日も満員の観衆が詰めかける。相手のレンヌはリーグ中位であるが、ゴール前にはチェコ代表のペトル・チェヒが陣取る。リヨンは前半こそレンヌの守備陣にてこずり、無得点であったが、後半に入るとジュニーニョのPKで先制すると、ミカエル・エシアン、ペギー・リュインデュラが追加点をあげて、レンヌを3-0と一蹴し、モナコとの勝ち点差を4に広げる。
 そしてオセールとソショーは先制したオセールのフィリップ・メクセスのオウンゴールで一旦追いつかれたものの、ジブリル・シセがその直後に決勝点、2-1で勝ったオセールが4位に浮上、ソショーは5位に落ち、順位が入れ替わる。

■伝統の一戦を制したパリサンジェルマン、2位に浮上

 このところ優勝争いから離れているパリサンジェルマンとマルセイユというフランスリーグを代表するカードだけは日曜日の25日に行われた。実はマルセイユはUEFAカップの準々決勝を8日に戦ったため、第32節を18日に行っている。すなわち、18日にマルセイユにリールを迎えた後、22日にニューキャッスルで戦い、25日にパリで戦うという強行スケジュールとなった。一方ホームのパリサンジェルマンはまるまる2週間の休養の後、マルセイユを迎えることができる。マルセイユ戦の3日後にはナントでのフランスカップ準決勝が待っていたが、マルセイユ戦こそ全精力をあげて戦う試合であることは間違いない。マルセイユにとってもリーグ優勝は不可能に近く、残されたタイトルはUEFAカップであるが、パリサンジェルマン相手に目の色を変えることは必至である。試合前にはチケット100枚がパリサンジェルマンのショップから盗難されるなど、相変わらずピッチ内外での騒動には事欠かないカードである。
 試合はポルトガル代表のパウレタが序盤の12分と後半に入った61分に2点をあげる。マルセイユの反撃は試合終了直前の88分にローラン・バトレスが1点返しただけで、パリサンジェルマンはマルセイユ戦の連勝記録を6に伸ばす。そしてパリサンジェルマンはライバルに勝っただけではなく、リーグ戦でモナコをかわして2位に浮上したのである。(この項、終わり)

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