第466回 フランスリーグ開幕(1) パリサンジェルマン、繰り上げ開幕戦で大勝

■シーズン前の予想ではリヨンが圧倒的支持

 ツール・ド・フランスも終わるとフランスのスポーツファンの関心はフランスリーグの開幕に移る。今シーズンは7月最後の週末に開幕する。
 選手・監督の間のシーズン前の予想では圧倒的に4連覇中のリヨン有利という声が強く、リヨンが5連覇を飾るかどうかが今季の最大の見所であろう。しかし、忘れてはならないのは昨年のシーズン前に同様の予想を行った際には1番支持を集めたのがマルセイユで2番手がパリサンジェルマン、そしてリヨンは3番人気に過ぎなかったことである。結局パリサンジェルマンは9位、マルセイユは5位に終わっているが、フランスを代表する人気チームの動向に今年も目が離せない。リヨンが全体の4割の支持を集めてトップとなっているが、パリサンジェルマンはモナコと並んで2位、そしてマルセイユも4番手である。

■金曜日の開幕戦はパリサンジェルマン-メッス戦

 マルセイユについてはこれまでの連載でインタートトカップでの戦いを紹介してきたが、インタートトカップ準決勝がシーズン開幕直前になったため、金曜日に繰り上げて行う予定だったボルドーとの開幕戦を他の試合と同じ土曜日にキックオフ、そして金曜日にはライバルのパリサンジェルマンがメッスと試合を行うことになった。シーズン開幕戦の日程から両人気チームの激しい争いとなったが、明暗の分かれる結果となった。

■満員のファンの期待に応え、大勝で開幕戦を飾る

 金曜日に開幕戦を迎えるパリサンジェルマンはこのところ1年おきに成績が上下しており、今シーズンは上位に食い込むはずの年である。また、相手のメッスはこのところ弱体化している上に、シーズン前の予想でも優勝チームの筆頭にリヨンと並んでパリサンジェルマンを挙げており、苦手意識が見え隠れする。この恵まれた対戦カードということもあり、日程が直前に変更になったにもかかわらず、パルク・デ・プランスには4万3000人の大観衆が集まった。例年バカンスシーズンにはパリジャンは出かけてしまうため、パリサンジェルマンは観客動員に苦慮するが、これだけの観衆が集まったからには選手も奮起しなくてはならない。
 青と赤の伝統のユニフォームに身を包んだパリサンジェルマンのイレブンがファンの期待に応えたのは早くもキックオフ5分後のことであった。CKからジェローム・ロタンがシュート、こぼれた混戦の浮き球をヘッドで決めたのはコートジボワール代表のボナバンチュール・カルーであった。そして38分には今度はカルーがアシスト役となってエデュアルド・シセが追加点、そして後半に入って49分には先制点とは逆にカルーのパスをロタンが決めて3-0とパリの花火大会となる。メッスに1点を許すが、締めくくりはまたカルーがアシストし、途中出場のクリストフ・ランドランがゴールを決めて4-1という大勝で幸先よいスタートを切った。

■コートジボワール代表のカルーが活躍した理由

 特筆すべきはこの試合1ゴール3アシストと全得点にからんだカルーであるが、カルーのこの活躍には実は事情がある。カルーは前述したとおり、コートジボワール代表であるが、コートジボワール代表は8月17日にモンペリエでフランス代表と親善試合を行う。当初フランスはこの日にアルゼンチンを迎える予定であったが、フランス国内だけではなくアルゼンチンでの試合も行うというホームアンドアウエー方式の親善試合のためアルゼンチンでの日程が確保できず、キャンセルされ、対戦相手がコートジボワールに変更されたという経緯がある。
 フランスと対戦するコートジボワール代表を率いるのはかつてパリサンジェルマンの監督も務めたことのあるアンリ・ミッシェル。このミッシェル監督がフランス国内のリーグに所属する選手の視察を兼ねてフランスを訪問、そしてこの日はカルーの試合を見るためにパルク・デ・プランスを協会首脳とともに訪問し、カルーとも面談を行っているのである。代表監督や協会首脳の訪問でカルーが発奮しないわけがない。近年欧州のクラブに多くの日本人選手が所属しているが、彼らの成績は芳しいものではない。代表チームのスタッフや協会の幹部が彼らの試合を見に来ているという話もあまり聞かない。国外のクラブに所属する選手に対して協会、代表チームのケアが足りないように感じられるが、日本の皆様はどのように感じられているであろうか。(続く)

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