第849回 2007-08フランスリーグ・フィナーレ(6) サンテエチエンヌがUEFAカップ出場権獲得

■抽選に漏れてフェアプレー枠を獲得できなかったフランス

 前回の本連載ではチャンピオンズリーグ出場をかけた3位争いを紹介し、マルセイユが出場権を得たことを紹介したが、最終節で順位を逆転されたナンシーはUEFAカップに挑戦することになる。フランスからのUEFAカップのチケットはUEFAが定めたリーグごとのランキングに基づき、フランスカップやリーグカップの優勝チームを含めて4チームであるが、各チームの欧州カップでの成績を基にしたランキング以外での出場権があり、それがフェアプレー枠である。これはUEFA主催の代表チーム、クラブチームの試合での警告や退場、チームやファンの態度などを指数化したものであり、この過去1年間の数値を反映したフェアプレーランキングから3つのリーグがUEFAカップ出場枠を1つずつ獲得することができる。
  この年間のフェアプレーランキングでトップはイングランドであり、文句なくUEFAカップ出場枠を獲得した。それ以外の2チームはこのフェアプレーランキングで8ポイント以上の協会が7つあり、その7協会から抽選で2協会を選んだ。この抽選はフランスリーグ最終節を控えた5月13日に行われ、フランスもその候補であったが、抽選の結果フェアプレー枠はドイツとデンマークに割り当てられた。

■リール、サンテエチエンヌ、レンヌ、ルマンが争う最後のチケット

 フランスリーグからは当初どおり、2チームがUEFAカップへ進むことになった。そのうち1チームはナンシーとマルセイユのうちいずれかであり、残る椅子は1つ、これを5位リール(最終節を迎える段階での勝ち点56、得失点差+13)、6位サンテエチエンヌ(55、+9)、7位レンヌ(55、+2)、8位ルマン(53、-2)で争うことになるのである。
 このうち、サンテエチエンヌ以外の3チームはアウエーでの戦いとなるが、勝ち点差で1点有利なリールは、ボルドーでロリアンと戦い、いわば中立地での戦いと有利な立場にある。

■サンテエチエンヌがUEFAカップ、レンヌがインタートトへ、リール失速

 同時にキックオフされた4試合でまずスコアが動いたのがサンテエチエンヌのジェフロワ・リシャール競技場である。ホームの緑の軍団のバフェタンビ・ゴミスが4分に先制点、5分にも追加点をあげる。5位争いの2番手であるサンテエチエンヌを3番手のレンヌ、4番手のルマンが上回るには最低でもサンテエチエンヌ以上の成績を残さなくてはならない。しかし、レンヌ、ルマンとも序盤に失点を許してしまう。レンヌは32分に追いついたが、これではまだ足りない。そしてルマンは13分、34分と失点を重ねてしまう。そしてサンテエチエンヌは32分にジョフレイ・デルニスが3点目、これで勝利を確定的なものにし、少なくとも追っ手のレンヌとルマンを振り切り、照準は前を走るリールである。
 その一歩リードして出発したリールは勝利すればライバルたちの勝敗に関係なくUEFAカップの出場権を手に入れることができる。しかし、中立地の試合であるが、苦しい戦いとなり、なかなかゴールを奪うことができない。それどころか前半終了間際の43分にロリアンに先制点を許してしまう。
 前半を終了した段階での順位は5位サンテエチエンヌ、6位リール、7位レンヌとなっており、5位争いはサンテエチエンヌがリードしている。リールは57分にフェルナンデス・ミッシェル・バストスがFKから同点ゴールを奪う。これで5位争いは面白くなってきた。サンテエチエンヌの勝利が確実であるとしてもリールは勝利すれば、UEFAカップへの出場権を獲得する。しかしながら、リールは勝ち越し点を奪うことができず、UEFAカップへの道をサンテエチエンヌに譲る。リールは後半になってナンシーに勝ち越したレンヌにも勝ち点で抜かれてしまい、レンヌがインタートトに出場する。また、この最終節は10試合で43ゴールと大量のゴールが生まれた。

■優勝目指すボルドーに勝てなかったランスが降格

 そして降格争いについては前々回の本連載で紹介した通り、ボルドーに勝てなかったランスが18位にとどまり、降格する。パリサンジェルマン、そしてトゥールーズは降格を免れることになった。気の毒だったのはランスのナディール・ベラジャとロイック・レミ、2人とも冬の移籍市場でリヨンから移籍してきた。つまり、今季の前半は優勝チームに在籍し、後半は2部降格に所属すると言う珍記録となったのである。(この項、終わり)

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