第1797回 秋の王者はマルセイユ (3) 勝ち点1差が続くマルセイユとパリサンジェルマン

 4年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■マルセイユ、アウエーでロリアンと痛恨のドロー

 11月下旬の第14節、第15節とマルセイユ、パリサンジェルマンとも連勝し、パリサンジェルマンが暫定首位に立ったこともあるがマルセイユが勝ち点1の差で首位をキープし、12月を迎えた。
 12月最初のリーグ戦となる第16節は平日に行われる。マルセイユは火曜日の12月2日に登場、アウエーのロリアンでの試合である。相手のロリアンは15位、確実に勝ち点3を獲得したいマルセイユは32分にディミトリ・ペイエが先制点、3連勝に向けて幸先の良いスタートを切るが、ロリアンは5分後の37分、ジョルダン・アユーが同点ゴールを決める。その後マルセイユは勝ち越し点をあげることができず、結局1-1のドローとなってしまう。マルセイユは勝ち点1しか積み上げられず、パリサンジェルマンとの勝ち点差は2に広がっただけであった。

■久しぶりのサッカーの試合となるリール

 その翌日、12月3日、パリサンジェルマンはリールとアウエーで対戦する。リールの本拠地ピエール・モーロワ競技場は本連載第1780回から第1788回で紹介したテニスのデビスカップが行われ、その期間の試合は延期されたこともあり、リールは11月1日以来久しぶりの地元での試合となる。リールはヨーロッパリーグにも参戦しているが、国内外の試合で最後に勝利したのは9月末のリーグ戦第8節のバスティア戦、それ以来10試合連続で勝ち星がない。
 デビスカップでは2万4000人の観衆を集め、世界記録を更新したピエール・モーロワ競技場であるが、このパリサンジェルマン戦は試合と勝利から遠ざかっているファンを中止に4万5000人以上のファンが集まった。

■パリサンジェルマンもリールに引き分け、首位奪回ならず

 勝利すれば今季初めての首位の座となるパリサンジェルマン、明らかに調子を落とし、ヨーロッパリーグに出場しているとは思えないリールに対し、一方的に攻め込む。29分には右サイドのエセキエル・ラベッシからのクロスをエディンソン・カバーニが鮮やかに決めて、先制する。なおも追加点を狙うパリサンジェルマンであったが、42分、リールのCKをGKのサルバトーレ・シリグが誤って自陣ゴールに入れてしまう。リールは数少ないチャンスで同点に追いつく。
 後半開始早々はリールがチャンスをつかみ、両チームとも積極的な試合運びであったが、結局スコアは動かず、パリサンジェルマンは首位奪取に失敗し、勝ち点1差のまま次節を迎えた。

■パリサンジェルマン、マルセイユとも勝利した第17節

 続く第17節はその直後の週末に行われ、12月6日にパリサンジェルマンがナントを迎え、翌日の7日にマルセイユがメッスを迎える。
 パリサンジェルマンはチャンピオンズリーグのグループリーグの最終節のバルセロナ戦を直後に控え、バルセロナ戦も勘案したメンバー起用で主力選手の数人が先発を外れる。相手のナントは8位であるが、8分に米国代表としてワールドカップでも活躍したアレハンドロ・ベドヤが先制点を奪う。さらに12分にもパピー・ミソン・ジロボジがゴールを決めるが、副審がファウルのアピールでパリサンジェルマンは救われる。パリサンジェルマンは2013年の夏以来ホームでは負けていない。パリサンジェルマンが同点に追いついたのは34分、エースのズラタン・イブラヒモビッチがカウンターアタックから同点ゴール、パルク・デ・プランスが沸く。
 さらに後半立ち上がりの48分、イブラヒモビッチは25メートルのミドルシュートで逆転ゴールを決める。パリサンジェルマンはイブラヒモビッチの2ゴールで勝利、暫定首位となったのである。
 マルセイユはその翌日にメッスをベロドロームに迎える。守備的なメッスに対して手を焼いたマルセイユであったが、前半終了間際の43分、アンドレ・ピエール・ジニャックが先制点を決める。しかし、メッスも後半開始直後の46分にフローラン・マルーダのゴールで追いつく。引き分け以下の場合首位を奪われるマルセイユに対し、ファンは熱い声援を送る。そのファンの思いが通じ59分にアンドレ・アユーが勝ち越し点、ロスタイムの92分位はペイエがゴール、3-1と勝利したマルセイユはパリサンジェルマンの首位を一夜の夢としたのである。(続く)

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