第2488回 パリサンジェルマン、足踏みの末に連覇(3) ホームで初のドロー、優勝は次節以降に持ち越し

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■第31節で優勝の可能性のあるパリサンジェルマン

 3月末の第30節で首位のパリサンジェルマン、2位のリールともに勝利して、勝ち点20差をキープ、リールは残り8試合であることから、次の第31節にも優勝が決まることになった。4月7日に行われる第31節、15時からスタッド・ド・ランス、21時からパリサンジェルマン-ストラスブール戦が行われる。リールが引き分け以下でパリサンジェルマンが勝利すれば勝ち点差は22以上となり、残り7試合でリールは追いつくことができず、パリサンジェルマンの優勝が決まる。パリサンジェルマンは1試合消化試合が少なく、30試合目で優勝が決まるとなれば、3年前と並ぶ記録となる。パリサンジェルマンはこの1週間の間にフランスカップの準決勝を戦ったが、メンバーのやりくりに苦労する中で3-0と完勝した。

■微妙な判定が続き、リールは引き分ける

 リールと対戦するスタッド・ド・ランスは後半戦になって調子を上げ、特にホームゲームでは強く、昨年12月に負けて以来、ホームでは少なくとも引き分けであり、順位を6位まで上げてきた。この難敵に対しリールは優勢に試合を進めるが前半は両チーム無得点、後半に入って先制したのはリールであった。55分にCKからストッパーのジョゼ・フォンテがヘディングで先制する。ここから微妙な判定が試合の結果を左右することになった。78分にスタッド・ド・ランスはダンゴメがオフサイドライン上のウダンにパスをつなぎ、左足でシュート、一旦はオフサイドの判定が下ったが、ビデオ検証の結果、ゴールが認められる。そして後半のアディショナルタイム、ペナルティエリア内でリールのアダマ・スマオロの手にボールが当たったが、主審はハンドの判定をせず、試合は1-1のドローで終わったのである。
 リールはこの時点で勝ち点61、31試合消化時点で勝ち点61というのはチームにとって最高の成績である。前回リールがリーグ優勝した2010-11シーズンも31試合消化時点の勝ち点は59であった。通常であれば優勝も十分に可能な数字であるが今年はパリサンジェルマンが突出している。

■若手メンバーを多くそろえたパリサンジェルマン

 そのパリサンジェルマンはリールが引き分けたことによってストラスブールに勝利すれば優勝が決まる。ストラスブールは今季リーグカップを制覇したとはいえ、これまでリーグ戦でのパルク・デ・プランスでの戦績はパリサンジェルマンの21勝6分、今季のパルク・デ・プランスでの戦績は15戦全勝である。パリの町は試合前からあたかも優勝が決まったかのような空気であった。
 パリサンジェルマンはエディンソン・カバーニ、ネイマール、アンヘル・ディマリアなどを負傷で欠く。この試合にパリサンジェルマンのトーマス・トゥヘル監督が先発として送り出したのはエリック・シュポ・モタンとクリストファー・エンクンクという2トップでありキリアン。ムバッペはベンチスタート、いわゆるMCN抜きの布陣である。それ以外にも若手選手をちりばめた。

■先制するも逆転され、交代した主力でようやく追いついたパリサンジェルマン

 先制点はパリサンジェルマンである。13分にクロスボールをシュポ・モタンが左足で決める。パリサンジェルマンはパスをつなぎ、試合を支配する。しかし、若手選手の多いパリサンジェルマンはストラスブールのカウンターアタックに対する組織的な守備ができなかった。26分にはストラスブールはダコスタのシュートで同点に追いつく。さらにストラスブールは38分にCKのチャンスをつかむ。この処理をダニエウ・アウベスがミスし、アントニー・ゴンカルベスが逆転シュートを決める。試合を支配しているパリサンジェルマンであるが先制点を奪ったシュポ・モタンはその後は決定機にシュートを外し続ける。
 リードを奪われて折り返したパリサンジェルマンは早めの選手交代、60分にはムバッペ、ユリアン・ドラクスラー、76分にはティロ・ケーラーを投入する。82分にドラクスラーからのパスをケーラーが決めて同点となるが、勝ち越し点は遠かった。パリサンジェルマンは本拠地のリーグ戦16試合目で初めて勝つことができず、優勝は次節以降に持ち越しとなったのである。(続く)

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