第2490回 パリサンジェルマン、足踏みの末に連覇(5) ナントにも敗れ3試合連続で優勝を決められず

 8年前の東日本大震災、3年前の平成28年熊本地震、昨年の平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■カタール資本傘下で初めての4点差の敗戦となったリール戦

 パリサンジェルマンは2年連続8回目のリーグ優勝をかけてリールに乗り込んだが、結果は1-5という大敗であった。今季のパリサンジェルマンのそれまでの戦績は30戦して26勝3分1敗、引き分け以上で優勝を決めることができたわけであり、まさかの敗戦となった。パリサンジェルマンが2011年にカタール資本の傘下となってからは大型移籍を繰り返してチームを強化してきたが、国内リーグではそれ以来3点差で敗れたことが2回あるだけで、4点差で敗れたのは初めてのことである。

■フランスカップ準決勝のため未消化のナント戦で勝利すれば自力優勝

 2位のリールとは勝ち点17の差となり、リールは残りが6試合、パリサンジェルマンは7試合となったが、パリサンジェルマンは未消化のナントとの第28節を4月17日の水曜日に行う。パリサンジェルマンがこの試合で勝利すれば、パリサンジェルマンの優勝が決定する。また、引き分けた場合も、パリサンジェルマンとリールは残り6試合で勝ち点差が18となり、数字の上ではリールが勝ち点でパリサンジェルマンに追いつくことができるが、両チームの得失点差を比べるとパリサンジェルマンが+67、リールが+26と40ポイント近くの差があり、リールの優勝はほぼ不可能である。
 パリサンジェルマンとナントがフランスカップの準決勝で対戦したことから日程が変更となった。本来はパリサンジェルマンはチャンピオンズリーグの準々決勝を戦う日程になっているはずであったが、不本意な国内リーグ戦、しかし、自力優勝のチャンスである。4月3日に行われたフランスカップ準決勝はパリサンジェルマンが3-0と勝利している。しかしフランスカップ準決勝はパルク・デ・プランスで行われ、今度はナントの本拠地ボージョワールでの対戦となる。パリサンジェルマンはナントとしても目の前でパリサンジェルマンの優勝を見たくないところである。3日前にリールが見せたファイトを再現したいところである。

■負傷者を多く抱えるパリサンジェルマン

 4月7日のストラスブール戦、14日のリール戦と2試合連続で優勝決定を逃したパリサンジェルマンの課題は明白であり、負傷者の多さである。現在離脱しているのがネイマール、エディンソン・カバーニ、トマ・ムニエ、チアゴ・シウバ、マルキーニョス、そして長期離脱をしていたのがダニエウ・アウベス、レイバン・クルザワである。特にネイマールの離脱は長期化しており、大きな戦力ダウンとなっている。また選手層が厚く負傷者の穴を若手選手が埋めてきたが、2トップを務めるエリック・シュポ・モタンとクリストファー・エンクンクはチャンスをいかすことができず、負傷離脱者の回復をファンに祈らせる始末である。

■ナントにも敗れ、歴史的な連敗と大量失点

 そのパリのファンが祈る心のよりどころであるノートルダム寺院に火災が起こり、パリをはじめとするフランス国民は悲しみの中でキックオフを迎えた。この試合全体を通じて試合を支配するパリサンジェルマンは18分にダニエウ・アウベスが先制するが、歓喜はここまでであった。22分に同点に追いつかれると前半終了間際にはナントの2トップの一角アブドゥル・マジードに逆転ゴールを奪われる。
 後半に入ってもパリサンジェルマンをサッカーの女神はつき離す。52分にナントのCK、これをニアポストでクルザワがカットしたものの、ボールはダニエウ・アウベスの足元へ、ナントの攻撃陣の迫る中でボールをうまくコントロールできず、ダニエウ・アウベスは先制点を帳消しにするオウンゴールとなってしまい、2点のビハインドとなる。パスをつなぎ、ボールを支配したパリサンジェルマンは89分に1点を返し、2-3とするのが精一杯であった。3日前のリール戦に続いて連敗、優勝することができなかった。
 アウエーゲームが続いたとはいえ、パリサンジェルマンが国内リーグで連敗するのは2011年11月以来7季ぶり、2試合連続して3失点というのも2009年3月以来10季ぶり、そして優勝に王手をかけながら逃し続けた3試合の総失点は10点、3試合で10失点は1985年5月以来34季ぶりのことなのである。(続く)

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