第2830回 リール、10年ぶりにリーグ優勝(1) 後半戦の序盤で首位を奪回したリール

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■フランスカップを争った両チームは逆転リーグ制覇はならず

 前回までの本連載ではフランスカップについて取り上げてきた。ともにリーグ優勝の可能性を残したパリサンジェルマンとモナコの対戦となり、パリサンジェルマンが通算14回目の優勝を果たし、モナコは30年ぶりの優勝はならなかった。スタッド・ド・フランスで明暗の分かれた両チームであったが、その3日後にリーグ戦の最終戦が行われた。最終節を迎える時点で首位のリールとパリサンジェルマンは勝ち点差で1、モナコは勝ち点差3であり、リールの結果次第では逆転優勝も可能性があったが、リールが最終戦で勝利し、10年ぶり4回目の優勝を果たした。今回からリーグ戦の後半を振り返ってみよう。

■前半戦を首位で折り返したリヨン、僅差で追うパリサンジェルマンとリール

 リーグ戦の前半を折り返した段階の首位、すなわち「秋の王者」がリヨンであることは本連載の第2766回と第2767回で紹介した。前半戦が終わった時点で首位のリヨンの勝ち点は40、それを勝ち点1差でパリサンジェルマンとリールが追っていた。 フランスリーグは20チーム、全38試合である。後半戦は第20節から第38節であるが、第20節から第29節までの10節を後半戦の前半ととらえ、これら3チームを比較しよう。

■後半戦の初戦で首位を明け渡したリヨン

 リーグ後半戦の戦いを考えるうえで、国内リーグ戦以外のフランスカップ、チャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグとの兼ね合いである。今季のフランス勢でチャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグのグループリーグを勝ち抜いて決勝トーナメントに進出したのはパリサンジェルマンとリールであった。今季のリヨンは欧州カップへの出場権がなく、国内タイトルだけに専念している。昨季の悔しさもあってリヨンがそのままパリサンジェルマンとリールを振り切るのではないかと思われていた。しかし、リヨンは後半戦の最初の第20節で、ホームでのメッス戦で後半アディショナルタイムに決勝点を許し、0-1と敗れてしまう。
 リヨンを追うパリサンジェルマンとリールはともに勝利、勝ち点でリヨンを抜き去り、得失点差でパリサンジェルマンが首位、リールが2位となる。続く第21節でもこの上位3チームはそろって勝利した。

■パリサンジェルマンから首位を奪回したリールが首位をキープ

 しかし、第22節で首位のパリサンジェルマンに取りこぼしがあった。パリサンジェルマンは19位のロリアンに2-3と逆転負けしてしまう。これでパリサンジェルマンが3位に後退してしまい、リールが首位に躍り出る。
 リールは2月から3月にかけて行われたヨーロッパリーグの決勝トーナメントの1回戦ではオランダのアヤックス・アムステルダムにホーム、アウエーとも連敗して姿を消してしまったが、国内のリーグ戦は後半戦は4連勝、引き分けを挟んで3月14日に行われた第29節のモナコ戦まで10試合負けなし(7勝3分)で首位をキープした。
 後半戦の初戦で首位から陥落したリヨンであるが、その後は勝ち星を重ねる。モンペリアに敗れたが、第29節までの後半戦の戦績は6勝2分2敗であり、同期間のリールとの勝ち点差は4である。
 そしてチャンピオンズリーグでも勝ち進んでいるパリサンジェルマン、豊富な選手層で欧州の強豪との対戦を重ねる中で、週末は国内リーグを戦う。チャンピオンズリーグの決勝トーナメント1回戦はスペインのバルセロナと対戦した。その結果についてはすでに紹介した通り、2月16日のアウエーの試合で4-1と勝利、3月2日のホームでの試合は引き分け、準々決勝に進出している。しかし、このバルセロナとの試合の直後のリーグ戦ではモナコとナントにそれぞれホームで敗れている。そういうこともあり、第20節から第29節までの戦績は7勝3敗であり、この間に獲得した勝ち点21はリールより3つ少なく、リヨンより1つ多い。
 第29節を終えた時点で首位はリールで勝ち点63、勝ち点60でパリサンジェルマンとリヨンが並ぶが、得失点差でパリサンジェルマンが2位である。そして第30節から上位同士の直接対決が組まれているのである。(続く)

このページのTOPへ