第2838回 リール、10年ぶりにリーグ優勝(9) 上位4チームの力が突出、直接対決を制したリール

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■3位モナコはチャンピオンズリーグ、4位リヨンはヨーロッパリーグへ

 前回の本連載では最終節を迎える時点で3チームに優勝の可能性があったが、首位のリールがアンジェに勝利して、10年ぶり4回目の優勝を果たしたことをお知らせしたが、このシリーズの最終回として、今季のフランスリーグを総括したい。
 まずは、最終的な順位、上位から見ていこう。最終戦でブレストに勝利したパリサンジェルマンはリールに勝ち点で1及ばず2位となる。最終節を迎える時点で3位がモナコ(勝ち点77)、4位がリヨン(76)であったが、モナコはアウエーでRCランスとスコアレスドローに終わる。今季は久しぶりに欧州カップの出場権を逃したリヨンは最終節の結果では2位まで順位を上げることが可能であったが、ホームにニースを迎えた試合では前半はカール・トコ・エカンビの2ゴールで2-1とリードして折り返したが、後半の立ち上がりに2点を奪われて逆転負けを喫する。チャンピオンズリーグの出場のかかる3位争いはモナコが勝ち取り、リヨンは4位でヨーロッパリーグに出場となった。

■5位マルセイユと6位レンヌが来季の欧州カップ出場権を獲得

 このシリーズではこの上位4チームしか紹介してこなかったが、5位チームはヨーロッパリーグ、6位チームには新設されるヨーロッパカンファレンスリーグへの出場権が与えられる。最終節を前にしてマルセイユ、RCランス、レンヌの3チームが5位から7位までの順位の可能性があった。最終節を前にして5位だったマルセイユが引き分けて5位をキープ、6位のRCランスはモナコとスコアレスドローで勝ち点を1加えたものの、7位のレンヌが降格の決まっているニームに勝利して、勝ち点3を加えて6位に上昇し、新タイトルにフランス勢として初挑戦することとなった。

■突出した成績の上位4チーム、直接対決で無敗のリール

 今季のフランスリーグは上位4チームとそれ以外のチームの力の差が明白であった。後半戦は上位4チームが固定し、これ以外のチームが4位以内に入ることはなかった。4位のリヨンと5位のマルセイユの勝ち点の差は実に16であった。また、得失点差を見ればさらに明白であり、プラスだったのは7位のRCランスまでであるが、首位リールは+41,2位パリサンジェルマンが+58、3位モナコが+34、4位リヨンが+38と30以上であるのに対し、5位マルセイユは+7、6位レンヌは+12、7位RCランスは+1であり、一時期は二桁以上の得失点差は上位4チームだけ、そしてそれが+30以上ということもあった。
 優勝したリールであるが、勝ち点は83であったが、これも2014-15シーズン以来の少ない勝ち点(途中打ち切りの昨季は除く)での優勝であった。
 過去3年連続でリーグ優勝してきたパリサンジェルマンは、今季はわずかに届かなかった。パリサンジェルマンの最終成績は26勝4分8敗であり、シーズンに8敗以上したのはちょうど前回リールが優勝し、自身は4位に終わった2010-11シーズン以来10年ぶりのこととなる。
 接戦だった上位4チームであるが、上位4チーム間の直接対決の成績には大きく違いが表れた。リールは3勝3敗(勝ち点12)、パリサンジェルマンは1勝1分4敗(4)、モナコは2勝1分3敗(7)、リヨンは3勝1分2敗(10)であり、4強対決で卓越した成績を収めたリールは優勝にふさわしい。

■無観客試合の影響か、14チームはホームよりもアウエーの方が好成績

 一方、19位のニームと20位のディジョンが自動降格となり、2部1位のトロワが復帰、2位のクレルモンは初昇格となる。18位のナントと2部3位のトゥールーズはプレーオフを行い、1勝1敗でアウエーゴールルールにより、ナントが残留した。
 また、今季は新型コロナウイルスの感染拡大のため、シーズン序盤は観客数を制限して行い、10月以降は無観客となった。ホームよりもアウエーの成績の方が成績の良いチームが半数以上の14チームとなり、特に上位4チームのうちモナコ以外の3チームは外弁慶であった。欧州選手権明けの来季が待ち遠しい。(この項、終わり)

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