第2871回 2021-22シーズン開幕(4) 衝撃の退団宣言から1年、バルセロナに残留できなかったリオネル・メッシ

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■チャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦でパリサンジェルマンと対戦

 バルセロナで20年近く主力として活躍してきたリオネル・メッシ、チャンピオンズリーグにおいてキャリアの序盤ではリヨンを下し、2010年代に入ってからはパリサンジェルマンの壁となってきた。前回の本連載ではメッシがパリサンジェルマンと対戦した4回(8試合)のうち、最初の3回を紹介し、いずれも決勝トーナメントでバルセロナがパリサンジェルマンを下した。
 最新のメッシとパリサンジェルマンの対戦は今年の2月のことであり、本連載でも第1戦は第2783回から第2785回、第2戦は第2794回と第2795回で紹介したとおりである。メッシのバルセロナは初めてパリサンジェルマンに敗れた。ただし、メッシに着目するならば、この2試合では孤軍奮闘、バルセロナの全得点をあげている。そしてメッシについてはその前のシーズンまでさかのぼって紹介しなくてはならない。

■バイエルン・ミュンヘンに記録的な大敗

 2019-20シーズンはシーズン終盤に新型コロナウイルスの感染拡大によって大きく影響を受けたが、チャンピオンズリーグは準々決勝以降を8月下旬にポルトガルのリスボンで集中開催し、全日程を終了した。グループリーグを無敗で首位通過したバルセロナは決勝トーナメント1回戦の第1戦、イタリアのナポリとアウエーで1-1で引き分けたところで新型コロナウイスルの感染拡大によって中断する。8月8日に無観客のカンプノウでの試合、メッシも得点をあげて、ナポリに3-1と勝利、リスボンでのファイナル8に出場する。
 リスボンでは1回戦制の試合となり、準々決勝の相手はドイツのバイエルン・ミュンヘンである。優勝することになるチームであるが、8月14日の試合はバルセロナにとっては黒い歴史となった。4分にトーマス・ミューラーに先制点を許し、ダビド・アラバの押印ゴールで7分に追いついたところまではよかった。そこから大量失点をする。前半には3点を奪われて、1-4でハーフタイムを迎える。後半に入ってもバルセロナはルイス・スアレスが1点を返したものの、その後はバイエルン・ミュンヘンが面白いように得点を重ね、最終的には2-8というスコアで敗れてしまう。この試合の主将はメッシ、この大敗でバルセロナはシーズンを終了する。

■シーズン終了後、世界を驚かせた退団宣言から契約ラストシーズンへ

 そしてシーズン終了後、メッシはクラブの首脳陣に対する不満をあらわにし、退団を宣言する。世界中を驚かせた事件であったが、結局は退団の際の7億ユーロと言われる違約金がネックとなり、メッシは退団を思いとどまる。
 そのメッシが契約満了となるラストシーズン、5度目のチャンピオンズリーグ制覇を目指した。スペインリーグのチャンピオンとなれなかったため、第2シードとして出場、グループリーグではイタリアのユベントスに首位の座を僅差で譲り、2位通過で決勝トーナメントに進出した。

■孤軍奮闘するも初めてパリサンジェルマンに敗れる

 決勝トーナメントの相手はこれまで3回とも退けたパリサンジェルマン。しかし、パリサンジェルマンには若きスターのキリアン・ムバッペ、そしてこの日は出場しなかったがかつてのチームメイトのネイマールもいる。カンプノウでの第1戦、キャプテンマークを付けたメッシは27分にPKを決めて先制したが、32分にムバッペが同点ゴール、さらにムバッペは2点を奪い、ハットトリックを達成する。モイス・キーンも得点し、バルセロナはホームで1-4と大敗する。パリでの第2戦、パリサンジェルマンは余裕の戦いでムバッペがPKで先制する。一方バルセロナはメッシが同点ゴールを決めたが、ここまで。メッシのバルセロナは決勝トーナメント1回戦で姿を消す。国内リーグ戦でも3位にとどまった。
 契約満了となったメッシは愛するバルセロナへの残留を望んだ。しかし、ここで問題となったのがフィナンシャルファインプレーである。メッシの高すぎる年俸がこの規定に抵触する。メッシは年俸を半額にしてもバルセロナに残ることができない。そしてメッシを受け入れたのがカタール資本の支えるパリサンジェルマンだったのである。(続く)

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