第3016回 2021-22フランスリーグフィナーレ(2) 6チームが欧州カップ出場争い、2位に躍り出たモナコ

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■前半はブレストにリードを許したモナコ

 残り2試合となったフランスリーグの第37節は5月14日の土曜日、21日にフランス各地で10試合が同時にキックオフされた。この時点でチャンピオンズリーグの出場権を争うチームの勝ち点は、2位マルセイユが68、3位モナコが65、4位ニースが63、5位レンヌ62である。その中で最も注目を集めたレンヌ-マルセイユ戦については前回の本連載で紹介した通り、前節で5位に転落したホームのレンヌが2位のマルセイユに2-0と勝利した。
 第37節のそれ以外の上位チームの戦いについて紹介しよう。第37節を迎える時点で3位のモナコは前節で前年王者のリールにアウエーで勝利し、予備戦経由とはいえチャンピオンズリーグの出場圏内にモナコは入った。モナコはここまでリーグ戦8連勝で順位を7位から3位まで上昇させた。2022年になってからのモナコの戦績は11勝3分3敗で勝ち点は36、これはパリサンジェルマンをしのぎ、最もよい成績である。この勢いのままチャンピオンズリーグに出場かと思われたが、第37節のブレスト戦では苦戦した。相手のブレストは11位、しかしアウエーのブレストは前半はモナコを圧倒する。そして10分に先制点、24分に追加点をあげる。その後もブレストはシュートの精度が高く、モナコのゴールの枠内にシュートを連発し、モナコのチャンピオンズリーグ出場に待ったをかける勢いであった。

■ウィッサム・ベンイェデルのハットトリックでモナコが逆転勝利

 ようやくモナコにチャンスが訪れたのは41分のことであった。モナコのCKがゴール前に上がる。このボールをモナコの点取り屋のウィッサム・ベンイェデルとブレストで2点目をあげたベライリが競り合う。この時にベライリの腕にボールが触れたのではないかということでVARとなる。その結果、モナコにペナルティが与えられる。キッカーはベンイェデル、冷静に決めて今季8本目のPK成功、通算得点も22となり、得点王ランキング首位のキリアン・ムバッペ(パリサンジェルマン)と3点差に迫った。そのベンイェデルはゴールの喜びも表さず、センターサークルにボールを率先して運ぶ。さすが主将である。
 この主将のゴールがモナコに火をつけた。前半のアディショナルタイムにも得点機が2回あったが、ゴールが生まれたのはハーフタイムの後であった。51分にベンイェデルが左足で同点ゴールを決める。さらに55分にもベンイェデルがヘディングで逆転ゴールを決め、ハットトリックを達成し、ムバッペと得点王争いで並んだ。モナコは70分にはケビン・フォランドが追加点をあげ、4-2と勝利する。
 勝利したモナコは勝ち点3を獲得し、マルセイユと勝ち点で並ぶ。得失点差はモナコが+25、マルセイユが+21となり、モナコが2位に躍り出る。ベンイェデル劇場はモナコをチャンピオンズリーグの本戦へ近づけたのである。

■ニース、クリストフ・ガルティエ監督の古巣のリールに敗れて後退

 ニースはリールを迎えて、チャンピオンズリーグを目指す。本連載でも紹介した通り、今季のニースの快進撃は、昨年までリールを率い、10年ぶりのリーグ優勝に導いたクリストフ・ガルティエを招聘したことが大きいであろう。ところがこの試合はすでに欧州の道が断たれた昨年の王者が意地を見せた。ニースは31分にジュスティン・クライフェールトがあげ、ハーフタイムを迎えたところまではよかった。しかし、リールは昨年のヒーローのジョナサン・デイビッドが52分に同点ゴール、さらに61分には逆転ゴールを決める。ニースのベンチのガルティエ監督はフラストレーションがたまり、審判団が注意をする。同点ゴールを決められないニースに対し、リールは後半のアディショナルタイムにティモシー・ウェアが追加点をあげる。ニースはホーム最終戦で手痛い逆転負け、勝ち点63のままで最終戦を迎える。

■最終戦に望みをつないだストラスブールとRCランス

 そして6位のストラスブールは今季昇格してきたクレルモンに1-0と勝利し、勝ち点を63とし、ニースと勝ち点で並び、得失点差で上回り5位になる。また、7位RCランスもアウエーでトロワに勝利し、勝ち点を61として最終節での逆転で欧州カップ出場を狙うのである。(続く)

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