第3132回 年末のリーグ戦再開 (6) モナコの17歳の新星、エリス・ベンセギル

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■ワールドカップ組が復帰し、ニースに勝利したモナコ

 前回の本連載では62年ぶりに1月1日に行われた試合で2位のRCランスが首位のパリサンジェルマンを3-1で破ったことを紹介したが、今回はそれ以外の注目チームの動向を紹介しよう。
 中断前3位のレンヌは再開後初戦の第16節でスタッド・ド・ランスに敗れた。レンヌはフランスのクラブとしてはパリサンジェルマンの11人に次ぐ8人をワールドカップに送り込み、再開初戦はワールドカップ組のうち2人しか先発出場しなかった。レンヌの再開第2戦はホームでのニース戦である。ワールドカップ組は先発には復帰してきたクロアチアのロブロ・マイエルを含み4人、交代出場2人でニースを圧倒し、3-1と勝利し、首位のパリサンジェルマンとの勝ち点差を中断前と同じ10に戻した。

■トゥールーズに大勝したマルセイユ

 そして再開後連勝したのがマルセイユである。再開の時点でパリサンジェルマンとは勝ち点11差の4位、ワールドカップにもフランスのマテオ・ゲンドウジ、ジョルダン・ベレトゥ、セネガルのバンバ・ディアン、パプ・ゲイエ、カメルーンのシモン・エンガパンドゥエトンブの5人の選手を送り込んでいる。12月29日にベロドロームで行われたトゥールーズ戦にはこのうちゲイエが先発した。マルセイユは前半に2点を先行、後半になってもゴールを積み重ね、6-1というスコアで勝利した。終盤にはディアン、ベレトゥも出場した。

■モンペリエにも勝利し、3位に浮上したマルセイユ

 そのマルセイユは1月1日にはアウエーでモンペリエと対戦した。モンペリエのゴールを守るのはワールドカップではスイスの第3GKのヨナス・オムリン、ワールドカップ期間中は実戦から離れていたが、リーグ再開のロリアン戦には出場し、2-0と勝利、クリーンシートを記録している。前半は両チームとも得点をあげることができなかったが、後半開始早々にマルセイユはポルトガルの新星、ヌーノ・タバレスのゴールで先制、さらにオウンゴールで追加点を入れる。終了間際にPKで1点を返されるが、ゲンドウジも戦線に復帰、終盤に出場し、19歳のエンガパンドゥエトンブ以外は復帰する。連勝して首位との勝ち点差は8、順位を3位にあげて優勝争いに参戦したのである。

■17歳のエリス・ベンセギル、1部デビュー戦で2得点をあげる

 マルセイユ同様に連勝したのがモナコであり、まずオセールを迎える。中断前は首位とは勝ち点14差の6位であり、日本の南野拓実を含む6人がワールドカップにエントリーした。しかし、モナコにとって最大の注目選手はワールドカップのメンバーから外れたウィッサム・ベンイェデルであろう。開幕直前にカリム・ベンゼマが負傷して離脱した際に真っ先に代替メンバーとして名前が挙がったが、ディディエ・デシャン監督は追加メンバーを招集しなかった。そのベンイェデルと2トップのコンビを組むのはスイス代表として活躍したブレール・エンボロである。また最前線のベンイェデルを支えるワイドのMFの位置には南野が入り、左のサイドDFにもセネガルのイスマイル・ヤコブスとワールドカップで活躍した選手が並ぶ。またベンチにはフランスのユスフ・フォファナとアクセル・ディザジ、セネガルのクレパン・ディアタが控え、ワールドカップメンバーが全員ベンチ入りした。
 劣勢だったオセールが30分にPKで先制するが、前半終了間際に南野が倒されてモナコもPKを得て、主将のベンイェデルが決めて同点に追いつく。
 後半開始時にモナコはベンイェデル、南野を含む3人を交代する。ここで登場したのが1部リーグのデビュー戦となった17歳のエリス・ベンセギルである。ベンセギルは58分と85分に2ゴールをあげる。ワールドカップに出場したメンバーを差し置いて、この試合の主役となり、モナコが3-2と勝利した。
 ベンセギルは第17節のブレスト戦ではベンイェデルに代わって先発する。ベンセギルは得点こそ奪えなかったが、この試合でも卓越した技を見せる。試合はアレクサンドル・ゴロビンの得点でモナコが1-0と勝利し、順位を5位にあげたのである。(この項、終わり)

このページのTOPへ