第3201回 終盤を迎えたフランスリーグ(4) RCランス、パリサンジェルマンとも勝利した第35節

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■優勝争いだけでなく、欧州カップ出場、降格争いも注目の終盤戦

 フランスリーグは、マルセイユとの2位争いに勝ち抜いたRCランスがパリサンジェルマンと勝ち点6差で残り4試合となった。注目は優勝争いだけではなく、チャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグ、ヨーロッパカンファレンスリーグという欧州カップへの出場権争い、降格争いも終盤戦の注目ポイントである。特に降格争いについては今季は4チームが2部に陥落することから下位チームの関係者は心が休まらない。優勝を目指す両チームの直接対決はないが、第36節まではキックオフ時間がまちまちであるため、暫定の勝ち点や順位が試合展開にも影響を及ぼす。
 5月12日から行われた第35節では、パリサンジェルマンとRCランスのファンにとってはしびれる展開となった。

■序盤に退場で10人となり、PKで先制されたRCランス

 まず、金曜日の5月12日にRCランスがスタッド・ド・ランスをホームに迎えた。勝利してパリサンジェルマンとの勝ち点差を3につけておきたい。しかし、19分、RCランスはストッパーのケビン・ダンソはスタッド・ド・ランスのジンバブエ代表のマーシャル・ミュネツイのスピードについていくことができず、ペナルティエリア内で後ろから倒してしまう。このプレーに対し、主審はPKを与えるとともにダンソにレッドカードを提示する。RCランスはこの時点で10人になってしまい、さらにPKをフォラリン・バロガンが決める。RCランスは残り70分を10人で戦い、優勝のためには2点が必要というピンチに立たされたのである。

■チームが結束し、10人で逆転勝利し、勝ち点3を獲得したRCランス

 しかし、このプレーがRCランスの「黄金と血」に火をつけた。数的不利な中で組織的に守備を行い、追加点を許さない。前半の40分にはアドリアン・トマソンが攻め込み、ペナルティエリア内で倒されてしまう。今度はRCランスにPKが与えられ、ポーランド代表のプレミスワフ・フランコフスキが決めて同点に追いつく。
 3万7000人のファンの声援も後押しし、後半に入って55分にはクロスを受けたセコ・フォファナが右足で振りぬき、逆転ゴールとなった。残り35分間、RCランスはスタッド・ド・ランスの攻撃を耐え、2-1で勝利、ホームゲーム2000試合目というメモリアルマッチを見事な勝利で飾ったRCランスはパリサンジェルマンとの勝ち点差を3としたのである。

■大勝してACアジャクシオを降格させたパリサンジェルマン

 その翌日の土曜日の21時、パリサンジェルマンはパルク・デ・プランスにACアジャクシオを迎える。ACアジャクシオはこの時点で勝ち点23の18位、パリサンジェルマンにとっては楽な相手に思われるかもしれない。しかし、ACアジャクシオは1部に残留するためには残り全勝するしかない。欧州でのタイトルを逃したことからスター選手のリオネル・メッシ、ネイマールなどの移籍に揺れるパリサンジェルマン相手に勝利したいところである。
 試合開始前のメンバー紹介、移籍を噂されている選手には拍手だけではなくブーイングも浴びせられる。しかし、試合が始まってみれば、地力に勝るパリサンジェルマンが一方的にボールを支配するといういつも通りの展開となった。先制点は22分いフェルラン・ルイスが決める。33分にはアクラフ・ハキミが追加点をあげ、前半は2-0というスコアで折り返す。
 後半に入るとキリアン・ムバッペが47分、54分に連続得点をあげる。ムバッペは試合前まで得点ランキングでリヨンのアレクサンドル・ラカゼットと24点で並んでいたが、単独トップになった。さらにパリサンジェルマンは73分にもオウンゴールで得点を追加、終わって見れば5-0と大勝した。
 敗れたACアジャクシオは2部降格が決定、今季24敗目となり、これは前回2部に降格した2013-14シーズンの23敗を更新するチームのワースト記録となった。
 そして勝利したパリサンジェルマンは2位RCランスと再び勝ち点差を6として残り3試合となり、早ければ次節にも優勝を決めることができるのである。(続く)

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