第3557回 2024-25フランスリーグ、フィナーレ (5) 入替戦はスタッド・ランス-メッス戦

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■2部の3位から5位までのチームが参加するプレーオフ

 前回の本連載では2部から1位のロリアンと2位のパリFCが昇格してくることを紹介した。1部と2部の間は2チームが自動昇格と自動降格があるが、もう1チームが入替戦となる。フランスでは入替戦が行われない時期が長く続いたが、チーム数の減少やリーグカップの廃止などの日程の緩和が入替戦の復活となった。
 入替戦の対象となるのは1部は下から3番目の16位のチーム、これはスタッド・ド・ランスである。そして2部は入替戦に出場するためにプレーオフが行われ、プレーオフには3位から5位までのチームが出場する。3位になったのは1部から降格したメッス、4位はダンケルク、5位はギャンガンである。プレーオフはまず4位チームのホームで5位のチームと1回戦制で対戦し、その勝者が3位のホームで1回戦制で対戦、この勝者が1部16位のチームとホームアンドアウエーで対戦する。

■クラブ史上最高の成績を残した4位ダンケルク、5位ギャンガンを下す

 5月10日にリーグ戦の最終節が行われ、14日にはプレーオフが始まった。4位のダンケルクは歴史の古いチームであるが、これまで1部でプレーしたことはない。1960年代から1990年代まで2部に30年間在籍したが、その後下部のリーグに降格、2020年にほぼ四半世紀ぶりに2部に復帰、2部でも常に下位で、ナショナル1部に降格したこともあったが、今季は4位になり、2部がブロック制でなくなってからはクラブ史上最高の成績を残した。またフランスカップでも準決勝に進出した。
 ギャンガンとの試合は、試合を支配したダンケルクが、後半の立ち上がりに得点をあげ、そのまま勝利し、初の1部昇格に一歩を刻んだ。

■1年で1部復帰を目指す3位メッス

 そのダンケルクを17日にホームで待ち受けていたのがメッスである。メッスのサンシンフォリアン競技場での試合、後半に入って59分にダンケルクの選手がレッドカードで退場、段軽くは1人少ない10人で戦う。しかし、ホームのメッスはそれでも得点を上げることができない。両チームとも得点のないまま、後半アディショナルタイムは6分と表示される。大会規定では90分間で同点だった場合は延長戦は行わずにPK戦で決着をつけることになる。このままPK戦かと思われたところ、93分にメッスのクロスをダンケルクの選手がオウンゴール、この1点でメッスが勝利した。レギュラーシーズンのこのカードでメッスは5点を記録しているが、そのうち3点は後半アディショナルタイムに記録されたものであり、シーズン3試合目となるプレーオフでも後半アディショナルタイムに得点を決めたのである。

■入替戦の間にフランスカップ決勝を戦うスタッド・ド・ランス

 1部への挑戦権を獲得したメッスであるが、その相手はスタッド・ド・ランスである。スタッド・ド・ランスは本連載第3555回で紹介した通り、最終戦を迎える段階では14位で残留圏内であったが、最終節でリールに敗れて16位に落ちた。シーズンのほとんどは15位以上の順位をキープしてきたスタッド・ド・ランスは、シーズン最後の敗戦で入替戦に臨むことになり、心の準備ができていないが、もう1つスタッド・ド・ランスが残留争いに向けて集中できなかった理由が、フランスカップで決勝に進出したからである。フランスカップの決勝はテレビ中継だけではなく、大統領のスケジュールも関連しており、5月24日の開催日程を動かすことはできない。
 スタッド・ド・ランスとメッスのホームアンドアウエー方式の入替戦は、21日に下位のメッスのホームで第1戦が行われ、フランスカップ決勝を挟んで29日に上位のスタッド・ド・ランスのホームで第2戦が行われる。
 第1戦はメッスに2万8000人近い観衆を集めて行われた。動きがよかったのはホームのメッスである。大観衆の声援を受けて、攻勢に出て、38分に主将のマチュー・ウドルが先制してハーフタイムを迎える。劣勢のスタッド・ド・ランスは後半開始時に選手を2人交代、これが功を奏し、52分に追いつく。試合はこのまま1-1のドロー、スタッド・ド・ランスはパリサンジェルマンとのフランスカップ決勝を戦って、ホームの第2戦に向かうのである。(続く)

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