第807回 リーグカップ4強出揃う(4) 対照的な初戦となったリヨンとマルセイユ

■チャンピオンズリーグの折り返し点から参戦したシードの2チーム

 前回の本連載ではリーグカップのベスト8決定戦の2つの見所のうち、ここまで勝ち残ってきた2部勢の戦いについて紹介し、2部勢の3チームが全て姿を消したことを紹介した。もう1つの見所は昨季リーグ1位、2位という成績を収め、このベスト8決定戦から参戦するリヨンとマルセイユの戦いぶりである。
 ベスト8決定戦が行われる週の前週と翌週にはチャンピオンズリーグのグループリーグが行われ、前週が第3節、翌週が第4節と言うことでちょうど折り返しの段階でリーグカップに参戦することになる。本連載第777回で紹介した通り、この段階でマルセイユは2勝1分、リヨンは逆に1勝2分という成績であったが、マルセイユは連勝スタートで始まり、第3節で引き分け、リヨンは連敗スタートで、ようやく第3節で初勝利と、第3節が両チームの流れを変えることになった。

■アウエーでカーンに完勝したリヨン

 リーグカップの初戦もその流れを象徴するような結果になった。リヨンはアウエーゲームで1部のカーンと対戦リヨンは17分に今季リールから移籍してきたカデル・ケイタが先制点をあげる。ケイタは2006年のワールドカップでも活躍し、1800万ユーロというリヨンのクラブ史上最高の移籍金を支払って獲得した選手である。1万6000人の観衆が応援するカーンは30分に同点に追いつくが、リヨンは試合終盤に勝利を決定付ける。76分にマテュー・ボドメールが勝ち越し点を上げ、ロスタイムにはカリム・ベンゼマが追加点を上げて、3-1と楽勝する。

■リーグ最下位のメッスに大苦戦のマルセイユ

 一方のマルセイユはリーグ最下位のメッスをホームに迎えながら、大苦戦となった。90分を終了したところで、両チーム無得点で延長戦となる。延長戦に入って間もない94分、マルセイユのママドゥ・ニアンがゴールネットを揺らす。これでマルセイユが勝利したかに思えたが、メッスは96分に追いつく。そして延長前半の終了間際の105分にマルセイユはTAXI 4 で日本の皆様にも有名になったジ
ブリル・シセが勝ち越し点を入れ、試合時間は延長広範の15分間だけとなった。マルセイユは延長後半を守りきるかと思えたが、120分にメッスのアブデゥレイ・バルデがベロドロームを沈黙させる同点ゴールを決めて試合はPK戦にもつれこむ。PK戦では4人目のキッカーまで両チームとも成功させ、5番目のキッカーで明暗が分かれた。メッスのセバスチャン・バッソンが失敗、マルセイユはシセが成功させ、マルセイユは地元で辛勝し、シードチームの面目を保った。しかし、マルセイユのその後のチャンピオンズリーグでの失速は、この段階でその予兆が見られたのである。

■ロスタイムの同点弾で息を吹き返したオセール

 最後に、1部勢が2部勢と戦った3試合、シードチームが出場した2試合以外の1部勢同士の3試合を紹介しよう。
 この中で最もスペクタクルとなった試合はオセール-ニース戦である。まずこの試合は序盤にスコアが動く。6分にオセールのブルーノ・ペドレッティが先制し、ニースは16分に得たPKをエデルソンが決めて、同点に追いつく。ここから長い沈黙のあと、終盤になってまた試合は動く。84分にニースが勝ち越し、ロスタイムに入りオセールはこれまでかと思われたが、92分にケニア代表のデニス・オリエクのゴールで追いつき、蘇生したのである。試合は延長戦となり、生き返ったオセールのゴールラッシュとなる。この30分間の延長戦の間にオセールは4ゴールをあげ、6-2と大勝してベスト8に進出したのである。
 UEFAカップのグループリーグに進出しながら元気のないレンヌはホームでバランシエンヌとの対戦となった。レンヌはこの試合も元気がなく、前後半に1点ずつ失点し、0-2で敗れてしまう。
 また、タイトルから離れて久しいモナコはランスを迎えた。かつてはリーグの優勝争いや欧州カップの常連だったモナコもこのところ精彩を欠いている。一方のランスは近年力をつけてきた。両チームの近年の勢いを象徴するような試合となり、ランスが先制、モナコも一旦は追いついたが、ランスが勝ち越し点を上げたのである。
 11月の初めにベスト8が出揃った段階で、リーグカップは年明けまで試合がなく、1部の8チームが越年したのである。(続く)

このページのTOPへ