第1274回 リーグカップ開幕(2) 明暗が分かれたRCランスとモナコ

 3月11日に起こった東北地方太平洋沖地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、救援活動、復旧活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■1部から降格したモナコとRCランス

 リーグ開幕を前に始まるリーグカップについて前回の本連載から取り上げたが、1、2回戦は2部以下のチームで行われる。今季の2部は有力チームが1部から降格し、最近1部から降格した名門チームが1部に復帰できないという2つの事象が重なり、1部で活躍した数多くのチームが2部で戦うことになった。十両に元三役力士が多数いると考えていただければよくわかるであろう。
 1部から降格してきた有力チームはモナコとRCランス、いずれも過去15年の間にリーグチャンピオンになっただけではなく、欧州カップでも活躍しているチームである。

■1部に復帰できないナント、メッス、ルマン、スダン

 一方、近年2部に降格しながら、1部復帰を果たせないチームとしてはナント、メッスなどがその代表であろう。ナントは2部で3シーズン目、2007年にも2部に降格したがこの時は1シーズンで1部に復帰している。今回も1季で復帰かと思われたが、降格初年は14位、2年目の昨季は13位と思うに任せない結果が続いており、新シーズンはファブリス・パンクラット、シルバン・ビルトールを補強した。また今季が2部4季目となるメッスも降格初年は5位、2年目は4位と惜しいところで1部復帰を逃したが、昨季は17位に低迷している。
 そして、2010年に2部に降格してきた3チームは1チームも1年での1部復帰ができなかったが、ルマンは3位のディジョンと同勝ち点で並んだが、得失点差で涙を飲んでおり、有力な昇格候補であり、5位のスダンも1部からの2007年に降格してきた。これらのチームはモナコやRCランスの降格もあり、1部復帰が今年はさらに難しくなり、2部が指定席になってしまう危険性がある。
 モナコやRCランスのファンは1年での1部復帰を想定しているが、このような顔ぶれをみると決して簡単なことではない。

■RCランス、本拠地で3-0と完勝

 その1部復帰争いに向けたリーグ開幕の試金石となるのが、このリーグカップである。7月22日には1回戦9試合が行われた。注目は1部から降格してきたRCランスがクレルモンを迎える試合と、名門スタッド・ド・ランスがナントと戦う試合であろう。
 RCランスの本拠地のフェリックス・ボラール競技場にはシーズン開幕前のリーグカップと言うのに1万5000人を超える大観衆が集まる。極めて異例の数の観衆であり、それだけ地元ファンが1年での1部復帰を期待していることの表れであろう。RCランスは直前の練習試合でオセールに勝利している勢いでクレルモンを圧倒し、3-0と完勝し、キックオフ前は不安と期待が入り混じっていた観客を安堵させる。
 そしてナントは古豪スタッド・ド・ランスとの戦い。かつては1部で優勝を争った両チームの戦いは90分を過ぎてもノーゴール、延長後半に入った114分にようやくナントが決勝点をあげて2回戦進出を決める。
 シーズン前の悪夢となったのがメッスである。ルアーブルとの戦いは4分、6分、19分と立て続けに得点を決め3-0とリードしたが、この得点差を守れず、4-4となって延長戦に入り、退場者を出したメッスは力尽き、4-5で1回戦敗退となる。また得失点差で1部昇格を逃したルマンは、昨季は記録的な弱さで2部に降格したアルル・アビニョンと対戦、1-0で勝利して1部復帰に向けた結果を残す。昨季このタイトルで旋風を起こしたナショナルリーグ勢であるが、バンヌは勝利したが、ニームは敗れている。

■注目のモナコ、いいところなく1-4で完敗

 モナコは別格で、翌日の23日に試合が組まれ、このスダン戦はテレビ中継も行われた。相手のスダンも先述のとおり昨季5位で2007年までは1部に在籍、決して弱いチームではないが、モナコが有利と思われていた。ところが、前半にスダンが2点をあげるという展開となった。後半に入っても50分、63分とスダンが追加点をあげ、4-0と大きくリード。モナコは67分に1点を返すにとどまり、1部復帰を目指すリーグ戦の開幕を前に早くも暗雲が立ち込めたのである。(この項、終わり)

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