第1662回 リーグカップ、ファイナリスト決定(4) 夢の決勝、パリサンジェルマン-リヨン戦

 3年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■リヨン-マルセイユ戦直後に行われた準決勝組み合わせ抽選

 リーグカップのベスト4はパリサンジェルマン、リヨン、ナント、トロワという顔ぶれになったが、準決勝の組み合わせ抽選は準々決勝最後の試合となるリヨン-マルセイユ戦の後にジェルラン競技場で行われた。この最後の4強の座をかけた試合は地元リヨンが勝ったが、ここでリヨンが敗退した後に準決勝の組み合わせ抽選が行われるとなったら何とも盛り上がらないことになったが、リヨンはファンの期待通りにマルセイユを2-1と下す。
 この組み合わせ抽選は試合に続きテレビで中継されたが、ここでもまたリヨンは地元のファンを喜ばせるくじを引いた。すでに準決勝進出チームは決まっており、パリサンジェルマン、ナントという1部勢との対戦は避けたいところである。そして決勝はスタッド・ド・フランスで行われることから準決勝は各クラブの本拠地で行われる最後の試合である。準決勝はリヨンで試合を行いたい。さらに準決勝は2月4日と5日に1試合ずつ行われるが、決勝の相手がすでに分かっている2日目の試合の方が盛り上がるであろう。
 ジェルランに集まったファンの期待通り、リヨンは準決勝で2部のトロワと対戦、そしてリヨンのホームゲーム、さらに2日目の2月5日に試合は行われることになった。

■2部から復帰してきたナントがパリサンジェルマンを迎え撃つ

 もう1つの準決勝は2月4日にナントがパリサンジェルマンを迎え撃つ。1990年代までフランスサッカーを沸かせ、2000-01シーズンを制し、今世紀最初のリーグチャンピオンとなったナントその後2回の2部降格の憂き目にあい、今季は5シーズンぶりに1部に復帰してきた。リーグ戦でも中位であり、このリーグカップでタイトルを取りたいところである。ボージョワール競技場には3万5000人のファンが集まる。ナントは今季のリーグ戦でパリサンジェルマンとの戦いを終えており、8月に行われたホームの試合では1-2と敗れ、1月に行われたばかりのアウエーの試合では0-5と大敗している。フランスカップは両チームとも敗退しているため、これが今季最後の対戦となり、3連敗を避けたいナントである。今季最初にして最後の勝利は13年ぶりのタイトルへの大きなステップになるはずだった。

■ズラタン・イブラヒモビッチ、2ゴールで初のスタッド・ド・フランスへ

 しかし、パリサンジェルマンにはズラタン・イブラヒモビッチがいた。5分にイブラヒモビッチは30メートル近いところからのロングシュート、まさに暗闇に閃光という表現がふさわしいスーパーゴールでナントのファンを沈黙させる。しかし、ナントも終盤の81分、左サイドDFのオリビエ・ベイグノーが同点ゴール。このまま試合は延長戦かと思われた90分、パリサンジェルマンはルーカスからのクロスをイブラヒモビッチがヘディングで決勝ゴール、2-1とナントを下し、スタッド・ド・フランスでの決勝戦進出を決めた。カップ戦のスペシャリストと言われるパリサンジェルマンであるが、過去2シーズンはフランスカップ、リーグカップとも決勝に進むことができず、カタール資本が入ってから初めてスタッド・ド・フランスのピッチに立つことになった。すなわちパリサンジェルマンのユニフォームを着たイブラヒモビッチが初めてスタッド・ド・フランスでプレーするのである。

■今季38試合目のリヨン、トロワに快勝し決勝へ

 パリサンジェルマンの決勝進出が決まり、その翌日のジェルラン競技場のピッチに立つリヨンのイレブンもモチベーションも高まった。今季のリヨンはチャンピオンズリーグの予備戦から参戦し、これまでに23試合のリーグ戦以外に14試合戦っており、これは最も多い。選手によってはこれ以外に代表チームでの試合もあるから相当疲労がたまっているはずであるが、最高のドローを引いたリヨンはトロワを寄せ付けなかった。13分にはアレクサンドル・ラカゼット、27分にはバフェタンビ・ゴミスが追加点、トロワの反撃を1点に押さえてパリサンジェルマン同様2-1というスコアで決勝進出を決める。
 リヨンがスタッド・ド・フランスで試合をするのは2年ぶり、2年前はフランスカップ、リーグカップとも決勝に進出し、フランスカップを制している。
 夢のカードとなった決勝戦は4月19日に行われるのである。(この項、終わり)

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