第746回 リヨン、ピースカップで優勝(2) 1勝1敗で迎えたグループリーグ最終戦

■メンバーの入れ替わった王者リヨン

 リーグ6連覇を果たし、7連覇そして欧州制覇を目指すリヨンはその準備となるピースカップ参戦のために、韓国に到着した。シーズンの変わり目に行われることから、一部メンバーの変更もある。エリック・アビダルはバルセロナ(スペイン)へ、フローラン・マルーダはチェルシー(イングランド)へ、ティアゴがユベントス(イタリア)へ移籍し、すでにチームを去り、新たなメンバーとしてインテル・ミラノ(イタリア)からファビオ・グロッソ、リールからカデル・ケイタを獲得している。またジュニーニョ、カサパのブラジルコンビを負傷で欠くと言う陣容である。さらにシルバン・ビルトールはレンヌなどとの移籍の交渉中であり、韓国に向けて仲間とともに旅立たなかった。

■清水に勝利するも、セバスチャン・スキラッチが負傷

 このようにメンバーを大幅に欠き、長旅の翌日にリヨンを待っていた敵は清水だけではなかった。台風の接近に伴う大雨の中で試合はキックオフされた。ジュニーニョを欠くことからアラン・ペラン新監督はこれまでの4-3-3システムではなく、4-4-2システムにトライする。この試合で2トップを務めたのはカリム・ベンゼマとロイック・レミーという若手のコンビ、そして30分にベンゼマが先制点をあげ、試合終了間際にもダメ押し点をあげて、長旅のリヨンは1勝したのである。リヨンの新システムも機能し、上々のスタートを切った。
 しかし、この試合が13日の金曜日となった選手が1人だけいた。それがリヨンの守備の要のセバスチャン・スキラッチであり、負傷のため前半で退場し、その後の試合出場が絶望となったのである。リヨンはこのピースカップには3回目の出場となるが、2003年大会ではシドニー・ゴブー、2005年大会ではアビダルを負傷で失っており、3回目の悲劇となったのである。

■勝ち星と2人目のストッパーを失ったレディング戦

 一方、第2戦のイングランドのレディング戦を控え、うれしいニュースがあった。それはビルトールの合流である。ビルトールは早朝に京城につくや否や、ジャン・ミッシェル・オーラス会長と会見した。ビルトールは練習不足と疲労のため、チームに合流するが、レディング戦には出場できなかった。レディング戦はクリスが主将を務めたが、全体的に精彩を欠き、60分に奪われた1点を返すことができず、0-1と敗れてしまった。また、主将のクリスも負傷し、スキラッチに続いてストッパー2人をリヨンは失ってしまった。

■首位チームだけに与えられる決勝のチケット

 ピースカップには8チームが参加し、4チームずつ2つのグループに分かれてグループリーグを戦うが、グループリーグで首位になったチームのみにしか優勝を争う権利がない。準決勝をなくすことにより日程の短縮につながるのでこのような大会方式になっているのである。
 第2節を終了した段階で、リヨンの所属するグループBの順位は、1位はアルゼンチンのリバープレート(勝ち点6、得失点差+2)、2位リヨン(3、+1)、3位レディング(3、0)、4位清水(0、-3)である。最終節でリヨンとリバープレートが直接対戦する。リヨンはリバープレートに勝利すればリバープレートと勝ち点で並び、得失点差でも優位に立つ。しかし、リヨンがリバープレートに勝利しても、忘れてはならないのがレディングの存在である。レディングも最終節で清水に勝てばリヨン、リバープレートと勝ち点で並び得失点差の勝負となる。レディングとリヨンの得失点差はわずか1点であり、レディングがすでに決勝進出の望みを絶たれた清水相手にゴールを重ねれば、レディングが得失点差で首位に立つ可能性も少なくない。また、リヨンとレディングは勝ち点、得失点差とも並ぶ可能性があり、その場合は抽選で決勝進出チームが決められる。清水を除く3チームに決勝進出の可能性がある最終節はリヨン-リバープレート戦が水原、レディング-清水戦が高陽で同時刻にキックオフされたのである。(続く)

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