第879回 再出発を期すスウェーデン戦(1) 欧州選手権メンバーの半数以上が入れ替え

■注目を集めたレイモン・ドメネク監督の選手選考

 欧州選手権での惨敗から2月、フランス代表が再出発を図る。恒例となった8月の親善試合が今年も行われる。世論の激しい解任要求を受けながらも留任したレイモン・ドメネク監督にとって、最初の関門となる。今年の親善試合の相手は北欧の古豪スウェーデンであり、8月20日にスウェーデンのエーテボリで試合が行われる。欧州選手権ではフランス同様グループリーグで敗退しているが、ベテランのラーシュ・ラガーベック監督もドメネク監督同様留任している。
 注目すべきは欧州選手権の選手選考で大きな批判を浴びたドメネク監督が今回はどのような選手を選ぶかである。スウェーデン戦の8日前の12日にドメネク監督は20人の名前を発表した。

■ベテランを中心に欧州選手権のメンバーが大量に入れ替え

 欧州選手権に出場した23人と比較すると大量のベテラン選手が離脱している。GKからはグレゴリー・クーペとセバスチャン・フレイが外れ、DFについては右サイドバックのビリー・サニョルとフランソワ・クレルク、左のサイドバックのエリック・アビダル、ストッパーのリリアン・テュラム、セバスチャン・スキラッチが招集されなかった。守備的MFからはクロード・マケレレ、パトリック・ビエイラが外れ、攻撃的MF、FWからはフランク・リベリとサミール・ナスリ、バフェタンビ・ゴミスの名前が外れ、結局欧州選手権のメンバー23人のうち過半数の12人はメンバーから外れてしまったのである。
 残った11人のメンバーを紹介すると、GKはスティーブ・マンダンダ、DF陣は左のパトリス・エブラ、中央のウィリアム・ギャラスとジャン・アラン・ブームソン、MFはラッサナ・ディアラ、ジェレミー・トゥーララン、シドニー・ゴブー、フローラン・マルーダ、FWのティエリー・アンリ、ニコラ・アネルカ、カリム・ベンゼマであり、攻撃陣は比較的メンバーが残り、守備陣は大幅にメンバーが変わることになった。

■新たに加わった9人の選手

 そしてこの大幅なメンバー交代により、9つの椅子が準備された。この9つの椅子を占めたのはGKのウーゴ・ロリス、DFのガエル・クリシー、ロッド・ファンニ、フィリップ・メクセス、バカリ・サーニャ、MFのアルー・ディアラ、マチュー・フラミニ、FWのハテム・ベンアルファ、ヨアン・グルクフと言うメンバーである。
 この9人のうちロリス、ファンニ、グルクフ、クリシーの4人は、フランス代表として試合に出場した経験がなく、欧州選手権のメンバーに加わりながら代表出場のチャンスに恵まれなかったマンダンダを加えると、20人のうち5人はフランス代表としての出場経験がない。しかし、ロリスは今年に入ってからフランスA'代表に入り、マリ戦、コンゴ民主共和国戦に出場し、クリシーもフランス代表A'の主要メンバーである。マンダンダもフランスA'では正GKであり、フル代表に入っているが試合出場に恵まれていないだけである。

■フランス代表に初招集のグルクフとファンニ

 一方、グルクフとファンニは昨年来3回招集されたフランスA'に入ることもなく初めてのフランス代表入りである。グルクフは19歳以下などのフランス代表を経験し、ジダン2世という呼び声も高い選手であり、シーズン前のチャンピオンズトロフィーでの活躍については本連載第874回で紹介したとおりであるが、リーグ開幕戦のカーン戦でも活躍し、代表入りした。
 そしてファンニについてはオリンピックを目指すアンダーエイジの代表に入ったことがあり、当時のドメネク監督の下でアテネオリンピックを目指したが、予選で敗れてしまう。ファンにはすでに26歳になってしまったが、右サイドバックのクレルクとサニョルが負傷しているため、思わぬチャンスが到来したのである。
 また、左サイドバックのアビダルは欧州選手権のグループリーグ第3戦のイタリア戦で退場処分を受けているためメンバーに入らず、クリシーがアビダルの代役として期待されている。ナスリも負傷により試合に出る状態ではなく、リストに入っていない。新たに加わった選手の活躍が楽しみな一戦となったのである。(続く)

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