第1071回 スペインと親善試合(2) 代表初招集のブノワ・シェイルーとミカエル・チアニ

■2月25日に24人の選手を発表

 今年最初の代表の試合となるスペイン戦だが、前回の本連載で紹介したとおり、ワールドカップ前にメンバーを選考することができる唯一の試合である。したがって、今回のスペイン戦のメンバーに選ばれることは代表入りのラストチャンスに近いものであると考えても差し支えない。
 2月25日にレイモン・ドメネク監督は24人の選手を発表した。GKはウーゴ・ロリス、スティーブ・マンダンダ、セドリック・カラッソの3人、DFはジュリアン・エスクーデ、パトリス・エブラ、ロッド・ファンニ、バカリ・サーニャ、アリー・シッソコ、ジャン・アラン・ブームソン、アディル・ラミ、ミカエル・チアニの8人、MFはラッサナ・ディアラ、ジェレミー・トゥーララン、ムッサ・シソッコ、ブノワ・シェイルー、ヨアン・グルクフの5人、FWはシドニー・ゴブー、ニコラ・アネルカ、ティエリー・アンリ、ロイック・レミ、ハテム・ベンアルファ、ジブリル・シセ、フローラン・マルーダ、フランク・リベリーの8人である。

■昨年11月のアイルランド戦と7人が入れ替え

 昨年11月のアイルランド戦と比較すると大幅なメンバー変更である。アイルランド戦も24人のメンバーが選出されたが、約3割の7人が入れ替わっている。GK は3人とも代わっていないが、DFは3人が入れ替わった。ウィリアム・ギャラス、エリック・アビダル、セバスチャン・スキラッチがメンバーからはずれ、ブームソン、ラミ、チアニの3人が加わった。MFではアルー・ディアラとアブー・ディアビが外れ、シェイルーが加わる。FWはカリム・ベンゼマ、アンドレ・ピエール・ジニャックに代わってベンアルファ、シセ、リベリーがメンバーに入る。
 スペイン戦のメンバーから7人の選手が外れているが、その理由は負傷によるところが多い。DF陣のギャラス、アビダル、スキラッチはいずれも怪我のため欠場となる。また、攻撃陣のジニャック、ベンゼマの2人も負傷している。
 今回のスペイン戦に臨む24人のうち、代表試合に出場した経験がないのは、GKのカラッソ、DFのラミ、シソッコとチアニ、MFのシェイルーの5人である。しかし第3GKのカラッソは昨年来、代表に招集され、マンダンダとロリスの控えであった。ラミは2年前のイングランド戦の際に代表に招集されている。シソッコも昨年のアイルランド戦で代表メンバーに加わっている。したがってチアニとシェイルーが初めての代表入りである。

■兄弟で代表入りしたブノワ・シェイルー

 シェイルーはマルセイユに所属し、28歳の選手である。3歳年上の兄のブルーノ・シェイルーもサッカー選手であり、フランス代表3試合と言う経歴を持つ。兄ブルーノはレンヌに所属していたが、今年の初めからキプロスのアノルトシス・ファマグスタに移籍してしまっている。昨季のチャンピオンズリーグで旋風を巻き起こしたチームとはいえ、都落ちの感は否めない。弟ブノワの代表入りはシェイルー一家には何よりの朗報であったであろう。

■ボルドーで活躍するミカエル・チアニ

 そしてもう1人の新顔がチアニである。校長ボルドーを支えるストッパーである。今季あのワールドカップ予選でウィリアム・ギャラスとコンビを組むもう1人のストッパーの不在が最後までフランスの予選での迷走につながったことは本連載ですでに紹介したとおりである。今回のスペイン戦ではその頼みのギャラスも負傷により欠場となるため、国内リーグやチャンピオンズリーグで好調なチアニの選出となったのである。
 チアニの魅力はストッパーとしての守備だけではない。好機にゴール前で待ち受け、ヘディングシュートを狙っている。本連載第1069回でも紹介したとおり、チャンピオンズリーグの決勝トーナメント1回戦のオリンピアコス戦では前半ロスタイムにグルクフからのFKをヘディングでゴールネットを揺らし、決勝点をあげている。スペイン戦では10番の位置にボルドーのチームメイトであるグルクフが入ることから、ホットラインが代表チームでも見られそうである。
 ワールドカップの開幕まで残り100日となり、強豪スペインに対して新戦力がどのようにプレーするのかが楽しみである。(続く)

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