第1225回 けっぱれ東北!がんばれ日本! ALLEZ TOHOKU! ALLEZ JAPON!

 3月11日に起こった東北地方太平洋沖地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、救援活動、復旧活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■フランスサッカーと東北のつながり

 地震国日本でも史上最大の地震となった東北地方太平洋沖地震、マグニチュード9.0、最大震度7強という地震の規模だけではなく、想像を絶する規模の津波、さらには原子力発電所のトラブル、そして東日本全域にわたる電力危機、これらの困難に直面している日本の皆さんの心を思うとキーボードをたたく指も止まりがちである。
 今回はフランスサッカーと東北地方のつながりを紹介し、被災された方々、救援活動、復興活動に励む皆様を少しでも励ますことができれば幸いである。

■フランスの東北地方、ブルターニュ

 まず、東北地方はその独自の文化からフランスのブルターニュとの類似性が指摘される。ブルターニュというとレンヌ、ロリアン、ブレスト、ギャンガンなど近年のフランスサッカーでの活躍は目覚ましい。特に本連載第967回から第970回で紹介した2009年のフランスカップ決勝はレンヌとギャンガンというブルターニュ勢同士の顔合わせになったことは記憶に新しい。また、ヨアン・グルクフ、ロッド・ファンニ、ジミー・ブリアンなどブルターニュのチームに所属していた選手がフランス代表に次々に加わっている。レンヌは、東北の中心である杜の都・仙台と姉妹都市である。

■5年連続でフランスが出場している仙台カップ

 レンヌと仙台が試合をしたことはないが、毎年夏に行われる仙台カップ国際ユースサッカーはフランスサッカーにとっては重要なタイトルである。2003年に始まったこの大会にフランスは第4回に当たる2006年から18歳以下あるいは19歳以下の代表チームを派遣している。2006年には18歳以下の代表が訪日し、東北代表、日本代表を破り、最終日にブラジル代表と優勝をかけて対戦した。後半ロスタイムに入っても両チーム得点がなく、長いロスタイム、95分を過ぎたところでフランスは主将のガリー・ボカリーがこの試合で2枚目のイエローカード、そしてPKがブラジルに与えられる。このPKをブラジルが決めてフランスは初挑戦での優勝はならなかったが、現在ボカリーはモンペリエの主力選手として活躍している。
 2回目の出場となった2007年大会はフランスは東北代表と引き分けたが、日本代表、ブラジル代表に勝利し、東北代表と並んで2勝1分で日程を終えるが得失点差で優勝を果たす。このチームの中心となったのが現在リバプールで活躍するダビッド・ヌゴグである。
 2008年大会からは東北代表に代わり、韓国代表が出場し、日本、ブラジル、フランスという強国の争う大会となった。しかしフランスは3引き分けに終わり、3位という成績で杜の都を去る。
 2009年大会は逸材がそろった。現在チェルシーで活躍する日系人のガエル・カクタ、リヨンのヤニス・タフェールを擁するメンバーは前年の17歳以下の欧州選手権で準優勝しており、翌年の19歳以下欧州選手権での優勝を狙っていた。期待のカクタは初戦の日本戦で2ゴールと前評判通りの活躍をする。日本戦は3-3の引き分けであったが、韓国戦に勝利し、最終日にブラジルと対戦、勝てば優勝であったが、36分に先制点を奪われ、最後はカクタをベンチに下げてまで総力戦を挑んだが及ばず、2位に終わる。なお、カクタはこの大会で優秀選手に選ばれ、今日の活躍に至る。
 そして2010年大会ではフランスは初戦で日本に敗れるが、第2戦で中国に勝利、最終戦のブラジル戦のスコアによっては優勝であったが、引き分けに終わり3位になっている。

■フィリップ・トルシエ最後の試合、雨の宮城スタジアム

 このように仙台の地で多くのフランスの若きヒーローが生まれた。そしてこの仙台カップは2002年にワールドカップが仙台で開催されたことを記念してその翌年から始まった。本連載の読者の皆様ならばよくご存じであろうが、2002年のワールドカップで日本代表を率いたのがフランス人のフィリップ・トルシエである。伊達正宗の兜をイメージして建設された宮城スタジアムでの雨のトルコ戦、トルシエの日本代表監督の最後の試合となった。このようにフランスサッカーと東北の関連は深い。
 一刻も早く東北の地が復興し、今夏の仙台カップでは、フランス代表が、日本代表が、そして他国の代表が、素晴らしいサッカーを繰り広げることを期待してやまない。(この項、終わり)

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