第1434回 決勝進出かけて日本と対戦(2) 圧倒的に攻めるが、痛恨のミス連発、準決勝で敗退

 昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■ドイツのワールドカップで注目を集めた日本とフランス

 昨年ドイツで行われた女子ワールドカップ、この大会で躍進したと評価されたチームは優勝した日本と、4位に終わったフランスであろう。フランスは準決勝では米国を圧倒しながら、惜敗し、3位決定戦に回っている。一方の日本は決勝戦で米国に一方的に押し込まれながら、追いつき、PK戦の末、初優勝を果たしている。ドイツのワールドカップでフランスと日本の対戦を見ることはできなかったが、それから1年、サッカーの聖地ウェンブリー競技場で両国が戦う。サッカーファンにとっては夢のカードとなった。
 8月6日という特別な日に両国が対戦する。原子力発電では同調する両国であるが、核兵器の利用では全く反対の立場をとる。しかし、今年はクリスチャン・マセ駐日フランス大使が8月6日の広島市平和記念式典と9日の長崎平和祈念式典に出席する。駐日フランス大使がこれらの式典に出席するのは初めてのことであり、大きな歴史の変化であると言えよう。

■自信の4-2-3-1システムで挑むフランス

 さて、決勝進出を目指すフランスのメンバーであるが、GKはサラ・ブハディ、DF陣は右からコリン・フランコ、ローラ・ジョルジュ、ウェンディ・ルナール、ソニア・ボンパストール、MFは守備的な位置にサンドリーヌ・スーベイランとエリーズ・ビュサグリア、攻撃的な位置は右にエロディ・トミ、中央にルイーザ・ネシブ、左にガエタン・ティネ、1トップのFWはマリー・ロール・デリーである。
 スウェーデン戦とメンバーは変わらないが、守備的なMFをスーベイランとビュサグリアの2人にして、4-2-3-1システムにする。フランスが4-2-3-1システムを採用するのは今回のオリンピックでは北朝鮮戦、コロンビア戦に次ぎ、3試合目である。4-2-3-1システムを採用した2試合はいずれも完勝、北朝鮮戦は大量得点を奪っており、ブルーノ・ビニ監督は自信を持って選手をウェンブリーのピッチに送り出す。

■GKサラ・ブハディ、痛恨のファンブル

 日本はもっぱら守備を固め、自陣ゴール前にコンパクトに固まる。早く先制点を奪いたいフランスであるが、フランスは試合を支配しながらも、なかなか日本の守備陣をこじ開けることができない。一方、フランス守備陣は日本のカウンターをシャットアウト、特に日本の生命線である左サイドの川澄奈穂美の攻め上がりを右サイドDFのフランコが完璧に封じ込む。そこで日本には新たなアイデアが浮かぶ。32分、センターライン付近からのFKをいきなりロングフィード、このロングボールが意外だったのか、フランスのGKブハディが思わずファンブル、さらにそのファンブルした球が自らの頭上を越え、後方に。この好機にドイツのポツダムに所属し、女子チャンピオンズリーグ決勝でリヨンの前に敗れた大儀見優季がスーベイラン、ボンパストゥールに競り勝ち、日本が先制。なんとこれが日本にとって初めてのシュートであった。
 先制点を奪われたのは準々決勝のスウェーデン戦も同様、白いユニフォームのフランスは果敢に攻め続けるが日本の守備ブロックに入り込むことができず、1点のリードを許したままハーフタイムを迎える。

■エリーズ・ビュサグリア、PKを外す

 早く同点に追いつきたいフランスであるが後半の始まりに、出鼻をくじかれる。47分には日本にこの試合2本目のシュートを許す。そして49分、日本はFKをゴール前にあげる。スーベイランの反応が遅れ、阪口夢穂がフリーでヘディングシュート、ブハディ、痛恨の2失点となる。
 しかし、ここからはフランスのワンサイドゲームとなる。フランスは日本の小柄なGK福元美穂の守るゴールに雨あられとシュートを浴びせるが同点に追いつけない。ようやく1点を返したのは76分、トミが阪口からボールを奪い、右サイドを突進、マイナスに折り返して、後半途中から出場したユージェニ・ルソメがクリーンシュートし1点差に詰め寄る。さらにその2分後、阪口がルソメのスピードについていけずペナルティエリア内でファウル。このPKを献上。ところがビュサグリアが右にはずしてしまう。その後もフランスは攻め続け、前後半合わせて27本のシュートを放つも、シュート数4本の日本に1-2で敗れる。ミスが重なったフランスは、準決勝で敗れたのである。(この項、終わり)

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