第1581回 タヒチ、コンフェデレーションズカップに出場(5) 3連敗に終わるが、印象に残った試合内容

 一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■国内合宿、チリ合宿を経てブラジル入り

 5月中旬からタヒチは30人の選手で合宿をタヒチで行う。その中にはパリから22時間かけてやってきたマラマ・バイルアも含まれている。5月24日にタヒチはコンフェデレーションズカップに出場する23人の選手を発表した。アンダーエイジのフランス代表に入ったことがあるものの、フル代表のフランス代表には入ったことのなかったマラマ・バイルアが唯一のプロ選手として名を連ねている。クラブレベルではチャンピオンズリーグやUEFAカップの出場経験はあるマラマ・バイルア、すでに選手としての峠を越えた33歳であるが、最初で最後の代表選手として国際舞台となるであろう。
 また2009年にエジプトで開催され、タヒチのサッカーの歴史で初めて国際大会に出場したU-20ワールドカップに出場した選手も9人含まれており、彼らの国際経験に期待したいところである。
 タヒチは大会前の5月28日からチリで合宿を行い、ブラジル入りする。ほとんどのチームが北側からブラジル入りするのに対し、西側からブラジル入りすることになる。6月4日に20歳以下のチリ代表と親善試合を行うが、0-7と大敗している。

■ナイジェリア相手に歴史的初ゴール

 タヒチの記念すべき最初の対戦相手はアフリカ代表のナイジェリアである。ナイジェリアは直前にワールドカップ予選のナミビア戦を戦ったばかりで試合直前のブラジル入りとなる。試合前の国歌演奏、タヒチは「ラ・マルセイエーズ」ではなく「オラオ・タヒチ・ヌイ」が演奏され、ピッチに立った選手たちは感極まって涙を流す。そしてキックオフ、5分にナイジェリアのシュートがタヒチのDF2人に当たってゴールインするという不運な立ち上がり、その後もナイジェリアはタヒチを圧倒し、ゴールを積み重ね、前半を終えたところでナイジェリアが3-0とリード、地力の差が表れたが、タヒチは勇敢に戦った。
 後半に入って54分、タヒチはCKのチャンスからテハウ3兄弟のジョナタン・テハウがヘディングでネットを揺らす。タヒチにとって記念すべきゴールとなる。4年前のエジプトでのU-20ワールドカップでも無得点で終わっただけに、これがタヒチの世界大会での初めてのゴールとなった。2点差に迫ったタヒチであるが、タヒチはオウンゴールで失点し、ナイジェリアも2得点を追加し、記念すべきフル代表としての世界大会初めての試合は1-6と敗れたのである。

■世界ランキング1位のスペインに挑戦

 タヒチの2試合目は6月20日、リオデジャネイロのマラカナン競技場、相手は世界ランキング1位、世界王者であり欧州王者であるスペイン、舞台も対戦相手も世界のトップクラスであり、世界ランキング138位のタヒチにとっては夢のような試合である。スペインは第1戦でウルグアイに2-1と勝利した試合からメンバーを入れ替えてきたが、世界を代表する一流選手ばかりである。観客は7万1000人、おそらくタヒチの歴史でこれだけの大観衆の前で試合をすることは今後あるかどうか、そしてスペインも全力を尽くしタヒチとの試合に臨んだ。5分にフェルナンド・トーレスが先制点、その後はタヒチがよく守るが31分にダビド・シルバ、33分に再びフェルナンド・トーレスが得点、39分にダビド・ビジャが決めて4-0で折り返す。後半もスペインは6得点、前後半あわせて10-0というスコアでスペインが勝利したが、マラカナンの観衆はタヒチのイレブンに万雷の拍手を送ったのである。

■ウルグアイにも大敗したが、ファンを魅了したタヒチサッカー

 タヒチの最終戦はウルグアイとの対戦。最終戦を向あける段階でナイジェリアとウルグアイが1勝1敗で並んでいたが、ウルグアイは第2戦のナイジェリア戦とメンバー全員を入れ替えてタヒチ戦に臨んだ。開始2分立たないうちにウルグアイはCKから先制点。その後はタヒチがよく守ったが、24分に失点すると、スペイン戦同様失点を重ね、最終スコアは0-8となった。
 タヒチの世界の舞台への挑戦は3連敗となったが、点差は開いたものの見どころの多い試合であり、タヒチのブロックを作った守備、果敢な闘志あふれるプレーはブラジルだけではなく世界のサッカーファンの記憶に残るであろう(この項、終わり)

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