第1764回 ポルトガル、アルメニアと連戦 (3) フランスのクラブに所属する3人のポルトガル代表選手

 3年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■負傷者の発生によりマプ・ヤンガ・エムビアとブノワ・コスティルが追加招集

 10月11日にスタッド・ド・フランスで行われるポルトガル戦、10月14日にアルメニアのエレバンで行われるアルメニア戦の2試合のため、フランス代表に選出された23人は10月6日にクレールフォンテーヌに集結した。しかし、以前から負傷を抱えていたストッパーのローラン・コシエルニーがチームドクターとも協議した結果、離脱する。また第3GKのステファン・ルフィエも負傷により離脱、ストッパーにマプ・ヤンガ・エムビア、GKにはブノワ・コスティルが招集された。ヤンガ・エムビワは2011-12シーズンのモンペリエのリーグ初制覇時のメンバーであり、2012年の夏に代表に初選出され、8月から9月にかけて3試合に出場しているが、その後代表の試合に出場することはなく、2年ぶりの招集となる。この夏にニューカッスル・ユナイテッド(イングランド)からローマ(イタリア)に移籍している。コスティルは27歳、年代別の代表にかつては名を連ねていたが、同世代にスティーブ・マンダンダ、ウーゴ・ロリスがいることもあり、これが初めての代表招集である。ディディエ・デシャン監督はロリスを使い続けてきたが、この2試合のうち1試合はロリス以外のGKを起用すると表明しており、第3GKのコスティルにもチャンスが来るかもしれない。

■サッカー協会創立100周年を飾れなかったポルトガル

 一方のポルトガル、今年はサッカー協会の創立100周年という記念すべきで年であり、昨秋のプレーオフでスウェーデンを破ってワールドカップ本大会に出場するが、グループリーグ敗退という苦汁をなめた。欧州選手権予選の初戦は9月7日にホームにアルバニアを迎える。ところが、0-1と思わぬ黒星スタートとなってしまう。10月は11日にフランスと親善試合、14日にデンマークと欧州選手権予選とアウエーゲームが続く。厳しい状況の中でのフランス入りである。
 ポルトガル代表の選手は欧州のトップクラブに所属しているが、注目すべきは国内にもベンフィカ、スポルティング・リスボン、ポルト、ブラガという欧州の舞台で活躍する強豪チームがあり、それらの国内のチームに所属している選手も半数近くいる。つまりほとんどの選手がチャンピオンズリーグあるいはヨーロッパリーグを戦いながら代表チームでもプレーしているというタフな日程をこなしている。

■モナコに所属するリカルド・カルバーリョとジョアン・モウチーニョ

 今回のメンバーの中にもフランスのクラブに所属している選手が3人いる。モナコのリカルド・カルバーリョとジョアン・モウチーニョ、そしてリヨンのアントニー・ロペスである。3人ともチャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグに出場しているチームに所属している。この3人のうち、ブラジルでのワールドカップに出場したのはモウチーニョだけである。
 カルバーリョは36歳の大ベテラン選手であり、2004年の自国開催の欧州選手権、2008年の大会にも出場、ワールドカップは2006年と2010年に出場している。2011年に当時の代表のパウロ・ベント監督と衝突し、サッカー協会から1年間の代表戦出場停止処分を受け、実質的に代表から退いていた。ところが、この夏から秋の代表の低迷によりパウロ・ベント監督が9月に解任、かわりにフェルナンド・サントスが新監督に就任する。監督の交代もあり、カルバーリョは今回代表に3年ぶりに復帰したのである。

■フランス生まれでフランス育ちのアントニー・ロペス

 そしてロペスは24歳になったばかりのGKである。フランス生まれでフランス育ち、フランスとポルトガルの2つの国籍を持っているが、アンダーエイジからポルトガル代表を選択してきた。所属しているリヨンではロリスがトットナム・ホットスパーズ(イングランド)に移籍した2013-14シーズンはほとんどの試合に出場している。昨年9月にも代表に選出されているが、まだ代表での出場歴はないが、スタッド・ド・フランスでの代表デビューはあるだろうか。(続き)

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