第1776回 アルバニア、スウェーデンと連戦 (2) アルバニアと初の親善試合、レンヌで2回目の代表戦

 3年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■初招集となった20歳の長身ストッパー、クルト・ズマ

 今回のアルバニア、スウェーデンとの対戦に向けた23人のメンバーについては前回紹介し、守備陣の相次ぐ負傷により、モナコのレイバン・クルザワが招集されたことを紹介したが、同じく追加招集された190センチの長身ストッパーのクルト・ズマについても紹介の必要があるだろう。ズマはチェルシー(イングランド)に所属し、この10月に20歳になったばかり、クルザワよりも2歳年下である。両親は中央アフリカ人、おそらくはペルシャン通りを何度も行き来したであろう。リヨンで生まれたザマは幼少時代からその才能を認められていたが、14歳の時に地元のクラブから移籍したのはリヨンではなくライバルのサンテチエンヌであった。16歳の時に早くもプロ契約、プロの選手としてデビューすることになる。
 アンダーエイジの代表チームでも活躍し、2011年にはU-17ワールドカップに出場した。2012年のU-19欧州選手権はちょうどバカロレアの時期と重なり出場を見合わせた。フランスの大学にはスポーツ推薦がないため、この欠場は仕方がないであろう。そして昨年のU-20ワールドカップの優勝メンバーであり、ポール・ポグバ、ラファエル・バランと共に栄冠を獲得した。
 サンテチエンヌには今年の1月までの5年間在籍し、1月にはチェルシーに移籍が決定するが、シーズン終了を待ってドーバー海峡を渡る。チェルシーでは同じポジションにジョン・テリーがいることから出場機会に恵まれないが、その才能は万人が認めるところでありディディエ・デシャン監督から声がかかった。

■アンドレ・ピエール・ジニャックと得点王争いで並ぶアレクサンドル・ラカゼット

 また攻撃陣でアレクサンドル・ラカゼットが復帰したことも注目したい。リヨンに所属するラカゼットはフランスリーグでは10得点をあげ、アンドレ・ピエール・ジニャックと並びトップである。ジニャックも10月のアルメニア戦では活躍し、カリム・ベンゼマ、アントワン・グリエズマンなどとのFWのポジション争いもまた見ものである。

■レンヌで10年ぶり2度目の代表の試合

 フランス代表は11月10日にクレールフォンテーヌに集まり、合宿を行いレンヌに移動する。ブルターニュ地方の中心都市であるレンヌは仙台の姉妹都市であることから日本の方もよくご存じであろう。この街に青いTGVアトランティックが開通してからもう20年以上になる。パリとは2時間でアクセス可能であるが、ブルターニュ独特の伝統ある文化は揺るがない。
 レンヌのロリアン通り111番地にあるルート・ド・ロリアン競技場は100年以上の歴史を誇るが、2004年に改装され現代的なスタジアムとなった。この改装時に行われたフランス-ボスニア・ヘルツェゴビナ戦がレンヌでの初めてのフランス代表の試合となった。この試合の模様は本連載第362回から第364回で紹介している通りであるが、2004年の欧州選手権の準々決勝で敗退したフランスがレイモン・ドメネクを新監督に迎え、多くのメンバーが入れ替わったエポックメーキングな試合である。結果は1-1のドローであったが、この試合でパトリス・エブラ、エリック・アビダル、リオ・アントニオ・マブーバなどが代表にデビューしている。

■アルバニアと初めての親善試合

 それから10年ぶりにフランス代表がこの地で試合を迎える。相手のアルバニアはグループIの第5シードである。これまでフランスはアルバニアと4回対戦、最初の2回は1992年欧州選手権予選、そして次の2回は2012年欧州選手権予選、フランスの4戦全勝であり、これが両国の間での初めて親善試合である。欧州選手権やワールドカップの予選でしか対戦経験のない国というのはフランスとの実力差が相当あることを意味しており、今回もグループIにいることから、親善試合を行うことになったが、今回のアルバニアは今までのアルバニアとは違うのである。(続く)

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