第2066回 イタリアにアウエーで勝利(2) 守備陣が入れ替わった新チームが白星発進

 平成28年熊本地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。お亡くなりになった方々に、謹んで哀悼の意を表します。 この地震が1日でも早く収まることと、被災地の皆様の安全とご健康をお祈り申し上げます。

■1980年代以降は大きく勝ち越しているフランス

 バーリでのイタリアとの親善試合に臨むフランス、これまでイタリアとの対戦成績は37戦してフランスの9勝10分18敗とフランスは大きく負け越している。近年の国際大会の本大会で言うならば、2008年の欧州選手権ではグループリーグ最終戦で対戦し、0-2と敗れ最下位で敗退する。また10年前の2006年のワールドカップ決勝ではPK戦の末に敗れている。
 しかし、過去の戦績について言うならば、1980年代に両国の力関係は逆転した。1980年までの両国の対戦成績はイタリアの14勝5敗、しかし、1980年以降はフランスが6勝4分1敗と大きく勝ち越す。
 さらにイタリア国内での対戦だけに限れば不思議なことにフランスは長い間負けておらず、54年前の1962年5月5日にフィレンツェで行われた親善試合で1-2で敗れたのが最後の敗戦である。イタリアはこれまでバーリで10戦し9勝1分と圧倒的な成績を残しており、フランス相手に久しぶりにホームで勝利をあげたいところである。

■新監督が就任したイタリア

 これまでの本連載でフランスはディディエ・デシャン監督が続投し、メンバーも欧州選手権に出場した選手が中心であることを紹介してきたが、イタリアは監督をアントニオ・コンティからジャンピエロ・ベントゥーラに変えた。前任のコンティ監督が現役時代に華々しいキャリアを残したのと対照的に、ベントゥーラ監督は3部あるいは4部相当のクラブでしか選手経験がなく、28歳で引退し、指導者の道に入る。指導者としても上位のクラブではなく、下位のリーグのクラブを率い、そのクラブを上位リーグに昇格させるという歴史を繰り返してきた。トリノを2部に相当するセリアBからセリアAに昇格させて現在に至り、このたび代表監督に就任した。

■守備陣が大幅に入れ替わった4-3-3システムのフランス

 デシャン監督は4-3-3システムを採用し、フランスの先発メンバーはGKはスティーブ・マンダンダ、DFは右からジブリル・シディベ、ラファエル・バラン、ローラン・コシエルニー、レイバン・クルザワ、MFは右からポール・ポグバ、エンゴロ・カンテ、ブレーズ・マツイディ、FWは右からアントワン・グリエズマン、オリビエ・ジルー、アントニー・マルティアルである。
 右サイドDFのシディベは代表デビュー戦であり、負傷のため欧州選手権を欠場したバランも戻ってきた。左サイドのクルザワも代表デビューを果たした2014年11月の連戦以来久しぶりの代表戦となる。
 最終ラインは欧州選手権とは大きく入れ替わったが、忘れてはならないのがGKのマンダンダである。代表チームではウーゴ・ロリスの控えとしてナンバー2のイメージがあるが、代表デビューは8年前の2008年の5月、欧州選手権のメンバーにも選ばれている。しかし、これまで22試合出場しているが、ワールドカップ、欧州選手権での出場機会はない。さらに22試合中13試合はレイモン・ドメネクが監督をしていた2010年までのことであり、ローラン・ブラン監督時代は2年間で2試合、デシャン監督になってからの4年間で7試合に出場機会は限られている。

■少ない好機を確実に生かしたフランスが3-1で勝利

 試合はイタリアがパス中心の攻めでフランスを圧倒する。しかし、フランスも少ないチャンスから速攻を仕掛ける。18分にはポグバのロングパスを受けたマルティアルが18メートルのミドルシュート、グラウンダーのシュートを名手ジャンルイジ・ブッフォンも及ばない。マルティアルの代表初ゴールでフランスが先制するが、21分にはイタリアはグラツィアーノ・ペッレのゴールで追いつく。しかし、フランスは28分、CKのクリアボールをクルザワがヘディングでゴール前に戻し、ジルーが左足でシュートし、勝ち越す。
 後半に入ったところでイタリアはGKをベテランのブッフォンから17歳のジャンルイジ・ドンナルマを出場させる。フランスはイタリア代表史上最年少のGKからも81分にクルザワがゴールを奪い、3-1と勝利、得意のアウエーでのイタリア戦に勝利し、新チームの初陣を飾ったのである。(この項、終わり)

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