第2518回 ブラジルを延長戦で下し、準々決勝へ(2) 延長後半に決勝点、3大会連続で準々決勝進出

 8年前の東日本大震災、3年前の平成28年熊本地震、昨年の平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■決勝トーナメント1回戦の場所はブラジルと縁のあるルアーブル

 グループリーグで3連勝したフランスが決勝トーナメントに入って初めて対戦するのが世界ランキング10位のブラジルである。
 グループAの首位チームは決勝トーナメントをルアーブルで迎える。ルアーブルでは1938年にジュール・デシャゾー競技場でワールドカップのチェコスロバキア-オランダ船が行われたが、その後はビッグゲームは行われていない。2010年にオセアン競技場が完成した後もフランス代表の試合は親善試合が1回行われただけである。今回の女子ワールドカップではグループリーグ5試合、決勝トーナメント2試合が行われる。
 港町のルアーブルはブラジルとは縁がある。フランスのブラジルからの輸入品の上位に来るのはコーヒー豆であるが、このルアーブルでブラジルからのコーヒー豆は陸に上がる。ブラジルからの移民もルアーブルには少なくない。そして1938年のワールドカップ、南米から唯一出場したブラジルが船旅を終えたのがルアーブルであった。そしてフランス女子代表がルアーブルで初めて試合をした相手がブラジルである。2015年に行われた親善試合でフランスは2-1と勝利している。

■過去3勝5分とフランスは負けなし

 フランスが初めてブラジルと対戦したのは2003年のワールドカップのことであり、このときは1-1で引き分けている。米国のワシントンでの戦いから始まってこれまでの8試合の対戦成績はフランスが3勝5分と無敗である。コリン・ディアクル体制になってからは1試合、昨年11月のニースでの親善試合で3-1と勝利している。

■2トップに布陣を変えたフランス、大ベテランが支えるブラジル

 フランスはこれまでの1トップではなく、2トップにシステムを変更した。GKはサラ・ブハディ、DFは右からマリオン・トラン、グリエッジ・ムボック、ウェンディ・ルナール、アメル・マジリ、守備的なMFはエリーズ・ビュサグリアとアマンディーヌ・アンリ、両翼の攻撃的なMFは右にビビアン・アッセイ、左にユージェニ・ルソメ、FWの2トップは右にカディディアトゥ・ディアニ、左にバレリー・ゴーバンという布陣である。キャプテンマークはアンリが付け、白地に黒い水玉の入ったユニフォームで黄色いブラジルを迎えた。カナリア軍団ブラジルを率いるのはともに代表試合出場数が140を超える主将のマルタとパリサンジェルマンに所属するCFのクリスチアーニの2人である。さらにこの2人を上回る180試合以上に出場している41歳のフォルミーガもパルサンジェルマン所属である。マルタは33歳、クリスチアーニは34歳、最後のワールドカップにかける思いは強い。

■2トップで先制点、激しい試合に終止符を打ったのは主将の一撃

 これまでの両国の対戦歴、そしてこの試合の主審がカナダのケベック出身で仏語圏の審判であることから試合前には楽観論も流れたが、強敵であった。
 試合は互角の展開となり、これまでとは違う苦戦をフランスは余儀なくされる。パスの成功率も低くなり、パスの本数、ボール支配率ともほぼイーブンとなる。前半は両チームとも無得点に終わる。
 試合は厳しい展開となり、両チームのファウルが目立つようになった。その中で先制点を奪ったのはフランスであった。52分にディアニが右サイドから中央にパス。これをタイミングよく走りこんできたゴーバンが右足で決めてスコアが動く。2トップに起用した2人のコンビネーションが先制点を生み出した。しかし、ブラジルも負けてはいない。63分にタイザが同点ゴール、両チーム譲らず、延長戦となる。
 延長前半の15分は両チーム得点をあげることはできず、エンドの変わった延長後半に入ってすぐの106分、フランスはFKのチャンスを得てマジリがゴール前にボールを供給、これをゴール前で受けたのが主将のアンリ、右足で力強く振りぬき、ボールはゴールに突き刺さり、フランスが2-1とする。両チームで33のファウル、5枚のレッドカードという激しい試合の幕を引いたのである。(この項、終わり)

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