第2685回 再開のスケジュールを発表(2) 7月24日にフランスカップ、31日にリーグカップ

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、昨年の台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■フランスカップ、リーグカップの開催を5月に決定

 他国が次々とリーグ再開を決定していく5月の下旬、フランスサッカー連盟のノエル・ルグラエ会長はエドゥアール・フィリップ首相にサッカー再開に向けた4ページからなる親書を渡す。
 そして5月の下旬にフランスカップとリーグカップの決勝戦を8月に行う方針が決定する。

■チャンピオンズリーグの未消化試合を抱えるリヨン

 候補日としては8月1日と8日の土曜日である。フランスカップはパリサンジェルマンとサンテチエンヌ、リーグカップはパリサンジェルマンとリヨンがファイナリストである。これらのファイナリスト3チームのうち、パリサンジェルマンとリヨンはチャンピオンズリーグの決勝トーナメントに進出している。
 UEFAは1回戦(ベスト8決定戦)途中で中断したチャンピオンズリーグ、2回戦(ベスト8決定戦)途中で中断したヨーロッパリーグ、それぞれの決勝トーナメントをセントラル方式で再開することを発表している。パリサンジェルマンは1回戦でボルシア・ドルトムント(ドイツ)相手に勝ち抜いたが、リヨンはユベントス(イタリア)とは第1戦を終えたところで中断しており、ユベントスとの第2戦が8月8日前後に予定されている。
 したがって、リヨンが出場するチャンピオンズリーグの試合とリーグカップ決勝が重ならないように、リーグカップ決勝が1日、パリサンジェルマンとサンテチエンヌで争われるフランスカップ決勝を8日と土曜日の夜に行う予定であった。

■来季の欧州カップ出場チームに影響する国内カップの決勝

 この国内カップ戦の決勝の結果は来季のヨーロッパリーグの出場権に関わってくる。2つのカップ戦の勝者が決まらない段階では、昨季リーグ5位のニースがヨーロッパリーグの本選、6位のスタッド・ド・ランスが予備戦2回戦に出場する予定だったが、2つの決勝の結果次第では欧州のチケットがロワールのチームに渡されることになる。
 リーグ戦では上位に入ることができなかったサンテチエンヌ(リーグ17位)は勝利すればヨーロッパリーグの本選に、リヨン(7位)も勝利すればヨーロッパリーグの予備戦2回戦に出場することができる。フランスで最もサッカーが盛んな地域の人気チームのファンにとっては大きな夢の舞台が復活した。
 そして、UEFAが来季のチャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグへの出場チームのリストの提出を8月3日までにするよう各国のサッカー協会に通達したことから、このスケジュールが早まることとなった。1週繰り上げて7月25日と8月1日に行われるかと思いきや、7月24日にフランスカップの決勝、31日にリーグカップの決勝がいずれもスタッド・ド・フランスで行われることになった。
 リーグカップの決勝は最初の3年はパルク・デ・プランス。1998年のスタッド・ド・フランスの開業以降は2016年まで19年間、サンドニの地で行われてきた。2017年からは地方都市に2010年代に完成した巨大スタジアムに決勝の舞台を移し、リヨン、ボルドー、リールとで行われてきた。しかし、今年は最後となることからスタッド・ド・フランスに戻ることを1月に決定し、延期となってもスタッド・ド・フランスで行われる。また、最終回ということで今季のシーズンの最後を飾るように史上初めてフランスカップ決勝の後に決勝が行われる。

■人気番組「フォールボワイヤール」の関係で金曜日に開催

 不思議なのは金曜日の夜に行われることであるが、これはテレビ中継の関係である。中継を担当するフランス2の夏の人気番組「フォールボワイヤール」が土曜日の夜に放映される。ラロッシェルの沖に浮かぶ要塞のフォールボワイヤールを舞台にした1990年に始まった夏季限定のバラエティ番組であり、世界各国でも放映されている。今夏は新型コロナウイルスの感染拡大により番組制作が危ぶまれた。しかし、6月に感染対策を講じた上での番組制作を発表、今年で31回目を迎える夏の土曜日の夜の風物詩の存続にフランス人は歓喜の声をあげたのである。相手がフォールボワイヤールではさすがのカップファイナルも譲らざるを得ない。キックオフが待ち遠しい。(続く)

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