第2768回 パリサンジェルマン、8季連続10回目のチャンピオンズトロフィー

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■スケジュールを変更させてもすべてのタイトルを行うフランス

 前回までの本連載ではフランスリーグ前半戦でリヨンがトップで折り返し、秋の王者となったことを紹介した。新型コロナウイルスの感染拡大でスケジュールが例年とは異なり、新春に秋の王者が決定したが、スケジュールに変更が出ても各タイトルを消化しているのが今季のフランスのサッカー界である。欧州の五大リーグの中で唯一リーグ戦を打ち切ってしまった昨季の反省なのであろうか。フランスリーグ、フランスカップについては紹介したが、今回は両タイトルの優勝チームで争われるチャンピオンズトロフィーについて紹介しよう。

■リーグ戦の前半戦と後半戦の間にランスで行われるチャンピオンズトロフィー

 2009年以降はフランスサッカーのプロモーションを兼ねて国外で行われてきた。昨年2月の段階で米国のミネアポリス、コートジボワールのアビジャンが候補地となり、8月1日に行われる予定であった。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大によって日程も開催地も白紙となった。結局、日程と開催地が決まったのは12月のことであった。国内開催となり、国内の複数競技場の中から、芝の状態、無観客試合の運用、競技場の使用料などを判断し、ランス(Lens)のフェリックス・ボラール競技場が選ばれ、リーグ戦の前半戦が終了した直後の1月13日に行われることになった。

■10季前は5万7000人の観衆の前でマルセイユが勝利

 出場チームであるが、昨季はフランスリーグもフランスカップもパリサンジェルマンが優勝した。したがって、リーグ戦で2位となったマルセイユが出場する。パリサンジェルマンとマルセイユの対戦は10季ぶり2度目のことである。チュニジアのラデスで行われ、単純に人気チームが出場しただけではなく、フランスのサッカーに関心が高く、5万7000人のファンが集まった。これは現在に至るまでチャンピオンズトロフィーとしては最多の観客数であり、この大会を国外で開催することにつながっている。
 試合は90分間戦って両チーム無得点、PK戦に委ねられ、マルセイユのGKスティーブ・マンダンダの活躍でリーグチャンピオンのマルセイユがタイトルを獲得している。
 それから10年、両チームの力に差が付いたことは本連載第2766回で紹介した通りである。特にこのチャンピオンズトロフィーは10年前にマルセイユが勝利した翌年もマルセイユはリールを下しているが、2013年以降はパリサンジェルマンが7連覇している。今季の前半戦ではパリでの対戦でマルセイユが歴史的な勝利をあげ、前半戦の順位はパリサンジェルマンが2位、マルセイユはパリサンジェルマンとは勝ち点7差の6位であるが、マルセイユは新型コロナウイルスの影響で試合消化数が少なく、十分に逆転も可能である。

■パリサンジェルマン、マウロ・イカルディの活躍で10回目の優勝を飾る

 これがライバル心を燃やす両チームの99回目の対戦となる。パリサンジェルマン43勝、マルセイユ33勝、22の引き分けで迎えた試合は激しい試合となった。
 22分にはパリサンジェルマンのマウロ・イカルディのシュートが入ったが、キリアン・ムバッペのオフサイドでノーゴール。29分にもムバッペのゴールがオフサイドで取り消される。
 そして39分、イカルディがアンヘル・ディマリアのクロスをヘディングでシュート、マンダンダがはじいたところをイカルディが押し込んで先制点となる。イカルディは45分にもシュートがバーに当たり、得点こそ1点であったがゴール前で活躍した。
 マルセイユは後半開始時点で10年前のヒーローのマンダンダをベンチに下げる。奇策ともいえる交代であったが、パリサンジェルマンの勢いは後半に入っても変わらなかった。82分にはマンダンダに代わって入ったヨアン・ペレがペナルティエリア内でイカルディと交錯、VARの結果、PKとなり、ネイマールが決めてリードを広げる。
 89分にマルセイユはディミトリ・パイエのゴールで1点差に詰め寄ったが、5分間与えられたアディショナルタイムにマルセイユは追いつくことができなかった。
 パリサンジェルマンが8季連続10回目の優勝を決めたのである。(この項、終わり)

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