第3578回 クラブワールドカップのパリサンジェルマン(3) 南米王者ボタフォゴに敗れる
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■2024年の南米チャンピオンとなったボタフォゴ
クラブワールドカップ初戦でアトレチコ・マドリッド(スペイン)に勝利したパリサンジェルマン、第2戦は第1戦の4日後の6月19日、第1戦と同じパサデナのローズボウルでボタフォゴ(ブラジル)と対戦した。ボタフォゴは南米のチャンピオンズリーグに相当する2024年のリベルタドーレス杯で優勝しているため、今大会の出場権を獲得した。リオデジャネイロの四強のうちの1つであるが、ブラジルの第6代表として出場し、初めての南米王者となった。ボタフォゴは過去4年間のリベルタドーレス杯に出場したのは2024年大会だけで、今回の欧州と南米から出場した18チームのうち、過去4年間でチャンピオンズリーグまたはリベルタドーレス杯に1回しか出場していないのはこのボタフォゴだけである。
一発屋のような結果でクラブワールドカップに出場したボタフォゴであるが、第1戦はシアトルに2-1と勝利している。
■第1戦から4人先発メンバーを入れ替えたパリサンジェルマン
2024年のリベルタドーレス杯を制したボタフォゴ、2024-25シーズンのチャンピオンズリーグを制したパリサンジェルマン、すなわち最新の南米王者と欧州王者の戦いを見るために5万5000人のファンがローズボウルに集まった。勝利すれば決勝トーナメント進出が決まるパリサンジェルマンの布陣であるが、GKはジャンルイジ・ドンナルンマ、DFは右からアクラフ・ハキミ、ルーカス・ベラウド、ウィリアン・パチョ、ルカ・エルナンデス、MFは右からウォーレン・ザイール・エメリ、ビティーニャ、セニー・マユル、FWは中央にゴンサロ・ラモス、右にデジレ・ドゥエ、左にクビチャ・クバラツヘリア、中盤以下が4人入れ替わっただけ、南米王者相手にターンオーバーはできない。またウスマン・デンベレはこの試合もメンバーから外れている。
一方のボタフォゴであるが、ほとんどは若いブラジル人選手、ただし、その中にインテル・ミラノ(イタリア)やマンチェスター・ユナイテッド(イングランド)で活躍したアレックス・テレスがメンバーに名を連ね、ベンチにはマルセイユから移籍したばかりのアルゼンチン代表のホアキン・コレアが控えている。彼らにとってはパリサンジェルマンの主将を務めているマルキーニョスは雲の上の存在であろう。
■一方的に攻めるが先制点を奪われたパリサンジェルマン
試合は立ち上がりからパリサンジェルマンが一方的に試合を支配した。ボタフォゴは守備を固め、パリサンジェルマンの攻撃を防ぐ。パリサンジェルマンのボール支配率は80%近くになり、次々とチャンスをつかむが、ボタフォゴの厚い守備に阻まれて得点をあげることができない。30分の給水タイムでルイス・エンリケ監督が指示を出すが、ゴールは生まれない。逆に、ボタフォゴはカウンターアタックに活路を見出す。36分、センターライン付近でボールを獲得したボタフォゴはジェファーソン・サバリーノが前線にパス、パリサンジェルマンのストッパーのベラウドとパチョの間に入ったイゴール・ジェズスがボールを受け、右足でシュート、ドンナルンマの守るパリサンジェルマンのゴールを破った。
■13年ぶりに南米のクラブが欧州のクラブを破る
押しながら、1点のリードを奪われて後半を迎えたパリサンジェルマン、逆転勝利して第3戦は選手の休養に充てるべく、後半に入って10分経過したところで、ボタフォゴより先に選手交代を仕掛け、ブラッドリー・バルコラ、ヌーノ・メンデス、ファビアン・ルイス、ジョアン・ネベスを投入する。しかし、主力級の投入もかなわず、スコアは動かない。79分にはドゥエを外して李康仁を投入、90分を過ぎてアディショナルタイムに入ってからも次々に迫るが、ノーゴール、パリサンジェルマンはボタフォゴに0-1で敗れた。
なお、クラブワールドカップで南米勢が欧州勢に勝利したのは2012年の決勝、コリンチャンス(ブラジル)がチェルシー(イングランド)を破って以来、実に13年ぶりのこととなったのである。(続く)