第3584回 クラブワールドカップのパリサンジェルマン(9) ジョアン・ペドロの活躍で決勝進出を決めたチェルシー
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■今夏からチェルシーに加入するエステバン・ウィリアン
クラブワールドカップ決勝でパリサンジェルマンと対戦するイングランドのチェルシーは、決勝トーナメント1回戦で延長戦でベンフィカ(ポルトガル)を破り、準々決勝ではブラジルのパルメイラスと対戦する。パルメイラスには注目の選手がいる。それがエステバン・ウィリアンである。まだ18歳のエステバンは昨年、代表にもデビュー、ブラジル代表史上5番目の若い記録となった。この逸材を欧州のビッグクラブが見逃すわけがなく、今夏からチェルシーに移籍することになった。すなわち、エステバンは今夏移籍するチェルシーと戦うことになった。
■エステバンにゴールを許すもパルメイラスに勝利
このように南米から多くのタレントが欧州のクラブに移籍するという構図の中では欧州のクラブは南米のクラブに対して戦力的に優位である。この試合も欧州のチェルシーが攻め、南米のパルメイラスが守備からカウンターを仕掛けるという構図となった。
16分、チェルシーは右サイドのトレボ・チャレバーが中央のコール・パーマーにパス、パスを受けたパーマーはペナルティエリア内でドリブル、パルメイラスの守備も甘く、パーマーはそのままシュート、先制点となる。
1点をリードされたパルメイラス、注目のエステバンが見せ場を作る。53分、ペナルティエリア内の右端でボールを受けたエステバンはほとんど角度のないところから強烈なシュート、ゴールネットを揺らす。チェルシーファンはこの移籍が間違いではないことを確信した。しかし、優勢に試合を進めているとはいえ、同点に追いつかれてしまったことも事実である。チェルシーはブライトン(イングランド)から獲得したばかりのジョアン・ペドロをピッチに送り込んで勝ち越しを狙う。83分、マロ・ギュストのシュートがパルメイラスの守備陣に当たり、そのままゴールになる。オウンゴールで勝ち越したチェルシーが準々決勝に進出したのである。
■準決勝は3回目のブラジル勢との対戦、フルミネンセ戦
チェルシーは準々決勝はサウジアラビアのアルヒラルと対戦し、2-1と勝利し、準決勝もブラジル勢、フルミネンセと対戦することになる。グループリーグのフラメンゴ戦もあわせ、3回目のブラジルのチームとの対戦である。
準決勝進出4チームのうち、唯一、欧州勢でないフルミネンセはグループリーグではボルシア・ドルトムントに引き分け、1勝2分で2位通過する。決勝トーナメント1回戦ではチャンピオンズリーグ準優勝のインテル・ミラン(イタリア)を2-0と退ける。この試合が南米勢が欧州勢に勝利した今大会では最後の試合となった。
■古巣のフルミネンセ相手に2ゴールをあげたジョアン・ペドロ
準決勝まで無敗のフルミネンセに対し、チェルシーは新加入のジョアン・ペドロを今大会初めて先発メンバーに起用する。ジョアン・ペドロはプロのキャリアをこのフルミネンセでスタートしており、このように欧州のクラブに所属する南米出身選手が古巣と対戦することは今大会の新しい大会規定のなせる業であろう。ジョアン・ペドロがCFとなったため、それまでCFを務めていたパーマーがトップ下に入る布陣となった。
この試合もボールを支配し、優位に展開するのは欧州勢のチェルシーであり、南米勢のフルミネンセは無理をせず、慎重に試合を進める展開となった。18分、南米出身のチェルシーの新戦力が期待に応える。右サイドからペドロ・ネトがクロスをあげる。これをフルミネンセはクリアしたものの、ペナルティエリアの左隅にいたジョアン・ペドロの足元に、これを強烈にシュートしてゴール右隅に突き刺さった。
25分にフルミネンセはチャンスをつかみ、GKとの一対一を交わしてシュートしたものの、チェルシーはゴールライン上でマルク・ククレジャがクリアする。
後半に入ってもチェルシーは56分に、ジョアン・ペドロがクロスバーにあてながら追加点を奪う。新加入選手の古巣相手の活躍により、2-0と勝利したチェルシーが決勝に進出したのである。(続く)