第3586回 クラブワールドカップのパリサンジェルマン(11) チェルシーに完敗、四冠ならず

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■準決勝と同じ先発メンバーのパリサンジェルマン、コール・パーマーを右サイドに回したチェルシー

 新方式となり欧州勢同士の対戦となったクラブワールドカップの決勝、決勝の舞台は準決勝と同じイーストラザフォードのメットライフスタジアムである。チェルシー(イングランド)はパリサンジェルマンより1日早く準決勝を戦っており、中4日で決勝に臨む。
 中3日で栄冠を目指すパリサンジェルマンの先発メンバーは準決勝のレアル・マドリッド(スペイン)戦と同じである。GKはジャンルイジ・ドンナルンマ、DFは右からアクラフ・ハキミ、マルキーニョス、ルーカス・ベラウド、ヌーノ・メンデス、MFは右からジョアン・ネベス、ビティーニャ、ファビアン・ルイス、FWは中央にウスマン・デンベレ、右にデジレ・ドゥエ、左にクビチャ・クバラツヘリア、そして青と赤の線でエッフェル塔をイメージさせるデザインの白いユニフォームが決勝戦のユニフォームである。
 対するチェルシーは上から下まで青のユニフォーム、GKはロベルト・サンチェス、DFは右からマロ・グスト、トレボ・チャロバー、リーバイ・コールウェル、マルク・ククレジャ、MFは低い位置にリース・ジェームズとモイセス・カイエド、高い位置に右からコール・パーマー、エンソ・フェルナンデス、ペドロ・ネト、FWは1トップでジョアン・ペドロである。大会が始まって以来CFで出場してきたパーマーは準決勝の(ブラジル)戦でトップ下に回り、決勝では右ウイングとなった。

■戦前の予想はパリサンジェルマン有利ながら、厳しい条件のパリサンジェルマン

 戦前の予想はチャンピオンズリーグを制覇し、エースのデンベレが戻ってきたパリサンジェルマンを推す声が強かった。しかし、パリサンジェルマンはシーズン終盤から多くの試合を戦い、その疲労はピークに達し、さらにチェルシーよりも不利な準決勝から中3日の戦い、そしてこの時期の米国の過酷な暑さは欧州でプレーする選手には厳しいものがあった。
 また、劣勢を予想されたチェルシーは昨夏監督に就任したばかりのマレスカ監督がパリサンジェルマンの攻撃を止めるべく、パリサンジェルマンの選手にスペースを与えないゲームプランを徹底させる。

■序盤から圧倒したチェルシー、パーマーが先制点

 炎天下での試合、ペース配分が重要であるが、チェルシーは最初の10分間に集中し、パリサンジェルマンを圧倒する。パリサンジェルマンの選手は、自陣に追いやられるとともに、カウンターを仕掛けようにもチェルシーが5バック気味の布陣に切り替え、前方にスペースがなく、横にパスをつなぐしか攻め手がない。
 そのような状態で先制点を奪ったのはチェルシーであった。22分、フランス代表のグストが右サイドをドリブルで持ち上がり、シュート、これがパリサンジェルマンのDFにブロックされ、グストはそのこぼれ球を内側のパーマーにパスをする。パーマーが左足で放ったシュートはゴールに吸い込まれていった。

■前半だけで3点を奪ったチェルシー

 30分の2点目もパーマーであった。中盤からコールウェルが前線にフィード、この日右ウイングを任されたパーマーがパリサンジェルマンのDFラインの裏側でボールを確保すると、ジョアン・ペドロにボールを出さず、そのままパリサンジェルマンのマーカーを交わしながらドリブル、またも左足でゴールを決めた。
 43分にはパーマーが中央をボールを持って持ち上がり、中央を走りこんだジョアン・ペドロにスルーパス、ジョアン・ペドロはパスを受けてそのままシュート、パリサンジェルマンは前半だけで3失点を喫した。カタール資本になってから、前半だけで3点をリードされてから追いついた試合が2回あったが、今回は84分にジョアン・ネベスが退場処分、1点も返すことなく、0-3で敗れてしまった。
 チェルシーは欧州カップでチャンピオンズリーグ(2012、2021)、カップウィナーズカップ(1971、1998)、ヨーロッパリーグ(2013、2019)、カンファレンスリーグ(2025)という全タイトルに加え、2度目のクラブワールドカップを獲得したのである。(この項、終わり)

 
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