第1190回 2010年デビスカップ決勝 (9) 日曜日のシングルスで連敗、優勝を逃したフランス

■ギ・フォルジュ監督自身も経験しているダブルスの大逆転劇

 金曜日のシングルスでガエル・モンフィスはストレート勝ちしたが、ジル・シモンは逆にストレート負けし、1勝1敗で土曜日のダブルスを迎えた。ミカエル・ロドラとアルノー・クレマンのペアは2セットを先取されながら、第3セットから3セット連続で奪い返し、4時間34分という長時間の激闘を制した。
 100年近いフランスのデビスカップの歴史でも、ダブルスで最初の2セットを奪われてから3セット連取して勝利したというのはこれまでに2回しかない。1987年の韓国戦と1992年のスイス戦である。いずれも現在の監督のギ・フォルジュが出場しており、韓国戦の際はタリク・ベナビルと組み、スイス戦の時はアンリ・ルコントと組んでの見事な逆転勝利であり、世紀を超えて監督としてフランステニス史上3回目の逆転勝利を経験した。

■注目を集めた最終試合のシングルスの出場選手

 シングルス2試合は12月5日の13時から始まった。さて、メンバーであるが、決勝前日に行われた抽選では13時から行われる第1試合はモンフィスとノバック・ジョコビッチの両国のエースの対戦、そして15時からの第2試合はシモンとヤンコ・ティプサレビッチとなっている。しかし、大会規定で両国の監督は第1試合開始の1時間前までは選手起用を変えてもいいことになっている。
 第1試合はモンフィスとジョコビッチのエース対決で確定的であるが、気になるのは優勝決定が第2試合までもつれ込んだ時の選手起用である。シモンは金曜日のシングルでは相手がATPランキング3位のジョコビッチだったとはいえ、0-3のストレートで敗れ、これで5セットマッチのシングルスはこれで3戦3敗と相性が悪く、フォルジュ監督も起用には悩むところであろう。シモンに次ぐ候補はロドラである。ロドラはダブルスのスペシャリストであるが、準々決勝のスペイン戦、準決勝のアルゼンチン戦とシングルスで連勝している。
 一方のセルビアも似た状況である。絶対的なエースであるジョコビッチに次ぐシングルスの選手には決め手を欠き、金曜日のシングルスに出場し、モンフィス相手に完敗したランキング49位のヤンコ・ティプサレビッチをそのまま起用するとは限らない。ティプサレビッチ以外の候補は土曜日のダブルスに出場したばかりのビクトル・トロイキがいる。

■エース対決はノバック・ジョコビッチが完勝

 しかし、モンフィスがジョコビッチに勝利すれば、この最終試合はデビスカップの行方が決まった後でおそらくは3セットマッチで行われることになるであろう。過去モンフィスはジョコビッチと6回対戦しているが、1勝5敗と大きく負け越している。しかもその1勝は初対決時の下位のツアーでの勝利である。
 モンフィスはジョコビッチ相手に苦戦し、第1セットを2-6と落とすと、第2セットもなすすべなく2-6と落としてしまう。1万6000人の大観衆に後押しされたジョコビッチの勢いを止めることができず、第3セットも4-6というスコアで試合は3セットで終わってしまったのである。ジョコビッチは今季のデビスカップのシングルスで7戦7勝という素晴らしい成績でチームメイトの応援に回ったのである。

■ダブルスと連戦となった最終戦はビクトル・トロイキが圧勝

 そして両チーム2勝2敗で迎えた最後のシングルス、フランスはロドラ、セルビアはトロイキと前日のダブルスに出場した選手を起用する。トロイキはATPランキング30位、これまでのデビスカップのシングルスでの戦績は2勝3敗であり、両者はこれが初めての対戦となる。
 前日のダブルスの勢いがあるロドラ優勢かと思われたが、ロドラは全く精彩を欠く内容の試合となった。2-6、2-6、3-6という一方的な大差でロドラは敗れてしまう。第3セット終盤にはセルビアのメンバーはコートサイドで丸坊主にカットを始めるという余裕の勝利であった。最終日に連勝したセルビアは初優勝、デビスカップ史上13か国目の優勝国となった。
 フランスは2002年のロシアとの決勝戦と同様に、最終日にシングルスで連敗して優勝を逃したのである。(この項、終わり)

このページのTOPへ