第1211回 2010年男子ハンドボール世界選手権 (4) 第2ラウンド3連勝、首位で準決勝進出

■日程が異なるグループ1とグループ2

 第2ラウンドの初日にドイツがアイスランドに勝利し、ハンガリーに勝利したフランスは、ノルウェーに勝ったスペインとともに勝ち点5となり、首位に躍り出た。第2ラウンドの日程はグループ1と2とで少々異なっている。いずれのグループも第1戦は22日の土曜日に行われ、最終戦の第3戦は25日の火曜日に行われる。開催国のスウェーデンの出場するグループ2は第2戦が週末の24日の日曜日に行われ、平日が休息日となる。一方フランスが戦うグループ1は日曜日の24日が休息日となり、月曜日の25日に第2戦を行うことになる。

■第3戦を待たずして準決勝進出を決めたスペインとフランス

 第1戦で不覚を取ったグループBからの勝ち上がり組は敗戦から中一日の休養を取り気分転換して第2戦に臨むことになる。第2戦の第1試合はスペインとアイスランドの戦いである。北京オリンピック銀メダルで昨年の欧州選手権で3位というアイスランドは第1ラウンドではその力を見せつけたが、第2ラウンドの第1戦でドイツに敗れたショックを引きずったままの試合運びとなり、スペインがと勝利する。スペインはこれでグループ1の2位以内を確定し、準決勝進出を果たした。
 そしてフランスは第3試合でノルウェーとの対戦である。ノルウェーは第2ラウンドの第1戦で負けており、勝ち点0ですでに準決勝進出の望みは絶たれている。また、フランスは過去18年間でノルウェーに負けたのはわずか1回、しかも知れは1999年のことであり、相性はいい。しかしながらノルウェーはフランス相手に食い下がり、接戦を演じる。結局は地力に勝るフランスがノルウェーを31-26と振り切り、第3戦を待たずして準決勝進出を決めたのである。

■安定した成績を誇る過去10年間のフランス男子ハンドボールチーム

 フランスは、世界選手権にはこれまで22回開催されたうち16回出場しているが、今大会は1990年大会以来11回連続の出場となる。さらに1993年大会で準優勝して以来、過去9大会のうち6位になった1999年大会以外の8大会で準決勝に進出している。すなわち、今回の準決勝進出は6大会連続9回目のことであり、いかにフランスの実力が安定しているかを示している。第1208回の本連載で現在の男子ハンドボールがフランスの団体球技では史上最強と紹介したが、20世紀に入ってからの6大会ですべて準決勝進出というのはオリンピック競技では現在は他の団体球技では見当たらないであろう。そして男子だけではなく女子に広げたり、過去にさかのぼったりしてもこれだけの戦績を10年間にわたって保ち続けているケースは稀有であろう。

■ニコラ・カラバティックが7得点、アイスランドにも勝利

 一方のグループ2も第2戦を終えた時点で準決勝進出2チームが決定し、地元スウェーデンとデンマークがフランスとスペインンに立ち向かうことになる。
 グループリーグ最終戦はグループの首位をかけて争う戦いとなった。第2試合でスペインはハンガリーと対戦、30-24と勝利して勝ち点を9に伸ばし、得失点差+21で第2ラウンドを終える。フランスはアイスランド線を迎える段階で勝ち点7、得失点差+25であることから、アイスランドに勝てば首位通過、引き分け以下だと2位となる。アイスランドも第2戦で戦ったノルウェー同様、すでに準決勝進出の道は絶たれていたが、優勝候補フランスに対し、粘り強く戦いを挑む。同じ欧州勢に対し、負けることはできないという意地を見ることができるスウェーデンのファンは幸福である。
 この試合、フランスに勝利をもたらしたのはフランスのエースで背番号13のニコラ・カラバティックであった。第2ラウンドではハンガリー戦で7得点をあげながら、ノルウェー戦を欠場、しかしこのアイスランド戦には戻ってきた。戻ってきたエースはアイスランド戦でも7得点をあげる。フランスはカラバティックの活躍で34-28と勝利し、グループ首位で準決勝に進出したのである。(続く)

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