第2455回 イングランドに歴史的大敗 (1) 前回大会での惨敗後に巻き返したイングランド

 8年前の東日本大震災、3年前の平成28年熊本地震、昨年の平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■アイルランドをダブリンで破ったイングランド

 2月初めに開幕したラグビーの6か国対抗、全体の開幕戦となる2月1日の試合でフランスはウェールズをホームに迎え、前半は良いテンポで得点を重ねたが、16点差を逆転され、ワールドカップイヤーの初戦は黒星となった。
 4年に1度のワールドカップイヤーということでファンの関心も高まる。今年の6か国対抗の見どころは昨年のチャンピオンで、秋にはニュージーランドにも勝利して世界ランキングを2位としている北半球最強のアイルランドが連覇できるか、そしてその勢いは秋のワールドカップにつながるものであるか、という点であった。しかし、アイルランドは第1戦でホームでイングランドに敗れてしまう。前回のワールドカップでは予選プール敗退、前年の6か国対抗では5位に沈んだイングランドがワールドカップイヤーを迎えて雪辱を果たさんとギアをあげてきた。

■ワールドカップの前哨戦となる2試合

 そしてもう1つの見どころは、ワールドカップの前哨戦となるカードが2試合組まれていることである。20チームが参加し、5チームずつの4つの予選プールに分かれて戦うワールドカップでは6か国対抗のメンバー同士の試合が少なくとも2試合は存在する。2015年のイングランド大会ではウェールズとイングランドがプールA、フランスとイタリアがプールCとなった。今大会もアイルランドとスコットランドがプールA、フランスとイングランドがプールCに入る。
 2015年を振り返るならば、6か国対抗ではウェールズはホームでイングランドに敗れ、ワールドカップではウェールズはイングランドの本拠地トゥイッケナムで勝利し、イングランドは予選プールで敗退する。フランスは6か国対抗、ワールドカップ両方でイタリアを寄せ付けずに勝利している。この年の6か国対抗はアイルランド、イングランド、ウェールズが4勝1敗で並び、得失点差でアイルランドが優勝しているが、決勝トーナメントに進出した4チームはいずれも初戦で南半球勢に敗れ、ワールドカップ史上初めて北半球のチームが準決勝に残ることができることができなかった。

■第1節で充実ぶりが目立つイングランド

 これまでに紹介した試合以外ではスコットランドはイタリアに点差をつけて勝利したものの、終盤はイタリアの攻勢が目立つ展開となった。第1戦を見る限りはイングランドの充実ぶりが目立つ。アイルランド、スコットランドはまだ本調子ではないという様子、ウェールズとフランスは、いずれも前半と後半の差が大きく、チームが安定していないところを見せた。またイタリアはやはり力不足、ワールドカップ本大会でもニュージーランド、南アフリカという南半球の強豪を崩すのは難しい状況である。

■第2節でイングランドと対戦するフランス

 そして第2節は第1節の翌週に行われ、イングランド-フランス、スコットランド-アイルランドというワールドカップでも顔を合わせるチーム同士の試合が組まれた。ワールドカップではイングランドとフランスにはアルゼンチン、スコットランドとアイルランドには日本という刺客が控えており、欧州勢同士の対戦は決して2位以上の順位決定戦ではない。欧州勢との戦いが2位決定戦となる可能性もある。この段階で力の差を見せつけておくことが必要である。
 4年前のワールドカップでは開催国ながら惨敗を喫したイングランドであるが、その後、エディ・ジョーンズが指揮を執ってチームの立て直しを図った。前回のワールドカップを終えた時点での世界ランキングはフランスが7位、イングランドが8位であったが、ここからフランスは低迷期に入る一方、イングランドは復活する。ワールドカップ2年後となる2017年の秋のシーズンを終えた時点でイングランドの世界ランキングは2位、一方のフランスは9位となる。昨年のイングランドは6か国対抗で5位に沈み、現時点での世界ランキングは3位と一歩後退したが、フランスも昨年は負けが先行し、フィジーに史上初めて敗れ、世界ランキングも10位まで落ち、この3年間で明暗が分かれたのである。(続く)

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