第2771回 6か国対抗に向けてフランスラグビー始動(3) アイルランドに勝利、得失点差で及ばず2位

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■逆転優勝を狙うフランスとアイルランド

 6か国対抗は開幕戦でフランスがワールドカップ準優勝のイングランドに勝利、このまま優勝するかと思われたが、スコットランドにまさかの敗戦、イングランドはその後も確実に白星を重ね、4勝1敗で全日程を終了する。イングランドを追うフランスとアイルランドが逆転優勝目指して最終戦で対戦した。
 フランスが先制、そしてアイルランドはフランスが一次退場者を出している間にトライをあげ、ゴールも成功して、前半の20分を迎えた時点で7-7のタイスコアである。逆転優勝するためにはフランスはあと3トライ以上あげて、31点差以上で勝利、アイルランドはあと3トライ以上あげて勝利するか、7点差以上で勝利することが必要となる。

■規律に問題のあるフランス、反則を繰り返す

 両チームとも得点をあげなくてはならないため、積極的に攻撃を仕掛ける。無観客がもったいない試合となった。一時退場となっていたアントニー・ブーチエが戻ってくるとフランスはリズムを取り戻し、がっちりと組まれたスクラムからロマン・エンタマックがロングゲインする。
 しかし、フランスは近年の課題である反則の多さがこの試合でも露呈した。前週のウェールズ戦では16個の反則を取られたが、この試合でも25分に4つ目の反則を取られる。ウェールズ戦は相手キッカーのダン・ビガーの不調に救われたが、アイルランドの名手、ジョナサン・セクストンはそうではなかった。26分にペナルティゴールを決められて逆転される。7点差で勝利すればよいアイルランドはペナルティゴールを重ねれば優勝することができる。

■2トライをあげ、4点リードして折り返したフランス

 無観客とは言え、フランスとしてはスタッド・ド・フランスで相手の優勝を許すわけにはいかない。30分にフランスはスクラムから出たボールを相手ゴール前で保持し、アイルランドがゴール前でフランスの選手にノーボールタックルの反則、ペナルティトライを主審のウェイン・バーンズ氏は認め、フランスが14-10と逆転する。そしてノーボールタックルをしたアイルランドのカエラン・ドリスは一時退場となる。フランスとしては前半の残り10分の間にトライを重ねたいところである。ところが33分にフランスはハーフライン付近で反則、セクストンにペナルティゴールを決められて14-13と1点差に迫られてしまう。37分にエンタマックがペナルティゴールを決めただけで、前半は17-13とわずか4点のリードで後半を迎えることになる。

■4トライをあげ、勝利したが、得失点差で及ばなかったフランス

 前半は2トライをあげたが、前半だけで8つの反則と規律が改善されないことがフランスの課題である。後半はエンタマックのビッグプレーで始まった。44分に相手がキックしたボールを受けたフランスは自陣ゴール前からパスをつなぎ、エンタマックが60メートルを走り切ってトライをあげる。この秋初めてエンタマックがキックを失敗したが、3トライ目をあげたフランスは22-13とリードを広げた。48分と51分にアイルランドが自陣で反則を犯すが、フランスはいずれもトライを狙わずペナルティゴールで点差を広げ、28-13とし、残り30分での大量得点にかける。55分を過ぎ、フランスはフロントロー全員を入れ替えてラストスパートをかけたいところであったが、60分にアイルランドがラインアウトからのサインプレーでロビー・ヘンショーがトライ、セクストンが厳しい角度のコンバージョンを決めて、アイルランドが追い上げ、28-20となる。
 ただ、フロントローの入れ替わったスクラムでフランスは優勢、これを生かして71分にはビリミ・バカタワがトライを決める。フランスはこの日4本目のトライとなり、ボーナスポイントを獲得、エンタマックのゴールも決まり、残り9分で35-20とする。 しかし、フランスの得点はこれが最後となった。アイルランドは試合終了直前にジェイコブ・ストックデールがトライ、ゴールも決める。
 フランスは4トライをあげて35-27で勝利し、勝ち点でイングランドと並んだが得失点差で及ばず2位、しかし手ごたえをつかんだのである。(続く)

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