第2773回 6か国対抗に向けてフランスラグビー始動(5) イタリアに勝利、11人が代表にデビュー

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■6か国対抗で全敗のイタリア、スコットランドに逆転負け

 オータムネーションズカップでフィジーに不戦勝、スコットランドに勝利して、グループリーグの最終戦のイタリア戦を迎える。イタリアは今世紀に入って6か国対抗のメンバーとなってから精彩を欠いている。今回のワールドカップでもグループリーグで敗退、ベテラン選手が退き、新監督に南アフリカ人のフランソワ・スミスを迎えて再起をかけた6か国対抗でも5戦全敗であった。
 そしてオータムネーションズカップもメンバーを入れ替えて臨む。初戦はスコットランド戦、ペナルティゴールを重ねてリードし、24分に逆転トライを許すが、27分にすかさずトライをあげて再逆転する。11-7とリードしてハーフタイムを迎える。
 後半もイタリアがペナルティゴールで追加点、7点差にリードを広げるが、トライ(ゴール成功)で14-14となり、ペナルティゴールで勝ち越したが、逆転トライを残り10分で許す。最後にダメ押しのトライを奪われ、17-28で敗れてしまう。

■大幅に入れ替えたメンバーでイタリア戦に臨むフランス

 大差で負けなければフランスはグループBで首位となるイタリア戦は11月28日に無人のスタッド・ド・フランスで行われた。フランスはこの試合でメンバーを大幅に入れ替えた。先発メンバーのうち4人が代表デビューとなる。これまでの秋の試合で大活躍したビリミ・バカタワはメンバーから外れ、新人のジャン・パスカル・バラックが入る。主将はスクラムハーフのジャン・バプティスト・サランが務める。スタンドオフのマチュー・ジャリベールとは昨年まではボルドー・べグルのチームメイトであり、息の合ったハーフ団となる。また、スクラムの第一列は3人ともトゥールーズのメンバーであり、ファビアン・ガルチエ監督のメンバー構成に苦心がうかがわれる。
 試合前には11月24日にパリ近郊のサンクルー公園で死亡が確認された名ウイング、クリストフ・ドミニシを悼んで黙祷が行われた。また、この日のフランスのジャージの左腕の部分にはDomiと刺繍が入れられた。

■スクラムで圧倒され、反則を連発、前半は苦戦したフランス

 3分に40メートルの位置でペナルティを得る。本来であればキッカーはロマン・エンタマック、そして前週のスコットランド戦ではトマ・ラモスがゴールを狙ったが、2人ともピッチの上にはいない。スタンドオフのジャリベールがロングキックを成功させ、幸先良いスタートを感じさせた。しかし、キャリアの浅い選手が多数となったこの日のフランスは苦戦した。スクラムに伝統的に力を入れる両チームであるが、ファーストスクラムでフランスは反則を取られた。その後もフランスはスクラムで反則を取られ、苦戦の原因となる。
 26分、イタリアは安定したスクラムからの攻撃でスタンドオフのカルロ・カンナがトライを決めて5-3と逆転した。
 ようやくフランスにトライが生まれたのは36分のことであった。イタリアのゴール前5メートルでのスクラム、イタリアが圧力をかけたが、フランスもよく耐えてボールを出し、センターのジョナタン・ダンティがトライを決め、ジャリベールのコンバージョンも決まって10-5と逆転して前半を終えた。

■後半はトライラッシュ、11人が代表にデビュー

 53分にイタリアの選手が反則でシンビンとなり、その直後にはこの日が代表デビューとなった赤いヘッドキャップの左ウイングのガバン・ビリエールがトライを決める。ジャリベールのゴールも決まり、17-5と差を広げる。
 61分にもサランがトライ(ゴール成功)、セランはこの日が代表チームでは初めての主将、記念すべき試合でのトライとなった。63分のテディ・トマのトライは4本目となり、フランスにボーナスポイントが与えられた。80分にはフランカーのセクー・カカルーがトライを決め、コンバージョンは途中出場で代表にデビューしたルイ・カルボネルが決めて36-5とフランスが大勝して、グループ首位を決める。後半のフランスはイタリアを圧倒しただけではなく、途中出場選手のうち7人が代表戦初出場、全部で11人が代表にデビューしたのである。(続く)

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