第2973回 グランドスラムを目指すフランス(7) 6トライをあげ、鬼門スコットランドを退ける

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■アイルランド戦とほぼ変わらないフランスの先発メンバー

 過去2年間の6か国対抗では連勝をスコットランドにストップされてきたフランス、今年の戦いはエジンバラのマレーフィールド、ホストのスコットランドは遠征してきたフランスに敬意を表して白いユニフォーム、遠来のフランスは青いジャージーでキックオフを迎えた。
 前回の本連載でフランスのガバン・ビリエールの欠場を紹介したが、先発メンバーはFW第一列はシリーユ・バイユ、ジュリアン・マルシャン、ウイニ・アトニオ、第二列はカメロン・ボキとポール・ウィレムス、フランカーはフランソワ・クロとアントニー・ジェロンチ、ナンバーエイトはグレゴリー・アルドリット、スクラムハーフはアントワン・デュポン、スタンドオフはロマン・エンタマック、スリークォータバックは左からヨラム・モエファナ、ジョナタン・ダンティ、ガエル・フィクー、ダミアン・プヌー、フルバックはメリバン・ジャミネである。2週間前のアイルランド戦と比べると、ビリエールに代わってダンティが入り、モエファナがウイングに回っただけである。

■序盤に2トライを奪ったフランス

 エンタマックのキックオフで始まった試合、開始直後からスクラムが組まれる。7分にフランスはペナルティを得てジャミネがショットを狙うが、これは失敗する。しかし、スコットランドの再開のキックをキャッチしたデュポンがカウンターで60メートルをゲイン、スコットランドの22メートル陣内に入ったところからフォワード、バックスがボールをつなぎ、最後はウィレムスがトライを決める。ジャミネのゴールも決まり、7-0と先行した。スコットランドはフィン・ラッセルのペナルティゴールで3点を返すが、フランスはジャミネが50-22キックで敵陣深く攻め込んだところでマイボールラインアウト、左サイドのラインアウトからフランスは右に展開、プノーがタッチに押し出されそうになったが、バイユ、モエファナがサポートし、最後はモエファナが右隅にトライをあげる。この時点で時計は12分、フランスは早くも2トライをあげて12-3とリードした。

■試合の流れを決した前半40分過ぎのフランスのトライ

 これに対してスコットランドも地元で意地を見せる。25分過ぎにはスコットランドの時間帯が訪れ、攻撃を重ね、フランスのゴールライン上までボールを持ちこむが、フランスはアルドリットが身を入れてトライを阻止する。しかし、ゴール前でのチャンスからスコットランドは28分にはこれが代表2試合目となるフランカーのロリー・ダージがトライをあげる。ラッセルのゴールも決まり、10-12と2点差に迫る。
 このまま前半が終わるかと思われたが、前半終了間際の一連のプレーがこの試合の流れを決めた。40分を過ぎた時点でペナルティを得たフランスは攻撃を選択した。フランスはタッチに蹴りだし、ラインアウトからトライを狙う。この目論見どおり、フランスは左サイドのラインアウトから右に展開、最後はフィクーが右サイドにトライを決め、ゴールも決まって19-10で折り返した。

■後半も3トライ、スコットランドに大勝し、グランドスラムまであと2勝

 勢いに乗って後半を迎えたフランスは、開始早々の42分にスコットランドがノックオンしたボールを拾って右に展開、右ウイン後のプノーが相手のディフェンスの背後にキックをあげる。これをダンティが捕球して、そのままトライ、ボーナスポイント獲得となる4トライ目をあげた。ジャミネのキックで26-10と大差をつける。
 フランスは58分にはスコットランドボールのモールでターンオーバー、ここから右に展開してプノーが右隅に走り込み31-10とする。74分にもスコットランドの22メートル陣内に攻め込んだフランスはエンタマックのキックパスからプノーがチームとして6本目、プノー個人としては2本目のトライをあげ、得点を36に伸ばす。
 スコットランドも試合終了前に1トライを返して、最終スコアはフランスが36-17と大勝する。スコットランド戦でこれだけの得点を奪ったのは2011年の34点以来、近年鬼門となっていたスコットランドを退け、いよいよグランドスラムが見えてきたのである。(この項、終わり)

このページのTOPへ