第3171回 最終戦勝利も優勝には届かず(2) 爆発的な攻撃力でウェールズに勝利
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■試合開始直後から攻め続けたウェールズが先制点
ウェールズを迎えて行われた6か国対抗の最終戦、フランスは4トライ以上奪って勝利し、勝ち点でアイルランドを上回りたい。しかし、この試合の先制点をあげたのはウェールズであった。ウェールズは立ち上がりから攻め続け、ペナルティを得てもタッチを選択し続ける。7分にゴール前でペナルティを得たウェールズは今度はタッチを狙わず、そのまま、キックから攻める。リース・ウェブからボールを受けたジョージ・ノースがゴールポストの下にトライ、ダン・ビガーのコンバージョンも決まって、7－0と先制した。
■トライ王を目指すダミアン・プノー、得点王を目指すトマ・ラモス
先制点を奪われたフランスであったが、落ち着きを失うことなく、10分には自陣深いところからロマン・エンタマックがステップを切って大きくゲインする。エンタマックからのパスを受けたアントワン・デュポンが右ウイングのダミアン・プノーにロングパス、プノーは右隅にトライをあげ、今大会4トライ目、スコットランドのヒュー・ジョーンズ、ブレア・キングホーンに並んだ。ハーフ団のひらめきによって生まれたトライ、トマ・ラモスが難しい角度のゴールを成功させてフランスは追いついた。ラモスはこれで今大会で70得点を記録し、得点王争いは独走である。
19分にはガエル・フィクーの危険なタックルがTMOの対象となり、カードが出るかが心配されたが、ただのペナルティと判定された。25分には密集の中でフッカーのジュリアン・マルシャンが健闘し、ウェールズの反則を誘った。ラモスがペナルティゴールを決めて、フランスは勝ち越した。29分にはスクラムで優位に立ち、ペナルティを奪い、ラモスのキックで6点差とする。
得点を重ねたフランスは34分に2つめのトライをあげた。エンタマック、ラモスらがパスをつなぎ、この試合で復帰してきたジョナタン・ダンティが右隅にトライする。ラモスのキックはポストに当たり、内側を通り、20－6となってハーフタイムを迎える。
■後半の序盤でボーナスポイントを獲得し、勝利したフランス
ようやくエンジンのかかったフランスは後半に入ると積極的に攻める。44分には敵陣22メートル付近のマイボールスクラム、デュポンがサイドを突いてつかまるが、巨漢プロップのウイニ・アトニオがフォローし、そのままゴールラインを突破し、3本目のトライをあげ、ラモスのゴールも成功する。さらに48分には敵陣22メートル付近から、今度はバックスがオープン攻撃を仕掛け、フィクーがボーナスポイント獲得となる4つ目のトライを決める。ゴールも決まって34－7と大きくリードした。
ただし、このシリーズでいいところがないウェールズも55分過ぎからの数分間は意地を見せた。ラモスがフランスのインゴールからボールを持って駆け上がったところを22メートルラインの内側でウェールズの選手がつかまえ、ジョシュ・アダムスがボールを奪い、ブラッドリー・ロバーツがトライをあげる。さらに65分、ウェールズはリース・ウェブに代わって入ったスクラムハーフのトモス・ウィリアムズがフランスの穴をついてトライをあげ、ビガーは2つともゴールを決めて21－34と追い上げる。
しかし、フランスは78分に連続攻撃でフェーズを重ね、デュポンに代わったマキシム・ルクが左右にボールを展開する。最後はルクからラモス、得点王にウェールズの選手が集まったところをトライゲッターのプノーにパスし、トライを決める。プノーは今大会通算5トライとなり、トライランキングのトップとなった。
ウェールズも試合終了直前にトライをあげたが、フランスが41－28と勝利し、ボーナスポイントを含む勝ち点5をあげて首位に立った。
■優勝をアイルランドに譲ったが、抜群の得点力を見せたフランス
しかし、今大会最後の試合となるアイルランド－イングランド戦でアイルランドが29－16と勝利したため、優勝はグランドスラムのアイルランドとなった。
フランスは2年優勝の連続は逃したものの、総得点は174、トライ数は21とアイルランドの151得点、20トライを上回り、プノーは84得点で得点王（2位のアイルランドのジョナタン・セクストンは35得点）となり、今大会で見せた得点力はワールドカップに向けて明るい希望となったのである。（この項、終わり）
