第482回 ワールドカップ予選フィナーレ(4) 最終戦まで続くミステリー

■首位通過の可能性が残るスイス、フランス、アイルランド

 大詰めを迎えたワールドカップ予選グループ4は10月8日に、ベルンでスイス-フランス戦が1-1でドロー、テルアビブでイスラエルはフェロー諸島に2-1で勝利し、アイルランドもアウエーでキプロスに1-0で勝利した。その結果、勝ち点18のイスラエルがトップで最終節を迎え、スイスとフランスが勝ち点17で追い、さらに勝ち点16でアイルランドが控えるという大混戦になった。最終節にはイスラエルは試合がなく、4位アイルランドが2位のスイスを迎え、3位のフランスは5位のキプロスを迎えることになった。
  今回の欧州予選はグループリーグを終了した段階で8グループの2位チームのうち成績の良い2チームがワイルドカードとして本戦出場が決まり、残り6つの2位チームはプレーオフを戦うことになる。ところが、混戦のグループ4の上位チームは引き分けが多いため、各チームの勝ち点は少なく、2位になってもワイルドカードの資格はない。
  アイルランドとスイスが対戦し、勝ったチームは試合のないイスラエルよりも上位となる。また、この試合が引き分けに終わったとしても勝ち点でイスラエルと並ぶスイスの得失点差はイスラエルを上回っており、イスラエルは、首位でグループリーグを終えることができず、プレーオフ出場どまりである。逆に首位通過の可能性があるのは、スイス、フランス、アイルランドの3チームである。

■勝てばプレーオフ以上を確定するフランス

 フランスはキプロスに勝てば勝ち点20となり、イスラエルを抜き、アイルランドは追いつくことができず、プレーオフ出場権以上が確定する。スイスもアイルランドに勝てば勝ち点20となり、この場合、得失点差で本選出場とプレーオフに分かれる。最終戦を迎える段階でスイスの得失点差は+11、一方のフランスは+8、しかも得失点差で並んだ場合は総得点で順位を決めるため、これまで18得点を挙げているスイスがこれまで10得点のフランスよりも優位である。すなわち、スイスが勝った場合、フランスはスイスの最終戦の得点差よりも5点以上の差をつけて勝たなくてはならない。つまり、例えばスイスが1-0で勝った場合、スイスの得失点差は+12となり、フランスは5点差で勝つと得失点差が+13となり、首位となることができるのである。

■首位通過のために大差の勝利が欲しいフランス

 フランスの相手はキプロス、両チームの力関係を考えてもフランスが負けるあるいは引き分けることはまず考えられない。フランスにとってはキプロスに勝利して勝ち点を20に伸ばすことはほぼ確実であるが、問題はダブリンでのアイルランド-スイス戦である。この試合、アウエーのスイスが勝利すれば、先述の通り、得失点差もしくは総得点の争いとなる。アイルランド-スイス戦が1点差でスイスが勝ったとしても、フランスは5点差の勝利が必要である。また、想定しにくいケースであるが、スイスが1-0でアイルランドに勝ち、フランスが9-5というスコアでキプロスに勝った場合、両チームは得失点差(+13)、総得点(19)で並ぶため、プレーオフの前に決定戦を行うことになる。

■プレーオフの場合のシード国

 また、試合の前日にはプレーオフの際のシードは世界ランキングで行われることが発表された。この段階でプレーオフに進出する可能性のある国のうち、世界ランキング6位のフランスよりも上位の国は4位のチェコだけである。ちなみにフランスに続くのはスペイン(8位)、スウェーデン(10位)、トルコ(12位)、デンマーク(14位)、ギリシャ(20位)、アイルランド(21位)、ロシア(30位)、ノルウェー(37位)、スイス(38位)、イスラエル(44位)、スロバキア(45位)、セルビア・モンテネグロ(48位)、ボスニア・ヘルツェゴビナ(67位)となっている。プレーオフに回った場合、フランスはシード国として優遇される。シード国になれば、少なくともチェコやスペインと対戦することはない。
  しかし、このニュースはファンにとっては小さな朗報でしかない。ファンはスタッド・ド・フランスでのフランスの大勝による首位通過を期待しているのであり、最後の最後までミステリーは続くのである。(続く)

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