第885回 2010年ワールドカップ予選開幕(1) 連戦に向けて22人のメンバーを発表

■第1シードとして臨むワールドカップ予選

 9月になり、2年後のワールドカップの予選開幕の時期がやって来た。9月のインターナショナルマッチデーは9月6日と10日であり、ほとんどの国がこの両日に予選の試合を行う。フランスは6月の欧州選手権で敗退し、レイモン・ドメネク監督を留任して8月のスウェーデンとの親善試合を行っただけで、ワールドカップ予選と言う真剣勝負に臨まなくてはならず、しかも中3日というスケジュールで2試合をこなさなくてはならない。これはフランスだけではなく、欧州の他の国も同様の条件であり、短期間でチームを仕上げることが重要である。
 ワールドカップ予選の組み合わせについては本連載の第790回と第791回で紹介し、フランスは第1シードとしてグループ7に入り、第2シードのルーマニア、第3シードのセルビア、第4シードのリトアニア、第5シードのオーストリア、第6シードのフェロー諸島と同じグループに入った。そしてフランスの南アフリカへの道は9月6日にアウエーのウィーンでオーストリアと戦い、10日にスタッド・ド・フランスでセルビアと戦うことから始まる。

■スウェーデン戦のメンバーを引き継いだ22人

 8月のスウェーデン戦ではドメネク監督は代表に20人を選出したが、今回は連続して2試合を戦うことから、22人の選手を選出した。22人のメンバーを紹介すると以下のようになる。GKはスティーブ・マンダンダ、ウーゴ・ロリス、DFはエリック・アビダル、ガエル・クリシー、ロッド・ファンニ、フィリップ・メクセス、バカリ・サーニャ、セバスチャン・スキラッチ、パトリス・エブラ、ウィリアム・ギャラスの8人、MFはアルー・ディアラ、ラッサナ・ディアラ、ジェレミー・トゥーララン、マチュー・フラミニの4人、FWはティエリー・アンリ、ニコラ・アネルカ、サミール・ナスリ、シドニー・ゴブー、フローラン・マルーダ、カリム・ベンゼマ、ハテム・ベンアルファ、ヨアン・グルクフの8人が選ばれ、ベンアルファが負傷のためジミー・ブリアンに代わった。
 8月のスウェーデン戦の20人のメンバーと比べると、メンバーの変更は少なかった。GKは変わらず、DFは負傷していたアビダルがスキラッチとともに復帰、ジャン・アラン・ブームソンが外れた。MF、FW陣では負傷のベンアルファが外れ、ブリアンが入った以外には、負傷が治ったナスリが欧州選手権以来の復帰を果たした。

■代表デビューなるかジミー・ブリアン

 アビダル、ナスリが負傷から立ち直ってメンバー入りした他は新人としてブリアンが抜擢された。ブリアンは昨年5月の欧州選手権予選のグルジア戦とウクライナ戦の際にフランス代表に招集されているが、試合に出場する機会はなく、昨年来のフランスA'に招集されており、今度こそ代表デビューのチャンスをものにしたいところであろう。
 また、欧州選手権のメンバーではなく、スウェーデンとの親善試合の際にメンバーに加わった9人の選手については負傷のベンアルファ以外は全員メンバーに選出され、ドメネク監督が世代交代を図ろうとしている意図が伝わってくる。

■リヨン勢4人に減少、レンヌから2人が選出

 さらに所属チームごとの分布を見ると、ドメネク監督が以前重用したリヨン勢が4人(ロリス、トゥーララン、ベンゼマ、ゴブー)に減り、それ以外のフランスのクラブからはボルドー2人(アルー・ディアラ、グルクフ)、レンヌ2人(ファンニ、ブリアン)、マルセイユ1人(マンダンダ)と9人が選出された。特筆すべきはこれまであまり代表に縁のなかったレンヌから2人の若手が選出されていることであろう。
 国外のクラブからは13人が選出され、このうち8人がイングランド勢である。その中で最大勢力はアーセナルのであり、リヨンと同数の4人(クリシー、サーニャ、ギャラス、ナスリ)が選出された。また、チェルシーから2人(アネルカ、マルーダ)、マンチェスター・ユナイテッドから1人(エブラ)、ポーツマスから1人(ラッサナ・ディアラ)が選出されている。スペインからはバルセロナ2人(アビダル、アンリ)、セビリア1人(スキラッチ)の3人、イタリアからはACミラン1人(フラミニ)、ASローマ1人(メクセス)の2人となっている。(続く)

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