第1019回 最後の関門、プレーオフへ(3) フランス、アイルランドと対戦、第2戦は地元開催

■2位チームの中でノルウェーが除外

 ワールドカップ予選では1998年大会以降に定着したプレーオフであるが、フランスは前回紹介したとおり、予選免除あるいは首位突破が続き、初めてホームアンドアウエー方式のプレーオフに挑むことになる。
 今回の予選の2位のチームをグループ1から順に紹介しよう。ポルトガル、ギリシャ、スロベニア、ロシア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ウクライナ、フランス、アイルランド、ノルウェーの9か国である。9チームのうち、プレーオフに出場できるのは8チームであるが、グループの中のチーム数に差がある。グループ1から8までは6チームであり各チーム10試合を戦うが、グループ9は5チームであり、8試合しかしない。グループ内のチーム数の違いにより、2位チームの順位を単純に比較できない。そのため、6チームからなるグループ1からグループ8までのチームはグループ内の最下位チームとの対戦以外の8試合の成績だけをカウントし、9チームすべてが8試合分の成績で優劣を決めるのである。この結果、スペインが独走したグループ9の2位のノルウェーは勝ち点10にとどまり、プレーオフに出場できなかったのである。

■試合数の異なるチームを公平に比較するシステム

 読者の皆様の中には、試合数の少ないグループ9のノルウェーが不利だったのではないかと、思われる方もおられるであろう。しかし、グループ9はグループ分けの段階で第6シードのチームが入っていない。つまり、第6シードのチームが最下位に落ち着けば、第1シードから第5シードまでが相手の8試合の成績で比較することになり、公平なシステムなのである。事実、グループ1からグループ8までの8つの2位チームのうち、最下位のチームに連勝できなかったのはグループ2のギリシャ(アウエーでモルドバと引き分け)だけである。

■FIFAランキングを基準にフランスは上位シードに

 肝心の組み合わせ抽選会は10月19日に行われた。プレーオフの組み合わせについてはシード制が設けられた。これはFIFAが10月16日に発表した最新の世界ランキングで上位4チームと下位4チームを分け、上位チームと下位チームが対戦する。これによると上位チームはフランス(6位)、ポルトガル(10位)、ロシア(12位)、ギリシャ(16位)、下位チームはウクライナ(22位)、アイルランド(34位)、ボスニア・ヘルツェゴビナ(42位)、スロベニア(49位)である。10月16日発表の世界ランキングはポルトガルが17位から10位に躍進、ロシアが6位から12位に下降など大きな変動があったが、上位シードと下位シードが入れ替わることはなかった。ちなみに、本連載第790回と第791回で紹介したとおり、一昨年にグループリーグのシード分けを行った際もFIFAのランキングを使用している。一方、欧州選手権は欧州選手権ならびにワールドカップの予選の成績でシード分けしている。
 シードの考え方については前述した今大会予選の最下位チーム以外との対戦成績という考え方もあるであろう。そうなると上位4チームはロシア(勝ち点16、得失点差+9)、ギリシャ(16、+7)、ウクライナ(15、+4)、フランス(15、+4)となり、下位4チームはスロベニア(14、+6)、ボスニア・ヘルツェゴビナ(13、+7)、ポルトガル(13、+4)、アイルランド(12、+2)となり、ポルトガルとロシアが入れ替わっていた。FIFAランキングには今回の予選の成績が大きく反映されているので、おおむね同じ結果になるのである。

■アイルランドと対戦、第2戦をホームで開催

 今回のシード分けにより、上位チームは下位チームと対戦できるが、ホームアンドアウエー方式の第2戦をホームで行うことができるという特典は与えられていない。ホームアンドアウエー方式においては第2戦をホームで行う方が有利とされており、チャンピオンズリーグにおいては適用されているが、今回のワールドカップ予選のプレーオフではどちらのチームが第2戦をホームで戦うかは抽選で決定される。
 運命の抽選会はチューリッヒで行われた。フランスの相手はアイルランド、予選の成績は振るわないものの、下位4チームで唯一フランスに勝ったことのあるチームである。そしてフランスは第2戦をホームで行うと言う幸運を得たのである。(この項、終わり)

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