第1049回 2010年ワールドカップ展望 (2) グループA、南アフリカ、メキシコ、ウルグアイ

■32チームが4つのシードに分かれる

 前回の本連載では唯一のシードといえる第1シードを最新ではない10月のFIFAランキングに基づいて選出したことを紹介した。改めて紹介するとブラジル、スペイン、オランダ、イタリア、ドイツ、アルゼンチン、イングランド(以上FIFAランキング順)ならびに開催国の南アフリカである。
 そして第2シードはアジアならびに北中米カリブ海の豪州、日本、北朝鮮、韓国、ニュージーランド、ホンジュラス、米国、メキシコ、第3シードは第1シード以外のアフリカと南米でありアルジェリア、カメルーン、コートジボワール、ガーナ、ナイジェリア、チリ、パラグアイ、ウルグアイ、そして第4シードは第1シード以外の欧州であり、デンマーク、フランス、ギリシャ、ポルトガル、セルビア、スロバキア、スロベニア、スイスとなる。

■同一大陸のチームの対戦を回避する配慮

 また組み合わせ抽選で、欧州以外の同一大陸のチーム同士がグループリーグで対戦しないように組み合わせ抽選が行われた。第1シードは欧州勢と南米勢とアフリカ勢からなるが、これらのうち欧州以外の国についてはアフリカ勢と南米勢からなる第3シードの国との対戦に以下のような配慮がなされた。まず南アフリカはアフリカ勢ではなく南米勢と対戦、逆にブラジルならびにアルゼンチンは南米勢ではなくアフリカ勢と対戦するように抽選が行われた。

■抽選前の希望と不安

 フランスは第1シードと第4シードの境目に存在していたわけであるが、第1シードと第4シードの国を並べてみてみると、第1シードとして第4シードのチームと対戦するのと、第4シードのチームとして第1シードのチームと対戦するのではかなり違う。結果論であるがワールドカップ予選の序盤から好成績を残せば第1シードに入っていたはずである。
 組み合わせ前の希望としては、第1シードは開催国ながら力の劣る南アフリカ、第2シードはアジア・オセアニア地区でプレーオフを勝ち抜いたニュージーランド、そして第3シードは南米予選で5位のウルグアイが最も望ましい相手であると目された。奇しくもこれらの国はラグビーでは強国であり、ラグビーのワールドカップであれば最も避けたい国々である。
 逆に最も対戦を回避したいメンバーは第1シードは欧州ナンバーワンのスペイン、第2シードは中南米の古豪メキシコ、第3シードについてはは5年前には親善試合で3-0と勝利したがその後力を蓄えてきたコートジボワールである。スペインとは2010年3月3日に親善試合を行う予定であるが、もしも同じグループに入れば親善試合の相手が変わる可能性もある。

■第1シードのうちFIFAランキング86位の南アフリカと対戦

 さて、シードの決定では不運に泣いたように思えたフランスであるが、抽選は幸運な結果になった。フランスはグループAに入る。グループAは開催国の所属するグループであり、第1シードからは南アフリカが入る。南アフリカのFIFAランキングは86位、抽選前に最も望んでいたチームである。過去の対戦成績もフランスが2勝1分と負け知らずである。
 逆に、第2シードの対戦相手は最も対戦したくないメキシコとなった。フランスとの過去の対戦成績はフランスが5勝1分と優勢であるが、ワールドカップ出場は今回が14回目であるという経験、そしてFIFAランキングも第2シードの国うち最高の15位である。
 第3シードは最も対戦したい国であるウルグアイとなった。フランスとウルグアイの対戦成績はフランスの1勝2分1敗と互角である。しかし、ウルグアイの勝利は1966年ワールドカップのグループリーグでのことであり、44年も前のことである。またフランスの勝利も1985年のインターコンチネンタルカップ(欧州選手権と南米選手権の優勝チーム同士が対戦)のことであり四半世紀が経過している。逆に直近の2試合は2002年ワールドカップ、2008年の親善試合であり、いずれもスコアレスドローである。ただし、ウルグアイは今回の南米予選は大苦戦、7勝7分6敗という成績でコスタリカとのプレーオフを制して南アフリカ行きのチケットを獲得できたのである。FIFAランキングは19位であるが、それに見合った戦いぶりではないことは明白である。
 幸運な抽選結果となり、レイモン・ドメネク監督は喜んでいるが、決して楽観してはならないであろう。(続く)

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