第1614回 プレーオフ見据えた10月の連戦(5) フランス大勝、カリム・ベンゼマも1221分ぶりにゴール

 一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■豪州戦前に最低でもプレーオフ進出を確定したフランス

 パルク・デ・プランスで6年ぶりの試合となったフランス代表、今回のメンバーで6年前のスコットランド戦にはエリック・アビダルとフランク・リベリーが先発出場し、カリム・ベンゼマとサミール・ナスリが途中出場している。
 豪州戦のキックオフは21時、キックオフ前に朗報が舞い込んできた。19時にキックオフされたグループBのアルメニア-ブルガリア戦は豪州戦のキックオフ直前に終了し、アルメニアが2-1で勝利する。この結果、グループBの最下位がマルタになった9グループの2位チームのうちプレーオフに進出できるのは8チーム。この8チームは最下位チームとの対戦以外の成績で決まるが、この時点でグループBで2位の可能性のあるデンマーク、チェコ、ブルガリア、アルメニアのマルタ戦を除く上位5チームと対戦を対象とした勝ち点は最高でも12点にしかならず、すでに勝ち点14をあげているフランスは最低でもプレーオフ進出を確定したのである。

■久しぶりに先制点をあげたフランス

 さて、このニュースがフランス代表をリラックスさせたのか、フランス代表はこの1年間の試合とは全く別のチームのような動きを見せる。豪州のキックオフで始まったこの試合、立ち上がりからフランスはボールを支配し、一方的に攻めたてる。開始早々から豪州のペナルティエリア内にボールを持ち込み、オリビエ・ジルーが攻撃の起点となり、ロイック・レミーにクロスをあげる。このボールを豪州のDFと競り合ったが、この時に豪州の選手がハンドを犯し、主審はペナルティスポットを指さす。時間は7分、このPKをリベリーが決めてフランスは先制点をあげる。フランスは9月10日のベラルーシ戦では勝利しているものの、先制点を奪われており、フランスが先制点を奪ったのは今年3月22日のグルジア戦以来7か月ぶりのことである。

■前半だけで大量リードをしたフランス

 フランスのスピード感あふれる攻撃に対し豪州はついていけない。16分にはリベリーが左サイドからクロス、このボールをジルーがシュートする。ベテランGKのマーク・シュウォーツァーに代わってゴールを守る豪州のミッチェル・ランゲラクは、ドイツのボルシア・ドルトムントの控えであり、今季ほとんど試合に出場しておらず、反応が遅れ、フランスは2点目をあげる。フランスはリベリーを中心とする左サイドからの攻撃が中心となる。そして左サイドからまたゴールシーンが生まれる。27分にはリベリーからのパスをジルーが決めて、3-0とフランスはリードを広げる。さらにその2分後の29分、ナスリ、リベリーとつなぎ、最後はヨアン・カバイエがゴールネットを揺らす。フランスは試合の3分の1で早くも4点を奪い、その後も豪州を圧倒するが、前半は追加点はなく、4-0と大量にリードして前半を折り返す。

■オリビエ・ジルーに代わって入ったカリム・ベンゼマ、1年4か月ぶりのゴール

 親善試合ということもあり、選手の可能性を図るにはもってこいの展開となった。ディディエ・デシャン監督は後半早々に選手交代を行う。47分にはジルーとアビダルをベンチに下げてベンゼマとママドゥ・サコーを投入する。2点をあげているジルーに変えてベンゼマを入れた采配、まだベンゼマをあきらめていないようである。その直後、また左最後の攻撃から最後は右サイドDFのマチュー・ドビュッシーがゴールし5点差となる。
 そして51分、ピッチに入って4分経ったベンゼマがついにゴールを決める。ベンゼマのフランス代表でのゴールは2012年6月5日のエストニア戦以来のことで実に1221分ぶりのことである。またこのエストニア戦はルマンで行われ、パリ並びにその近郊で行われた試合での得点となると同年2月9日のブラジル戦にまでさかのぼることになる。
 ベンゼマのゴールの後、フランスは攻め続けたものの、得点はなく6-0と大勝する。フランスは11月のプレーオフに向けて手ごたえのある1勝をあげたのである。(続く)

このページのTOPへ